豊葦原中津谷のニニギ

食糧自給率の向上を目指して! (2100年の日本へワープ)

カテゴリ: 地球温暖化


KTMMの研究グループは、ベーゼック効果とベルティエ効果を用いた新しい蓄電システムを開発したと発表しました。

研究グループによると、3種類の新素材の開発に成功しました。

一つ目の新素材は、断熱材です。
新素材は、磁界を掛けることで自由電子の動きを制御できます。これをドーナツ状にすることで、熱を封じ込めることに成功しました。

二つ目の新素材は、蓄熱剤です。
Beを含む新素材は、非常に比熱の大きく、大量の熱を蓄えることができます。更に、-153℃を超えると、Beがイオン化することで、蓄熱量を増やします。

三つ目の新素材は、熱電対です。
新素材の組み合わせにより、熱電対の抵抗をほぼゼロにすることに成功しました。
この熱電対を用い、電力をベルティエ効果で熱に変換して、蓄熱槽に保存します。
逆に、蓄熱槽と外気の温度差を利用して、ベーゼック効果で電力を取り出します。


地球温暖化対策が急務の昨今において、再生可能エネルギへの期待が高まっています。
しかし、再生可能エネルギは、発電量を調整できない大きな欠点があり、大規模な蓄電システムが求められています。

今回の新素材は、その蓄電システムに新たな風を送り込むことになると、期待されます。





今日は、エイプリル・フールです。

残念ながら、上記は嘘ニュースです。

ただ、ニュースの中にある「再生可能エネルギは、発電量を調整できない欠点がある」との一説は、事実です。
これを解決する手段は、莫大な量の電力を、何らかの蓄電が必要になります。
現状の蓄電池では、まるで性能が足りません。
Liイオン電池でも、必要量は億トン単位になります。
Liの算出量は、40万トン/年程度ですから、日本一国でLiを独占しても数百年、日本の消費量の2万トン/年ペースなら、数万年も掛かる計算です。
因みに、Liの埋蔵量は1億トン余りなので、全て使っても足りるかどうかです。

現時点で有望なのが、水素の形で保存する方法です。
余剰電力で水素を作り、自動車(FCV)用としたり、電力不足時の電源とするのです。

量的には必要量を保存できそうですが、水素を保存するためには、大量の電力が必要となるため、効率の面で問題があります。
そこで、新しい蓄電システムが、再生可能エネルギの利用には、必須と言えます。


前述の嘘ニュースは、今は嘘ですが、将来的には真実となることを、願っています。



世界は、FCVではなく、EVへ向かっています。ZEVでもなく、EV一辺倒です。
2014年には、フォーミュラeが始まっています。
更には、EVラリーやEV耐久レースも開催されています。


日本は、脱炭素社会への変革で、大きく出遅れている上、モーダルシフトの面でも、ローカル線の廃線のように、完全に方向性を失っています。
唯一、自動車分野だけが、何とか世界の潮流についていっているのが、現状でしょう。
これに、他の業界が追随することが望まれます。

でも、もっと重要なのは、メディアを含む一般人が、エネルギの地球温暖化対策の最終形をイメージできるようになることです。


さて、エネルギの地球温暖化対策は、一般に『電動化』と『再生可能エネルギ』の組み合わせが思い浮かぶでしょう。
ですが、再生可能エネルギは、出力の制御ができないため、電力系統を安定的に運用できません。
この問題を解決できないため、再エネ発電の買取量に制限が課せられています。

問題の解決は、電力会社に押し付ける風潮がありますが、これでは解決はできません。
「科学技術は発展するので、将来的には解決する」と言う人もいます。これは、「原発事故も、科学技術が発展する未来には、問題なくなる」と置き換えたなら、いかに無責任な考え方なのか、理解できるでしょう。
そもそも、科学技術は、人間が発展させるものであって、時間経過で勝手に発展するものではありません。

再生可能エネルギの変動を吸収し、電力の安定供給を可能にするための手段として、次のようなアイデアがあります。(一部、実用化しているものもある)


(1)揚水発電

水の位置エネルギで、電力を蓄えます。
しかし、国内で建設できる所は少なく、新規に蓄電量を増やすことは難しいでしょう。


(2)二次電池(蓄電池)

化学エネルギに変換して、電力を蓄えます。
リチウムイオン電池の場合、最大で約250kWh/tの重量エネルギ密度です。
(容器や制御装置は含まない)
日本の年間発電量は、1兆kWhを超えます。1日平均で、300億kWhです。
1日分の電力を蓄えるには、1億tを超える二次電池が必要になります。
夏場の太陽光で発電した電力を、冬場に使用することも考えられるので、ロスを無視するとしても、数十億tの二次電池が必要になりそうです。
これは、現実的ではありません。


(3)水素

水素の化学エネルギで、電力を蓄えます。
水素は、約4万kWh/tのエネルギ重量密度です。
二次電池(Li+電池で計算)との比較で、エネルギ重量密度は100倍以上です。
また、電池ではないので、単純なタンク(冷凍機能は必要)に保管できます。
そのため、実質的なエネルギ密度は、200倍以上になるでしょう。
更には、リチウム等の貴重な資源も、基本的に使いません。
ただし、効率が低く、水の電気分解に使用した電力の内、最終的に水素燃料電池で取り出せる割合は、23〜52%程度です。これに、水素を液体で維持するための冷凍機にも、大量の電力を消費します。


ここまで、3種類のエネルギを蓄える方法を考えました。
エネルギ備蓄で現実的な選択肢は、水素です。
もちろん、問題は山積みです。
二次電池で同等の電力を保存しようとすると、エネルギ密度が桁外れに足りません。
再生可能エネルギで全電力を賄うことを考えると、1年を通じた発電量と蓄電量の管理が必要になります。
そのため、前述のように、莫大な量の電力を蓄えておがなければなりません。


こういった課題を理解すれば、なぜJRが水素ハイブリッド電車を作るのか、その目的が見えてくると思います。
発電の脱炭素化を電力会社に押し付けるのではなく、広い視野で考えるようにしたいものです。



地方鉄道の半数以上が、廃線検討水準を越えていることが指摘されました。


廃線を選択することは、簡単です。
しかし、存続するとなると、ハードルが高くなります。

現状では、旅客のみの運用を前提に、維持費の負担について議論されています。
旅客のみを前提としているため、旅客収入を、維持費支出が大きく上回り、維持が難しくなっています。この支出超過分をどうするのかが、問題になっています。

この前提条件下では、極端な地方移住が起きない限り、いずれ廃線になるでしょう。
前提条件を外す工夫が、これからは求められます。


今年、DMV(Dual Mode Vehicle)が走り始めました。
DMVは、軌陸車の一種で、旅客を乗せたまま、一般の道路も鉄道も走れる車両です。
現状では旅客のみですが、中型や大型貨物をDMV化することも考えて良いと思います。
また、車両の改造が不要なピギーバック方式でも良いと思います。
ただ、鉄路を使うだけでは、大した意味がありません。
そこで、数台を連結して走らせるのです。
そうすれば、運転手を減らすことができます。

もちろん、問題はあります。
DMVの駆動は、鉄輪ではなく、タイヤで駆動しているようです。
DMVのベースとなっているバスの駆動力は、小さくはありません。少なくとも、25%勾配くらいは登れるようです。これは、通常の鉄道には存在しない250‰です。
JR最大勾配は、飯田線の40‰ですから、駆動力自体は余裕です。
ですが、DMVでは、後ろにも鉄輪を出すので、タイヤの設置圧が下がります。貨物まで牽引できるのか、怪しいところです。

