自転車は、エネルギ効率が良いとされています。
自動車との比較では、5倍くらいの差があると言うのです。
何が、そんな大きな差を生んでいるのでしょうか。
自転車では、ペダルを踏む力の98.6%は、車輪の駆動力になるそうです。
『効率』の定義も明確にしないまま、ツラツラと書いてきました。
もう少し、このレベルで続けます。
一見、効率が高いように見えますが、実は、オートバイや自動車と同程度です。
トランスミッションの各ギヤの伝達効率は、それぞれ99%くらいです。
縦置きエンジン車のデフに使われるハイポイドギヤは、伝達効率が低いのですが、それでも95%くらいです。(単純なはすば歯車なら99%くらい)
ハイポイドギヤを使わない横置きFFのMT車なら、自転車と大差ない効率で、エンジンの出力がドライブシャフトに伝わります。
(案外、駆動系のロスの大半は、等速ジョイントかもしれません)
自転車は、動力伝達機構に、特別な優位性はありません。
バイクと比較すると、バイクのトランスミッションから車輪までは、基本的に同じです。
ところが、自転車とバイクでは、エネルギ消費量に2〜3倍くらいの差があります。
この大差は、どこで生まれるのでしょうか。
ガソリンエンジン(オットー・サイクル)の熱効率は、30〜40%くらいです。
自転車のエンジンである人間の熱効率は、70%との説もあります。
(出力の考え方の違いがあるので、実質は同程度以下とみることもできます)
どうやら、自転車とバイクの差は、エンジン(自転車では人間)の性能差にも関係はなさそうです。
実は、効率の差を生んでいるのは、重量なのです。
自転車は、鋼製の廉価版でも、20kgかそこらです。
一方、バイクは、原チャリでも70kg前後はあります。
乗員の体重を55kg(乗用車の総重量は、55kg/人で計算する)とすると、自転車は75kg、バイクは125kgで、ほぼ倍です。
これが、400ccクラスになると、200kg前後になるため、重量は3倍以上になります。
このように、重量の違いで、エネルギ消費量の違いは、ほぼほぼ説明できます。
自転車が、効率の良い乗り物であることは間違いではないですが、過剰に強調されている気がします。
そう言えば、自転車の効率の良さを伝える際、動物や自動車、飛行機と比較はしますが、効率が高い鉄道や船舶との比較は、見たことがありません。
そこで、それぞれの一般的な速度における運搬効率を比較してみました。
単位は、J/kg・kmです。
1tの荷物を1km運ぶために必要なエネルギを、表しています。
自転車は、乗車している人(体重55kg)を貨物と見立て、換算しています。
自転車 630J/kg・km
トラック 1600J/kg・km
鉄道 200J/kg・km
船舶 370J/kg・km
大型貨物機 14000J/kg・km
自転車の効率が高いと言われていましたが、実は、大したことはありません。
鉄道や船舶には、遠く及びません。
なぜ、立場が逆転したのかと言うと、鉄道との差は、転がり抵抗の違いが主因です。
船舶との差は、大きさの違いです。
船の主たる抵抗は、増波抵抗と摩擦抵抗です。
増波抵抗は一概に言えませんが、摩擦抵抗は表面積に比例します。なので、大きくなると、相対的に抵抗が減ります。
また、エンジンは、大きくなるほど、熱の無駄が減るので、高効率になります。
基本的に、大きくなるほど、効率は上昇します。
人間がエンジンを兼ねる自転車は、軽量化(エンジンと燃料を省略)で効率を高めています。
総重量に占める自重(車体やエンジンや燃料等)の割合は、ママチャリでも30%以下です。
乗用車では、車体総重量を1t、定員(55kg)を5名とすると、72.5%が自重になります。
この差が、効率の悪さに繋がります。
自転車の効率は、ちょっとした数字のマジックとも言えそうです。
『効率』の定義も明確にしないまま、ツラツラと書いてきました。
もう少し、このレベルで続けます。
効率が良い自転車より遥かに更に良い鉄道ですが、日本は廃線方向で動いています。
政府も、自治体も、世間も、活用方法を考えず、旅客輸送より貨物輸送にむいている鉄道を、旅客オンリーで考えています。
自転車は効率が良く、CO2 排出量を抑えられる上、街中では小回りが利くので、宅配にも利用されています。
ならば、自転車より効率が良い鉄道を利用しないのは、なぜか、聞いてみたいところです。
どうせ、経済性としか言わないのでしょう。
それしか理由がないなら、化石燃料の税金を上げていけば、トラック輸送から鉄道輸送への転換は、容易に起こり得ると言えます。
本当に経済性だけなら、地球温暖化の対策として、化石燃料への課税を高め、その収益で鉄道網の再整備を進める方法が有効です。
実際のところは、どうなのでしょうか。