規模の推定は、非常に難しいことを、ここまで書いてきました。
その中で、地震研究の専門家たちは、「場所と規模はある程度までわかるようになった」と
言っているようです。
電子基準点をはじめとして、衛星からの解析や歴史地震の研究等を経て、このようなセリフ
が出るところまで漕ぎ着けたのだと思います。
ただ、熊本地震では、事前の発生確率が低かったことから、歪の蓄積量が正確には分かって
いなかったのだろうと推察されます。

ならば、我々アマチュア研究者にも、多少の出番が残っているはずです。


皆さんは、歪の量を示す可能性が観測値をお持ちではないでしょうか?
毎年、一定のペースで変化し、地震が発生すると値が反対方向に大きく跳ぶ観測値は
ないですか?
地域毎に、観測値にかなり大きな差があるものはありませんか?
もし、そのような観測値があるなら、地殻の歪の量を示している可能性があります。

歪みの蓄積量を示す現象は、小さいとは限りません。
ただ、変化は非常にゆっくりだと思われます。
宮城県沖のように、30年ほどの周期で大地震が発生するところでも、歪の量の変化は年に
3%しかありません。
熊本のように数100年周期なら、1年後でも0.1%単位の変化しかありません。


取り敢えずは、なぜ観測値に影響するのかといった理論は、後回しにしましょう。
考えるべきは、地殻の歪を示しているならば当然現れるであろう特徴を、その観測値が
備えているかどうかです。
具体的には、以下のようなものです。

・地震発生時に大きく値が変化するか?
・地震発生時以外はほとんど値が変化しないか、または、一定のペースで変化しているか?
・地域毎に異なる値になるか?


この特徴を持っているなら、地殻の歪を表している可能性があります。
もし、このような特徴を持つ観測値が見つかったなら、電子基準点の変化量と相関関係に
あるか、確認してみましょう。
相関があるならば、いよいよ地殻の歪を表している可能性が高まります。

ここから先は、後でまとめます。


-地震予知研究の手引き(地震発生時期の推定方法1)-