DMV型のバスで貨物を引っ張るのではなく、貨物は貨物でピギーバックで走行させるのなら、比較的簡単に運用できるはずです。
テストケースとして、横積みのピギーバックを検討しても、面白いと思います。
つまり、貨車の横から小型トラックを乗せるのです。
車両限界に余裕を持つため、全長2.6m程度の小型トラックを、軽自動車をベースに開発するのです。
横から搭載するなら、前後の車両を気にすることはありません。積み下ろしは、1分と掛からないでしょう。通常の停車時間で、ホームに下ろすのです。(ホームは改修が必要)
将来的には、自動運転で宅配することも視野に入れて、小型ピギーバックの研究・開発をするのも、一案でしょう。

自動宅配の開発は、飛行ドローンで盛んに行われています。
雪深い地域では、これも一案ですが、エネルギ効率の観点では、問題があります。特に、重量物(と言っても10kg超)の運搬は、ロスも騒音も大きくなります。
10kgのお米は、アウトでしょう。
また、1品1機ですから、更に効率を低下させます。
飛行ドローンほど華やかではありませんが、実用性の面では、地上走行ドローンの方が期待できそうです。


メディアは、華やかさを求めますから、こんな地味な研究・開発には興味を示しません。
現政権は、地上走行ドローンが移動式ミサイル発射台なら、興味を持つかもしれません。
どちらにせよ、あてになりそうにありませんね。

地方自治体や沿線の方々が、色々とアイデアを出し合わないと、政府や鉄道会社だけに任せていると、遠からず廃止になると覚悟した方が良いでしょう。



前述のピギーバックを含むモーダルシフトは、温暖化対策の一案になります。
以前にも書いたように、温室効果ガスの排出量をゼロにするために、必要なエネルギを半減させることも重要です。
鉄道のエネルギ効率は非常に高く、貨物輸送では、トラックの1/6以下とも言われています。
 中・長距離輸送を鉄道や船舶に移行させることは、必要なエネルギが少なくなるので、再エネ等への代替が楽になります。

それを考えると、早計な廃線は、政策の愚かさを示します。
広い視野、長期の展望で、政策が進められることを願っています。
 

地球温暖化がなぜ問題なのか、温暖化に危機感を持つ人も、温暖化を否定する人も、わかっていないように見えます。


まず、温暖化否定派ですが、温暖化そのものを否定する場合と、温暖化を無視する場合があります。
「温暖化しても、問題は起こらない」、あるいは「温暖化しても、個々の問題は解決できる」、更には「温暖化した方が、地球全体の利用価値が増す」との意見もあります。

ですが、甘く考えているように見えます。
温暖化が最終段階まで進めば、多少は気候も安定するかもしれませんが、温暖化が進行している最中には、何が起きるかわかりません。
しかも、異常現象自体が変化していくはずです。
例えば、巨大台風に襲われる時期があるかもしれないし、数十年が経てば、小型の台風さえも発生しなくなるかもしれないのです。
農業も漁業も、このような変化に対応し続けなければなりません。
対応方法を考え、対策が完成する頃には、別の問題に変わっているかもしれないのです。

また、二酸化炭素濃度が高いと、植物の成長は早まりますが、樹体自体は貧栄養化するリスクがあります。収穫量は増えても、摂取量を増やさないと必要な栄養を得られない可能性もあるのです。

いずれ化石燃料は枯渇します。
その際の対策は、基本的に地球温暖化対策と同じです。どの道、地球温暖化対策と同等の対策が必要になるのです。
枯渇してから対策するくらいなら、今から始めておくべきでしょう。


地球温暖化に危機感を持つ人も、ちょっとズレている場合があります。

地球温暖化対策は、人類の存続に都合が良いから行うのです。
他の生物には、地球の温暖化が進み、人類の繁栄が阻害される方が、都合がよいのです。
現生生物の中には、温暖化は不都合な生物も少なくありません。
ですが、どんなに地球環境が悪化しても、地球上から生物が消えることは考えにくいところです。
人類も、恐竜が絶滅していなければ、地球上に現れることはなかったでしょう。

「他の生物の生存が脅かされるから、温暖化を防がなければならない」とは、傲慢です。
他の生物のことを考えるなら、人類が終活して地球上から消え去ればよいのです。
地球上の全動物の体重を足し合わせたなら、人類が半分以上を占めています。人類が消滅すれば、地上の動物は倍増できるチャンスがくるのです。
少子化も、他の生物には好都合なのです。他の生物を考えるなら、少子化対策はすべきではありません。

地球温暖化対策は、人類の存続・繁栄のためだけに行うのです。
それを忘れてはなりません。


人類が絶滅したとしても、精々1000万年も待てば、知的生命が現れるでしょう。
地球カレンダー(地球史45億年を1年に置き換える暦)なら、僅か19時間半です。あっと言う間に、新しい知的生命が、地上を席巻するでしょう。
新しい知的生命は、哺乳類か、鳥類の中から進化する種が現れるはずです。

そう考えれば、地球温暖化対策は、人類のためだけに行うのだと、理解できるはずです。


ちょっと哲学的な話になってしまいましたが、地球温暖化について、立ち位置を考え直してみる機会になればと、思っています。

アフターコロナを睨み、景気浮揚策として地球温暖化対策が一気に進む気配を感じます。

一方で、反原発論も、負けじと叫ばれています。

反原発論では、「原発無しでも地球温暖化対策はできる」と主張されています。
最終形としては、私も同じ方向性です。
最終的には、火力発電所も、原子力発電所も、日本から無くしたいと考えています。
ただ、決定的に違う点があるように感じます。


皆様は、火力発電所と原子力発電所のどちらを先に全廃したいのでしょうか。

私は、火力発電所を全廃することを優先したいと考えています。
私は、地球温暖化のリスクを非常に重大に考えています。だから、先に火力発電所を全廃したいのです。原子力発電所の全廃は、その後でも良いと考えています。

原子力発電所を全廃する目的と、火力発電所を全廃する目的とは、異なります。
だから、どちらの目的をより重視しているのか、相対的に軽視されている目的はどちらなのか、改めて考えてみるべきだと思います。


原子力発電は、発電自体では二酸化炭素は排出しません。
付帯作業では、二酸化炭素は出ますが、火力発電で排出される二酸化炭素量との比較では、無視できるくらい少ない量です。また、削減の余地はあります。
それを考えると、火力発電所を全廃する主目的である地球温暖化の対策としては、原子力発電所は有効です。原子力発電によって電力価格が高騰するとしても、優先すべきは地球温暖化対策と考えるなら、小さな問題にすぎません。
問題は、事故時の被害です。
事故をゼロにすることは不可能ですが、事故率を下げることや、事故時の被害を減らすことは不可能ではありません。
そういった可能性も追求しなければならないほど、地球温暖化は深刻なのだと思います。

原子力発電が地球温暖化対策に効果がある以上、どちらも同時と進めるとの考えは、相容れないところです。
優先度を明確にしなければ、どちらも達成できないことも考えられます。 


もう一度、問いたいと思います。
皆様は、地球温暖化を防ぐための火力発電所の全廃と、事故時の被害を避けるための原子力発電所の全廃、どちらを先に優先したいのでしょうか。

じっくりと考えてください。


エンブラエル社が、いずれもプロペラ推進のローエミッション機、及びゼロエミッション機の開発プロジェクトを立ち上げました。


ローエミッション機
・ENERGIA HYBRID
  定員   9名
  航続距離 500nm(約926km)
  双発(リアエンジン)
  低翼単葉
  燃料(A-1 又は SAF)
  タービン+モーター
  就航目標 2030年

・ENERGIA H2 GAS TURBIN
  定員   35〜50名
  航続距離 350〜500nm(約648〜926km)
  双発(リアエンジン)
  低翼単葉
  燃料(水素とジェット燃料)
  タービン
  就航目標 2040年

