WHOが提唱する健康の基本に、「ワンヘルス」があります。
WHOは、以下のような重要項目を上げています。
人、動物、生態系の健康は、密接に関連している。
これらの関係の変化で、新たな人や動物の病気が発生・拡大するリスクが高まる。
人、動物、環境の健康は密接に関連しているため、関連する部門間の緊密な協力、コミュニケーション、調整が必要である。
ワンヘルスとは、人、動物、生態系を別々の分野とせず、それらを統合して最適化するアプローチである。
世界的に報告されている新興感染症の約60%は、野生動物および家畜の両方から発生している。
過去30年間に30以上の新しい人の病原体が検出されたが、その内の75%は動物に由来する。
人間の活動やストレスの多い生態系は、病気の発生や拡大の新たな機会を作り出している。
これらのストレス要因には、動物の取引、農業、畜産業、都市化、採取産業、気候変動、生息域の分断、野生地域に対する侵食などが含まれる。
要約すると、次のように解釈できます。
・人は生態系の一部である。
・人は、生態系に対し様々なストレスを与えている。
・その結果、新たな感染症が発生する素地を作ってしまっている。
・人が健康に過ごすためには、生態系を健全にしなければならない。
それを一言に纏めたのが、「ワンヘルス」です。
つまり、地球を一つの生命体と考え、健康管理しなければならないということです。
人類を含め、地球上の生物は、お互いに複雑に関係し合っています。
例えば、土壌は、様々な微生物によって、一種の代謝が繰り返されています。なので、微生物を全て除去してしまえば、作物は育ちません。
微生物が存在しない火星の地に作物を植えて、水や空気を与えても、育たないのです。
私達は、そんな土壌に作物を植え、収穫を得ているのです。
私達は、他の生物に生かされているのです。
フロリダ州のピューマで、奇形が増えた時期がありました。
ハイウェイの建設で、生息域が小さく区切られてしまったため、近親交配が進み、奇形が発生しやすくなったと、推定されました。
古くは、魚道や、近年では、高速道路を建設する際、野生動物専用の橋やトンネルが作られるようになりました。
少しでも、生態系へのストレスを減らす試みです。
人類は、生態系へのストレスを減らし、共存の道を探る必要があります。
ですが、増えすぎた人口を抱え、生態系との共存は、容易ではありません。
戦争なんか、している暇はないのですが・・・
「完全なる精神は、完全なる肉体に宿る」
戦火が絶えない地球ですが、もし、人類全員が健やかな生活を送れるとしたら、おそらく戦争は激減するでしょう。
独裁者は、人々の不満をエネルギとして膨張します。
人々が不満なく生活できるなら、独裁者は現れにくく、小競り合いもなくなるので、国と国がぶつかる理由がなくなります。
仕事をして、子育てをして、余暇を楽しむ生活が保障されている時、態々命を賭けて殺し合いに出かけていくはずがありません。
ワンヘルスは、人類が目指すべき未来を、指し示しているのでしょう。