ゼロエミッション機
・ENERGIA ELECTRIC
  定員   9名
  航続距離 200nm(約370km)
  単発(垂直尾翼に搭載)
  高翼単葉
  燃料(二次電池)
  モーター
  就航目標 2035年

・ENERGIA H2 FUEL CELL
  定員   19名
  航続距離 200nm(約370km)
  双発(リアエンジン)
  低翼単葉
  燃料(水素燃料電池)
  モーター
  就航目標 2035年
  

色々な方向からの挑戦であり、意欲的なプロジェクトです。

いずれの機体も、リアエンジン方式となっています。
リアエンジン方式を採用した理由として、着陸装置の脚の長さがあると思われます。
プロペラ推進なので、ジェットエンジン推進より径が大きくなります。そのため、主翼に取り付けると、プロペラ下端の地上高を確保するために、脚の長さが必要になります。
対策として、主翼を高翼にするか、主翼上面の高い位置に置く方法が考えられます。

主翼を高翼単葉とすると、主翼から脚を伸ばすと、脚が長くなってしまいます。
胴体にバルジを設けてギアウェルとすると、バルジが空気抵抗となってしまいます。
いずれも、本末転倒の対策です。
主翼上面の高い位置にエンジンを置く方法は、致命的な欠点のない対策ですが、重量増や空気抵抗増はあります。
もちろん、リアエンジン方式でも、ジェットエンジンとは異なり、中心軸を胴体から離す必要があるので、エンジンの支持材が長くなり、重量増が懸念されます。
ただ、主翼に取り付けた場合、プロペラ後流による左旋等が起こりますが、リアエンジンであれば、その傾向はほぼなくなります。

※左旋:プロペラ後流は、 正面から見て反時計回りです。
    そのため、エンジンナセルの左側面は、主翼上面への流れを強めますが、右側面は打ち消し合います。
    そのため、エンジンナセルの左側面は、右側面より強い負圧になります。 
    負圧が起きる場所は、機体の重心より前にあるので、左へ旋回しようとします。
    高翼であれば、 重心より高い位置にエンジンナセルがあるので、左旋に加えて左傾も起こります。


意欲的なプロジェクトですが、旧MRJの開発よりも考えられている気もします。

当ブログでは、旧MRJの開発の問題点を3年前に指摘していました。

旧MRJの開発では、安易なエンジン変更が行われ、それに合わせて無理な設計変更を行ったため、最終的には開発断念に至っています。
この設計変更は、有り得ないほど場当たり的でした。おそらく、現実も現場も理解しないトップが、帳尻合わせを行ったのでしょう。
それが現れているのが、座席数です。
3年前の指摘でも、座席数は50〜60席程度の胴体径と書きましたが、その後に調べたところ、やはり開発当初は「30〜50席、または60席」としていたようです。
それが、標準の70型でも76席とし、基本構想が大きく崩れています。

旧MRJの開発プロジェクトでは、胴体は小型機、エンジンは大型機と、どんな機体を作りたかったのか、全く見えてこないのです。
旧MRJのプロジェクトを指導した人物は、何を作るのか、考えていなかったようです。
昨年、旧MRJの開発は、凍結されました。
それを受けて、当ブログでは、開発再開後の目指すべき機体をまとめています。


旧MRJの開発と比較すれば、伊牟田がどんな機体を作りたいのか、その違いが見えてくると思います。
ど素人の伊牟田が考えたことですから、現実を理解できていないとは思いますが、旧MRJの開発は、その伊牟田よりもレベルが低く見えてきます。


閑話休題
エンブラエル社のENERGIAシリーズに戻りましょう。
ENERGIAシリーズは、非常に意欲的ですし、最短では10年足らずで実用化を目指している点でも、期待しています。

一方で、疑問を感じる部分もあります。
主翼の後退角です。

ENERGIA ELECTRICが、ほぼ直線翼、ENERGIA HYBRIDが、浅い後退角であるのに対し、ENERGIA H2 FUEL CELLとENERGIA GAS TURBINの後退角は深めです。(想像図より)

後退角の目的は、高速で飛行する際の翼からの衝撃波発生速度を高めることにあります。
プロペラ機では、プロップファンを除けば、それほど高速化はできません。それは、プロペラの翼端が音速を超えてしまいやすいからです。音速を超えれば、効率が急減しますし、衝撃波による騒音も発生します。
プロップファンならば、衝撃波を発生する速度が高まりますが、それでもジェット機よりもやや低い速度に止まります。
後退角は、構造面で重量が増加する、翼端後流が強くなり抵抗が増える等の欠点があります。なので、プロップファンであっても、一般的なジェット機よりも後退角を浅くするのが、常識的な設計です。
しかも、ENERGIAシリーズは、航続距離がかなり短めです。空気の薄い高空まで上昇して巡航速度を上げることは、不可能でしょう。
そもそも、航続距離が短いので、元々の所要時間が短いのです。巡航速度を上げても、所要時間は精々数分の差にしかならず、他の要因による遅れに隠れてしまいます。
高速化が難しく、かつ航続距離が短い機体では、後傾角はほとんど必要ないはずです。
このあたりは、どんな思想があるのか、聞いてみたいところです。


さて、先程のリンクでも触れているように、ゼロエミッション機の燃料や推進装置は、いくつかの選択肢があります。
エンブラエル社のENERGIAシリーズは、それらを一通り試そうとしているようにも思えます。そう考えると、全てが出揃う2040年が楽しみです。
でも、見方を変えると、2040年でもゼロエミッション化の草創期でしかないのです。
ゼロエミッション化へは、極めて厳しい道が続くのです。

日本政府は、「やれ!」と号令を掛ければ、明日には完成すると思っているのでしょう。
だから、理系の学生の減少に危機感がなく、平気で研究開発費を削り続けるのです。
正に、「化石賞」に相応しい政治です。(いずれ化石賞さえも貰えなくなりそう)
対象的に、削った額の何倍もの予算を、軍備拡大に投げ入れるのですから、馬鹿です。
基礎体力(基礎研究)が無く、それ故に基礎練習(理系学生)が不足して技を習得できていないのに、プロ選手(欧米や中国)に挑んでいくようなものです。
軍備に力を入れるのは、野球で言えばバットにお金を掛けるようなものです。ですが、どんなに良いバットを使っても、基礎が無ければ、プロの投球は打ち返せません。
それを理解しなければ、日本の未来は暗いでしょう。


エンブラエル社は、ブラジルの企業です。
エンブラエル社は、三菱や背後の日本政府より、開発能力が高いようです。
おそらく、国としての日本も、ブラジルにも抜かれつつあるのでしょう。
日本国民という財産を食い潰しながら、日本は衰退を加速しています。

一日も早く、この流れを止める政治家の出現が待たれます。
1人でも現れれば、それに続く人材が一気に現れるはずです。
戦国時代、あるいは幕末、日本は、多くの英傑が現れ、国を変えていきました。
私は、そんな時代の到来を期待しています。


いつも感じるのですが、人々はどこまで『地球温暖化対策』に真剣なのでしょうか。


『地球温暖化対策』を叫ぶ人は多いのですが、同時に、『原発反対』を叫ぶ場合が多いように感じます。
つまり、聖域(脱原発)を囲った上での『地球温暖化対策』なのです。
原発の反対理由として、事故時の災厄の大きさは理解できますが、「CO2 を大量に排出する」と言い出す方もいます。
原発は、建設や発電時の付帯作業でCO2 を排出しますが、発電自体ではCO2 を排出しません。
それも、動力の電動化を進めれば、ゼロに近付けることができます。しかも、私の主張は、新設には反対で再稼働のみの推進ですから、建設に伴うCO2 の排出はありません。

太陽光パネルの建設は、原材料の採掘から廃棄までを考えると、現状ではCO2 排出量と削減量は大差ないとも言います。
これは、動力の電動化で対策できるとしても、設置場所の不足から、山林や湖面など、周辺環境への影響が懸念されるところです。


「原発は、出力を調整できない欠点がある」との指摘があります。
確かに、日本では原発を一定の出力で運転しています。ですが、フランスでは出力調整を行っています。出力調整ができないわけではありません。

再生可能エネルギ発電の多くは、出力調整ができません。それも、一定の出力を維持することさえ、できないのです。
これは、致命的と言っても良い弱点です。弱点の根深さは、原発の比ではありません。
この弱点は、いずれ解決しなければなりませんが、現時点では火力発電で不足分を補っており、過度な再生可能エネルギへの転換は、地球温暖化対策に逆行することになります。



一方で、火力発電所の新設の反対運動は、反原発の運動に比べて弱いように思います。
反対理由も、地球温暖化の懸念より、地元の環境保全や利権の方が強いように思います。

『地球温暖化対策』の本気度は、『脱原発』よりも、かなり弱いように感じます。



私の考えでは、当面は既存の原発を再稼働することで、CO2 排出量を抑えます。
ですが、2050年頃には、既存の原発は寿命を迎えます。
原子炉本体や使用済核燃料等の最終処分を考えると、原発の新設には、相当に慎重にならざるを得ません。
ですので、この30年を利用して、蓄電と新エネルギの開発に注力します。

例えば、理系のポスドクを多く雇用し、蓄電や新エネルギの開発を進めていくのです。
この中には、電力系統や給電計画の効率化も、研究課題に取り込みます。

省エネにも、積極的に取り組みます。
必要とするエネルギが減れば、脱炭素型の発電も少なくて済みます。再生可能エネルギの弱点を補う蓄電装置も、小規模にできます。
自動車を含む輸送手段は、消費エネルギに応じて累進課税を行うのも、一案でしょう。
鉄道も、長距離はピギーバック方式を積極的に取り入れます。
ローカル線では、駅毎に軽トラを積み下ろしする方法も考えられます。軽トラは、通常軽トラより短い全長2.7m程度とすれば、列車の側面から自走で積み下ろしができます。
赤字のローカル線をモデルケースにして、実証実験を行ってみても良いと思います。
都市部では、乗客と一緒に乗降する宅配ロボットも、考えられます。重量は自重を含めて150kg程度とし、人と一緒に列車に乗り、人用のエレベータを利用するのです。
これなら、既存の人用の設備を利用できるので、投資を少なくできます。



様々な角度から、『聖域なき地球温暖化対策』を考えていくべきです。

私一人のアイデアでは、全然足りませんが、多くの人が積極的に関わっていくことで、活路も開けてくると思います。

現状では、政治家は利益誘導を優先し、税金を注ぎ込む先を探しています。
世論は、『脱原発』があまりにも優先され、『地球温暖化対策』を甘くみています。
これらが是正された時、日本は再び先進国としても評価を受けることができるでしょうし、それ以前に、未来の子供達が享受できる幸福も、大きくなっていくと思うのです。

当ブログを見て、何かの刺激を受けてくれると、私としては嬉しいところです。

骨抜きの決議案を採択し、COP26は閉幕しました。


閉幕から2週間前経ったこともあるかもしれませんが、COP26の印象は薄くなっています。
その要因は何でしょうか。

この国際会議において、日本の存在感は薄く、むしろ足を引っ張った印象だけが残りました。
確かに、石炭火力を狙い撃つような議論は、単視眼的で偏っています。議長が声を詰まらせるほど重大な課題とは思えません。
ですが、代替案や別分野の議論を盛り上げる提案もなく、最も容易と思われる石炭火力の削減すら、このザマです。


地球温暖化は、1980年代前半には一般でも知られる問題でした。
また、化石燃料の枯渇も、懸念されていました。
当時から、化石燃料からの脱却は、未来への重要課題だったのです。

この40年間、日本はどんな貢献をしてきたのでしょうか。

確かに、省エネ技術は発達しました。
そのお陰で、原油輸入量はピーク時の2/3まで減少しました。
ただ、石炭の消費量は、ほとんど減っておらず、むしろ微増となっています。これは、石油依存(特に中東依存)を減らす目的で、石炭火力発電を推進したことに因るものです。
この時は、原発と石炭火力の二本立てでしたが、東日本大震災で原発を停止したため、石炭火力への依存から抜け出ることが難しくなりました。
この政策が決定した頃には、地球温暖化は知られていたので、脱化石燃料の技術開発をすべきでした。ですが、未知の技術の開発を嫌う国民性(特に保守系政治家と企業トップ)から、従来技術の改良(石炭火力発電の高効率化)に止まりました。
実質的には、二酸化炭素の排出量は減ったはずですが、抜本的な対策ではありません。今は、減らす段階ではなく、無くす段階に入っています。
そのことを意識できれていれば、新しい技術への投資を促すこともできたと思います。

昨今の日本は、研究予算の削減が続いています。少ない研究予算も、成果が期待できる分野だけに集中配分されています。
成果が期待できるとは、既に基本的なことが他国で解明されている技術への参入です。なので、一歩出遅れたところからの競争になる上、周辺技術のレベルも関係しています。
結果として、実用化に特化したような研究を続けていると、徐々に追いつかなくなっていきます。

この懸念は、今回のCOP26における日本の立場や貢献度でも、顕在化したように感じています。


政府は、COP26は無視し、軍拡とそれを制限する憲法の改正に注力していむます。
今の日本は、防衛予算の増額ではなく、研究予算の増額です。
予定される防衛予算増額分の半分でも研究予算に回せば、技術立国としての足場を固めることができると考えます。

政権の方向性が北朝鮮化を示しているだけに、政権内の良識派が軌道修正をしてくれることを期待しています。
そうでなければ、本当に『化石賞』も貰えないくらいに存在感を失うでしょう。 


日本に「化石賞」が授与されました。
受賞理由は、石炭火力発電からの脱却が遅れているからです。


私にしてみれば、石炭であろうが、石油であろうが、天然ガスであろうが、どうせ全廃しなければならないのだから、石炭火力だけに焦点を集める感覚は、政治性を感じます。
石炭火力が目の敵にされる理由は、発電時に出る温室効果ガスが、石油や天然ガスより多いことにあります。
ですが、石炭火力と石油火力の差は、大きくありません。建造年代によっては逆転します。その程度の差で「化石賞」を与えていると、問題の本質から視点が逸れてしまいます。


「問題の本質から視点が逸れる」と言えば、日本が「化石賞」を授与されたニュースのコメントにも見られました。
それには、「日本は、高い技術で世界平均よりも排出量を抑えている」との趣旨でした。
本当にそうなのでしょうか。
同時受賞のノルウェー、オーストラリアや、最大の排出国である中国やアメリカ、更には国の規模が近いドイツと比較してみましょう。

排出量データがある79ヶ国について、GDP比と人口比で比較してみました。
なお、順位は悪い方からのものです。


GDP当たりの排出量は、技術力や国の発展状況が出やすい項目です。
日本は190g/ドルで、79ヶ国中の59番目でした。
オーストラリアは228.9g/ドルで、52番目でした。
ノルウェーは71.3g/ドルで、76番目でした。
この数字を見ると、ノルウェーが「化石賞」を授与された理由がわかりません。

最も少なかったのはスイスで、39.3g/ドルでした。なんと、1ドルを稼ぐのに、日本の5分の1しか温室効果ガスを排出しないのです。
スイスは、水力資源に恵まれているので、単純に技術力の違いとは言えません。
ですが、水力資源に合わせた国家運営がされているとも言えます。スイスの一人当たりのGDPが日本の2倍以上であることも踏まえると、見習うべき点は少なくないでしょう。

その他の主要国も、見てみましょう。
中国は594.5g/ドル、22番目、アメリカは195.5g/ドル、56番目、ドイツは140.0g/ドル、67番目、イギリスは101.5g/ドル、73番目、フランスは85.4g/ドル、74番目でした。
先進国は、軒並み日本より優れた数値です。日本の技術的な優位性は、どこにも見られません。


次は、人口比です。
こちらは、生活水準が高いほど、数値が悪化しやすくなります。

人口当たりの排出量は、日本は8094kg/人で、20番目でした
オーストラリアは14692kg/人で、7番目でした。
ノルウェーは5895kg/人で、35番目でした。
この数字を見ても、ノルウェーが「化石賞」を受賞する理由がわかりません。

最も少なかったのはバングラデシュで、601kg/人ですが、極貧国の一つとされる国ですから、比較はすべきではないでしょう。
そこで、日本より一人当たりのGDPが多い19ヶ国に絞って見てみましょう。
日本より一人当たりの温室効果ガス排出量が多いのは、19ヶ国中で8ヶ国だけでした。
G7では、イタリア以外の6ヶ国がこれに含まれますが、日本はカナダ、アメリカに継ぐ悪さです。広大な国土を移動するカナダやアメリカを例外とするなら、仮にイタリアを含めても、日本はダントツの最下位です。
少なくとも、日本の技術力が優れているとの証拠はなく、先進国としては「化石賞」に相応しいと言えます。

その他の主要国も、見てみましょう。
中国は6862kg/人、32番目、アメリカは13469kg/人、11番目、ドイツは7242kg/人、29番目、イギリスは4696kg/人、43番目、フランスは3852kg/人、54番目でした。
先進国は、軒並み日本より優れた数値です。
原発比率が高いフランスやイギリス、フランスの原発の恩恵を受けるドイツとの単純比較はブェアではないかもしれません。
ですが、少なくとも日本の技術力の優位性は、どこにも見られません。


最後に、GDP比、人口比それぞれの対数から偏差値を算出し、平均を見てみましょう。

日本の偏差値は49.5点で、全体の37番目でした。
オーストラリアは54.3点で、23番目でした。
ノルウェーは41.8点で、71番目でした。

最も良いのは、スイスの35.5点でした。
主要国では、中国は55.2点で19番目、アメリカは52.8点で25番目、ドイツは47.0点で49番目、フランスは40.2で61番目でした。


どう見ても、日本は褒められたレベルではありません。
今の日本は、「北朝鮮化」を突き進んでいるように見えます。

大学ランキングでは、アジアのトップ10にさえ、1校も入っていません。世界では、トップ100にさえ、2校しか入らないのです。トップ500でも、8校です。
日本の人口は世界の1/60なので、大学ランキングは、人口比か、それ以下です。
日本は、最早、先進国ではありません!

研究開発費は削減され、ポスドクが溢れ、軍事予算だけを倍増しようとしています。
日本の技術的な優位性は、20年後には皆無となり、アジアの辺境にある後進国に落ちぶれるでしょう。そして、唯一残る武力で、周辺国に譲歩を求めるのです。
これを「北朝鮮化」と言わずに何と言うのでしょうか。
根っこは、「化石賞」も似たところにあると、私は考えています。

日本が進むべきは、軍拡ではなく、科学立国です。
このままでは、「化石賞」さえ授与されなくなります。
今は先進国に遅れを取っていますが、教育と研究開発に予算をシフトさせれば、元々が勤勉な日本国民なら取り戻すことも可能です。

私は、そんな政治を期待しています。

若い世代が、地球への攻撃を止めるように訴えています。


地球温暖化の対策が遅々として進まないことに、日本でも、世界でも、若い世代が一斉に抗議の声を上げています。
彼等から見ると、国と国の諍いなんか、小さな事柄なのです。

軍備の増強?
GDP比で2%の防衛予算?
そんな予算があったら、温暖化対策に回すべきだと言っているのです。


私は、この若い力に期待しています。
今は、世論の一部に過ぎませんが、若い世代の投票率が向上すれば、より大きな流れになるはずです。
現時点では、若い世代の受け皿になる政党や候補者は存在しません。ですが、日本の未来を考える政党を結成し、国政に若い議員を送り込むようになれば、既存の政党も危機感を持ち、その意識も変化するかもしれません。


老人が遊んで暮らす国より、若い世代が夢を語れる国の方が、私は好きです。
お金は大切(経済)です。
ですが、生きていくのに充分な額があるなら、それ以上を求める理由はありません。
時間的に余裕があるのなら、趣味に生きても良いでしょう。あるいは、報酬を目的としない仕事で、社会に貢献するのも素晴らしいことです。
そのような国は、幸福度は高いはずですが、GDPは必ずしも高くないはずです。つまり、GDPがあるレベルを超えれば、経済の優先度はドンドン下がっていくのです。
それを理解できれば、経済への認識も変化するはずです。


持続可能な形で地球に住み続ける方法を、人類全体で考えるべき時代が来ています。
若い世代は、そのことを肌で感じているのです。

当ブログは、そんな若い力を応援しています。

東京都は、2030年までに域内で販売される自動車を電動化する目標を、発表しています。同時に、50%を電気自動車にする目標を設定しました。
電気自動車(EV)には、燃料電池車(FCV)を含まれるようです。

純ガソリン車、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車のCO2 排出量を、大雑把に計算してみましょう。

計算に使うのは、以下の車とします。
車体の大きさ、重量、駆動方式等、燃費に影響しそうな要目をなるべく近付けました。

・純ガソリン   マツダ3   1360kg 15.6km/l
・ディーゼル   マツダ3   1410kg 19.8km/l
・ハイブリッド  プリウス   1370kg 30.8km/l
・電気自動車   リーフ    1450kg 114Wh/km

※標準的なグレードで比較しています。個々の数値は当該グレードの値です。

※今回は、水素の大半は、副産物が利用されているためか、水素の製造時の二酸化炭素排出量の
 データを見つけられませんでした。そのため、燃料電池車は比較していません。


概算ですが、走行1km当たりの二酸化炭素排出量は、以下のようになります。

・ガソリン車   150g/km
・ディーゼル車  130g/km
・ハイブリッド車  75g/km
・電気自動車    55g/km


電気自動車でも、大量のCO2 を出していることがわかります。
発電の約8割が、化石燃料を使用する火力発電のためです。

これを解決しなければ、下手をすると温室効果ガスの排出量を増やし兼ねません。
また、製造から廃棄までのライフサイクルでも、温室効果ガスを大量に排出しています。
例えば、主要材料である鉄は、大量のコークス(石炭の一種)を燃やします。当然、大量の二酸化炭素を排出します。
電気自動車では、電池に使うリチウムも、精製や輸送で二酸化炭素を排出します。
更には、自動車には、様々なプラスチック製品が使われていますが、これらは石油から作られており、焼却処分をすれば、大量に二酸化炭素を排出します。

このように、ライフサイクルの中で、大量の二酸化炭素を排出するので、カーボン・ニュートラルを実現するためには、ライフサイクル全体にメスを入れる必要があります。



そこで、一般的な温室効果ガス排出税とは別に、自動車税に二酸化炭素排出分を追加課税をします。
こちらは、原料輸入、製造から廃棄、最終処分に至るまで、全工程の温室効果ガス排出量に見合う課税をします。
ただし、電気自動車や燃料電池車の普及を目指すため、当面は減免し、2050年までに段階的に100%課税まで減免措置を解除していきます。
順調にカーボン・ニュートラルが進めば、自動車税は増えず、むしろ下がります。

このような手段を取るのは、自動車業界の資本や技術が、電力業界や石油材料業界にも流れるようにするためです。
もう一つの目的は、自動車製造に拘らず、人と物の移動の全般に関わってほしいのです。
人や物を運ぶ全ての業界で、自動車業界が培ってきた高い技術を活かしたいところです。


カーボン・ニュートラルは、温暖化対策において、当面の目標として有益です。
ただ、カーボン・ニュートラルは、中間目標であって、最終目標ではありません。
カーボン・ニュートラルは、アルコール燃料を含むバイオ燃料が、大きな比重を占めることになります。
下手をすると、裕福な人は、貧しい人の食糧を奪って自動車に喰わせることなりかねません。個人だけでなく、国家でも同じことが起きる可能性がある高いのです。
これを防ぐには、バイオ燃料に依存しないことと、食糧自給率の向上が必要不可欠です。

日本政府の中核は、この発想が極めて貧弱です。(野党も同じなのが辛い)
菅義偉氏が打ち出したカーボン・ニュートラルは、どこまで考えていたのか、寂しい気持ちになりました。

自民党総裁が決まりましたが、どの程度の視野の広さがあるのか、見てみたいと思います。 

菅義偉氏が、通常国会の所信表明で「2050年のカーボン・ニュートラルを目指す」と発表して、間もなく1年を迎えます。
この間、目立った動きは見られません。
ゴール地点をイメージできていないから、進む方向が見えてこないのだろうと思います。

というわけで、ゴール地点をイメージしてみましょう。



当ブログでは、2100年の日本の姿を想像していますから、3分の1しかない2050年を想定するなんか、楽勝です・・・たぶん・・・


さて、カーボン・ニュートラルで気になるのは、原油消費量です。
カーボン・ニュートラルが実現すれば、原油輸入は無くなるのでしょうか。


原油の用途は、約8割がエネルギ源ですが、2割は化学製品の原料となります。
化学製品の2割はリサイクルされますが、燃料として利用される分が少なくありません。更には、ドライアイスのように、CO2 そのものとしての再利用もあり、大半はCO2 に変わります。

カーボン・ニュートラル下の化学製品は、2つの方向性が考えられます。
一つは、100%のリサイクルを目指すことです。化学製品から化学製品を再生するのです。同時に、回収率も、100%を目指すことになります。
もう一つは、化学製品を捨て、代替製品へ移行することです。木や竹、あるいは自然素材に加熱・加圧した新しい素材で、化学製品の代替を目指します。


なぜか、新素材の開発を、政府は主導しません。それどころか、国の研究財源は、削減が続いています。国立大学には、ファンドで資金調達させようとしています。
ファンド形式の資金調達では、目先の成果が優先されます。また、出資側の要望が強く現れることになります。これでは、長期的な視点で研究を進めることはできません。
そもそも、こんな研究は、企業内で進めるべきです。大学との役割分担を考えたなら、こんな政策にはならないはずです。
 何を考えてんだか・・・


菅義偉氏が発表したカーボン・ニュートラルは、アフターコロナの経済対策です。カーボン・ニュートラルのための技術開発や投融資を惹起させ、経済を動かそうとしたのです。
実は、GOTOトラベルや大学ファンドも、経済最優先の政策です。
菅義偉氏は、常に経済を主体に考えていたようです。

でも、経済を理解できているようには思えません。
単なるアイデアで終わっていたように感じます。
経済を動かすには、駆動力だけを考えても、思うように前に進みません。制動(障害)を解除(除去)しないとだめです。それも、単なる規制撤廃ではなく、法体系から見直すべきです。
目先の成果のために、小手先だけの政策をしても、長期的な発展には繋がりません。
菅義偉氏には、そういった視点がないのです。


菅義偉氏は、カーボン・ニュートラルを打ち出せば、企業活動が活発になると思い込んでいるようですが、そんなに簡単ではありません。

カーボン・ニュートラル自体も、二つの方向性が考えられます。

一つは、日本独自の技術を開発して、カーボン・ニュートラルを達成する流れです。
これは、当ブログの『2100年の日本の姿』の基本スタンスです。

もう一つは、世界で同期してカーボン・ニュートラルを進める流れです。
日本1国でカーボン・ニュートラル技術を発展させても、グローバル化しません。むしろ、他国から排除されるリスクがあります。
経済目的のカーボン・ニュートラルなら、グローバル視点がないと意味がありません。
ただ、カーボン・ニュートラル技術をグローバル化で進めるなら、ISOを含む規格の統一が、大きな比重を占めることになります。
これに積極的に参加しなければなりませんが、研究開発費を出し渋ってきた日本には、主張に技術的な背景が弱くなってきており、主導することが難しくなっています。

この辺りの改善の動きが、見えてきません。
報道されないだけかもしれませんが、菅義偉氏にイメージがあったとは、所信表明演説からは読み取れませんでした。



菅義偉氏の政権は、間もなく終わります。
次に誰が総理になるのかは、選挙権のない自民党の総裁選挙なんかではなく、選挙権がある衆議院の総選挙が重要です。

それによって、カーボン・ニュートラルの進め方も変わってくるでしょう。


衆議院が任期満了まで続くことも、現行憲法下では45年ぶり2度目です。
それも、任期満了日の10月21日より前の30日間ではなく、任期満了日に解散することで、解散日から40日以内の総選挙とすることが予想されています。その場合、11月28日投票となるそうです。
史上、最も間隔が開く衆議院議員選挙となりそうです。それも、衆議院議員不在の期間が生まれそうです。

現在、野党からの臨時国会招集要求を拒否しており、憲法53条違反が取り沙汰されています。

衆議院議員不在に、憲法違反と、何とも酷い政府・与党です。
公明党は、それでも自民党と一体で進むつもりなのか、注目していこうと思います。




何だか、カーボン・ニュートラルから逸れてしまいましたが、気になる方は、下記のリンクを御覧ください。



フェーン現象は、ほとんどの方が御存知でしょう。
簡単な理解では、「南寄りの風が山を越えた際に高温になる現象」ですね。
もう一歩、踏み込むと、「湿った大気が山を越える際に降雨で水分を失うため、山を吹き下す際に水分の潜熱の分だけ高温になる」との理解で良いと思います。

ところが、これに反する研究が発表されました。


最新の研究では、これまでの熱力学的なフェーン現象より、単に力学的なフェーン現象の方が多いことがわかったそうです。
北陸地方で発生した198件のフェーン現象の内、161件(81%)が力学的なフェーン現象だったそうです。

熱力学的なフェーン現象は、前述のように山を越える際に水分を失うことで発生します。
これに対し、力学的なフェーン現象は、元々上空にあった大気が、山の風下側で下層に吹き下ろす際の断熱圧縮で高温になる現象です。

確かに、フェーン現象が起きた時、山の風上側で降雨があるのは多くありません。
降雨が無ければ、水分は大気中に残るので、山の風下側でも、風上側と同等の気温にしかなりません。つまり、フェーン現象にはなりません。


この研究が、今後の天気予報に活かされることを願っています。



外航船(国を跨いで航行する船)の燃費についての格付けが、国際海事機関(IMO)の6月会議で関連条約の改正によって導入されることが、決まる予定です。
船舶の新造は、中国が4割、韓国が3割、日本が2割で、この3国だけで世界の9割を超える船舶が建造されています。
今回の条約改正は、この3国やドイツ等を含む19ヶ国が共同したものです。
施行は、2023年からとなります。


燃費の悪い船舶から燃費の良い船舶への更新を促し、2008年との比較で、CO2排出量を2030年までに40%、2050年には半減させることを目指しています。
燃費の格付けは、A〜Eの5段階に区切られます。E評価は直ちに、3回連続でD評価となった場合も、所有者は政府に改善案を提出しなければなりません。

関係者は、日本が有利になると期待していますが、正直なところ、疑問があります。
日本が有利になると見る根拠ですが、対策または更新が必要となるDとEの割合(各国建造分に占める割合)は、日本製は17%しかないのに対して、中国製は33%、韓国製は36%だからです。
この数字は、新造に繋がるものですが、どの国で建造するのかは、別問題です。同じ国で建造するのなら、更新対象の船舶が少ない日本は、不利になります。
また、日本の低燃費技術が高いかと言うと、そうでもなさそうです。
最高格付けのAの割合は、日本製は27%、中国製は17%、韓国製は16%です。
これが1%や2%なら、低燃費船の建造技術を習得できていないと見ることもできます。ですが、これだけの割合で建造できているなら、技術面での日本の優位性はないと見るべきでしょう。

別の面でも、この格付けは疑問を感じます。
Aランクは、既に実現できている技術レベルにすぎず、30年以内に求められる水準には遠く及びません。むしろ、「充分な努力をしている」との言い訳のためと思われます。
実際、以前に紹介したような省エネ船は、その多くが日本ではなく欧米で開発されています。過去には、日本でも硬式帆船が実現的に建造されたことはありますが、全体としては、日本は出遅れているとも言えます。
数日前に発表された水素で動く船(想像図から全没型水中翼船。動力は燃料電池)も、スイスが設計し、日本で運用するのだそうです。 これも、海外の技術(燃料電池はトヨタが6年前に解放した特許を使うのかも)です。
今回の格付けで日本が有利になると考えるには、要素が不足しているように思います。

この格付けは、6月の会議で承認されても、遠からず再改定されるかもしれません。
私なら、前述の改正案のA、BをCランク、CをDランク、D、EをEランクとした上で、新たにS、A、Bランクを設けます。
Bランクは、今回のAランクの半分程度します。
Aランクは、カーボンニュートラルを達成した船舶とします。
Sランクは、建造から廃船処分までの全工程でカーボンニュートラルを達成した船舶とします。

人類が目指さなければならないのは、地球上での人類の全ての活動で、カーボンニュートラルとすることです。
つまり、私が提案するランクで、最高ランクのSランクが最終目標となります。
IPCCは、「2050年にはCO2の排出をゼロにする必要がある」としています。それを踏まえると、今回の条約改正は、その意欲に疑問を持ちます。

うっかりしていると、日本の造船業界は消滅する可能性があることを、関係者は理解しておくべきでしょう。その上で、バイオ燃料等の研究費を増額し、近未来の日本を作っていかなければなりません。

トヨタ自動車は、太陽電池によって発電した電力で人工的に光合成を装置の改良に成功したと、発表しました。
この装置は、二酸化炭素を含む水に酸化電極と還元電極を入れ、太陽電池の電力で二酸化炭素からギ酸(CH2O2)を生成します。
効率は、入射した太陽光のエネルギーの7.2%がギ酸の生成に変換されたとしています。具体的な記述はありませんでしたが、おそらく、ギ酸の化学エネルギーへ変換できる割合が、7.2%なのだと思います。


さて、実際の植物は、どれくらいの効率なのでしょうか。
多くの植物の光合成の効率は、1%以下と言われています。人工的に高効率になる環境を与えても、5%には届かないだろうとも、言われています。

となると、エタノール燃料で車を動かすことは、効率が悪いことになります。どんなに工夫しても、太陽光から得たエネルギの1%も、車を動かすためには使えないはずです。
太陽電池の効率は20%を超えており、送電や蓄電によるロスがあっても、光合成の10倍以上の効率は得られるはずです。
前回の話題である『人工光合成』でも、7.2%でした。
人工光合成の生成物はギ酸なので、これをエタノールに変換する必要があります。パナソニックの古い研究では、この過程で、エネルギの1/4が失われるようです。
人工光合成を用いても、エタノール燃料は太陽電池を超えられそうにありません。


エタノール燃料は、電動化が難しい動力に利用するのが良いと思います。
つまり、蓄電量では不足する船舶や、重量の制約が大きな航空機のカーボンニュートラル燃料としての利用です。
ですが、自然発火しにくいのでディーゼルエンジンには不向きと思います。
「エタノール燃料という手段もある」くらいに考えておいた方が、良さそうですね。

ギ酸からメタンを作ることも可能ですので、現状のコンバインドサイクルの発電所の燃料とすることも不可能ではないと思います。
コンバインドサイクルも、船舶なら搭載できるかもしれません。ですが、ガスタービンとランキンサイクルの2種類のエンジンを搭載しなければならないので、スペース面で経済的とは言えません。


考えてみると、エタノール燃料を含むバイオ燃料は、次世代エネルギ源としては、あまり有益ではなさそうですね。

火星探査車パーシヴィアランスに搭載されたMOXIE(the Mars OXygen In-situ resource utilization Experiment の略)を用いて、二酸化炭素から酸素を取り出すことに成功したそうです。

MOXIEは、火星大気中の二酸化炭素を圧縮・加熱して、一酸化炭素と酸素に分離後、加熱&低電圧を印加したセラミックメンブレン膜で、酸素を収集する仕組みだそうです。
MOXIEの諸元は、以下の通りです?

・サイズ  :239×239×309mm
・重量   :17.1kg
・消費電力 :300W
・酸素生成量:10g/h

今回の実験では、1時間に約5gの酸素を生成できたそうです。
これは、10分間の呼吸量に相当するとのこと。
当ブログでは、ダイエット法について書いていますが、その際は、10分間で約3gと計算しています。これは、安静状態をベースにしたためです。
それより多い酸素消費量ですので、軽い作業を想定しているのだと思われます。

1時間に300Wを消費して5gの酸素を生成できるなら、60W/gの性能です。



この装置、温暖化が懸念される地球で使えるでしょうか。

まず、二酸化炭素の分圧を考えてみましょう。
火星の大気圧は750Paで、二酸化炭素の割合は95%なので、二酸化炭素の分圧は713Paくらいです。
地球の大気圧は101300Paで、二酸化炭素の割合は0.040%(400ppm)くらいなので、二酸化炭素の分圧は41Paくらいです。
地球の二酸化炭素の分圧は、火星の1/17ほどしかないので、同等の性能を出すことはできないでしょう。

他にも、地球の酸素分圧が高いので二酸化炭素から酸素を取り出しにくいとか、地球は窒素が多く装置内が高温であることから窒素酸化物が生成されてしまうかもしれないこととか、副産物の一酸化炭素は僅かでも中毒を起こすので大気中に放出できないこととか、色々と気になります。

私は、MOXIEの仕組みが理解できていないので、上記の説明は間違っている可能性があります。
でも、地球では、火星と同等の性能は出ないことは、確実だろうと思います。



MOXIEと似たもので、人工光合成があります(仕組みは全く異なる)が、こちらは、後日、書くつもりです。

カーボンニュートラルを実現するための施策に、『カーボンプライシング』があります。
簡単に言うと、二酸化炭素排出量を販売単価に反映させるのです。二酸化炭素排出税や排出権取引によって、製品価格に転嫁します。

最も手っ取り早い方法が、石油・石炭・天然ガスなどに輸入関税をかけることです。
日本は、石油は99.7%、石炭は99.3%、天然ガスは97.5%を海外に依存しています。なので、ここに関税をかければ、末端までカーボンプライシングが届きます。
この考えによる『地球温暖化対策税』が2012年から始まり、2016年からは予定されていた最高税率で課税されています。

これらの施策の欠点は、国内法であることです。つまり、海外で生産された製品には、課税されません。
この対策として、『国境調整措置』が検討されています。
これは、二酸化炭素排出量の削減ができていない国からの輸入には関税をかけ、輸出には補助を出すやり方です。欧米では、既に検討・実施されています。

ですが、『国境調整措置』には、いくつかの問題があります。

まず、『国境調整措置』を実施している国から「日本に対して何ができるのか」です。
『国境調整措置』は、恣意的に運用できます。
相手国の二酸化炭素排出量は、正確には判定しにくいところがあります。
例えば、該当国が「個人の暖房需要が多いので、産業の排出量は少ない」と主張した場合、どう判断すれば良いでしょうか。正確な判断は難しいので、『国境調整措置』を発動した国の主観的な判断で運用することになります。
これを拡大すると、例えば「石炭火力を使っているから」とか、「再生可能エネルギー比率が低いから」とか、「製品の生産量を偽っている(単品当たりの二酸化炭素排出量を偽る)」とか、いくらでも恣意的に運用できてしまいます。

逆に、日本が『国境調整措置』を運用する場合、関税外貿易障壁として扱われる可能性もあり、TPPの規定に抵触するかもしれません。
日本の貿易は、TPPで縛られています。
TPP加盟国が、二酸化炭素を大量に排出しながら安価に製品を生産していても、関税をかけることは難しいはずです。
また、『国境調整措置』が恣意的に運用できるので、TPPに『国境調整措置』を盛り込んでしまうと、TPPの本来の自由貿易が崩れてしまう。
また、『国境調整措置』を組み込む条件として、日本が持つ高生産効率の技術供与が持ち出されるかもしれません。その場合には、日本の技術開発費が回収できません。また、国内企業は、海外での技術開発にシフトするかもしれません。
また、国家主導による技術開発も、TPPによって制限を受けるはずです。



当ブログでは、かねてからTPPには反対の考えを伝えてきました。
当ブログの主目標である食糧自給率の向上でも、副目標である地球温暖化の防止でも、TPPは足枷になります。だから、反対の意思を表明していました。
カーボンプライシングも、TPPの影響を受ける可能性があります。
日本が、目先の経済を優先するために他国に流され続けるなら、様々な面で世界から遅れていくことになりそうです。

既に、成立してしまっているTPPですが、それならば、二酸化炭素排出量削減で先進的な取り組みが行われることを期待します。日本が主導することによって、日本国民の生活の向上に繋げてほしいものです。
その上で、TPP加盟各国の共栄を図ってもらいたいものです。
(接待漬けの官僚には無理だな・・)
 

自動車の電動化が打ち出され、日本の自動車メーカーも重い腰を上げようとしています。
自動車の電動化だけがカーボンニュートラルではないので、二面から見てみましょう。


まず、内燃機関を搭載するカーボンニュートラル自動車を考えてみましょう。
現在の日本では、乗用車に搭載される内燃機関は、圧倒的にガソリン(オットーサイクル)エンジンが多く、ディーゼルエンジンは一部です。逆に、バスやトラック等の大型車は、ほぼディーゼルエンジンです。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの燃料は、それぞれガソリンと軽油です。
ガソリンも軽油も、石油から生成されます。日本に輸入されるサウジアラビア産原油からは、ガソリン19%、灯油・軽油46%、重油34%に分離されます。軽油は、国内生産量を上回るため、輸出しています。

人工的に生成できる燃料としては、エタノールと、ユーグレナによる燃料があります。
エタノール燃料は、ガソリンの代替燃料です。発熱量が少なく、材質によっては腐食等の問題がありますが、現時点でも広く使われていて、エンジンや自動車側に大きな問題はないでしょう。
残る問題は、食糧生産とトレードオフ関係にあることです。
食糧自給率が100%を大きく下回る日本では、エタノール燃料は不向きでしょう。

ユーグレナ燃料は、灯油の代替が期待されます。
ディーゼルエンジンでは、灯油でも重油でも動作します。
ただし、ユーグレナ燃料は、現時点では、灯油も軽油も完全には代替できません。また、ディーゼルエンジンは、燃料ポンプの潤滑を燃料の粘性を利用するため、燃料の性質に合わせて設計を変える必要があります。同時に、燃料の品質が一定していなければなりません。
ユーグレナは、現時点の食品利用は多くありませんが、今後は食糧とのトレードオフ関係になる可能性があります。


電気自動車は、大きく二つの問題があります。
一つは、蓄電池です。
充電量と充電時間が、実用レベルに達していません。充電量は、搭載する電池の量を増やすことで、ある程度は改善できます。
ですが、重量や搭載方法を考えると、小型軽量化は必須です。そのための新技術の開発は、国策として進めていくべきでしょう。

もう一つが、元々の発電方法です。
電気自動車に供給する電力は、3/4以上が化石燃料で作られています。電気自動車で需要が増加すれば、電力消費も増加します。
今冬には、大雪によって電力需給が逼迫する事態もありました。
電力不足の原因は、再生可能エネルギー発電(以下、再エネと略す)が、積雪で大幅に低下したためのようです。再エネ発電は、天候や日照時間の影響が大きいためです。

そこで、供給過剰時のみ電力を販売する電気自動車専用の充電ステーションがあったら、面白いと思います。
例えば、太陽光発電が過剰になる夏場の日中にだけ、電気自動車に電力を供給するのです。なので、夜間はいつまで経っても充電されません。
その代わり、電気代は原価(固定買取価格)に近い安価なものとします。
ただし、原価割れにはしません。原価割れを起こしてまで、再エネの電力を販売する理由はありません。
原価割れを再エネ発電事業者が負担するなら、話は別です。ですが、発電量が増える時に電気自動車に充電することになるので、再エネ発電事業者は利益どころか、電力を廃棄物扱いすることになります。これでは、再エネ発電を衰退させます。
再エネによる電力供給の変動分を吸収する手段の一つが、蓄電池です。ですが、必要な蓄電池は桁外れで、到底、用意できる量ではありません。
電気自動車の蓄電池を、再エネ発電の蓄電に利用することで、余剰分の一部を吸収させるのです。これは、再エネ発電の拡大ではなく、電気自動車の拡大を目的としているので、その視点でのアイデアです。

ところで、太陽光発電の買取価格は、12〜19円/kWhです。
仮に、20円/kWhで販売する場合、電気自動車の電費が8km/kWhとすると、2.5円/kmくらいになります。ガソリン単価を130円/l、燃費を40km/lとすると、3.25円/kmです。
電気自動車が有利になるので、電気自動車の普及にプラスになるかもしれません。
必要時に充電されているとは限らないので、利便性は低いのですが、電気自動車の充電量が増えれば、余剰電力が多い土日に充電して平日に使うような利用形態もあります。

電気自動車は、もう一つの道が考えられます。
FCVです。
燃料の水素は、余剰電力で生産します。つまり、余剰電力を水素の形で保存し、必要時に電力として利用する考え方です。
ただし、水素を生産するためには、電力の他に大量の水が必要になります。細かく見れば、電極の素材も消耗するので、これもかなりの量が必要になります。
ただ、静岡県知事の反応を見ると、水の確保も、相当に難しいでしょう。
同時に、廃棄物として出る大量の酸素も、問題になるはずです。
ただ、蓄電池だけで走る電気自動車よりも、日本では可能性があるように思います。


自動車の未来を考えてきました。
ざっと見ただけですが、日本はどんな方向性を考えるのか、今までの常識も見直す必要もあるでしょう。

例えば、バスとトラックで、同じタイプの動力を使う必要はありません。
中・大型トラックは、荷重が大きいのでRWDであるべきですが、荷重が小さいバスは、FWDが可能です。後輪は、逆位相操舵で小回り性を確保してもいいはずです。
FCVを含む電気自動車なら、モータは小型なので、FWDもRWDもAWDも容易です。コストを考えると、FWDかRWDになるでしょうが、自由度の高さは魅力です。

バイオ燃料を使う内燃機関の場合、ほぼ従来から変わりません。車の基本構造を変える必要はありません。
ただ、バイオ燃料は、低温で固化しやすいと聞きます。バイオ燃料を改質する酵素のようなものを開発しないと、実用的に使えないかもしれません。
トラックは、厳しい環境で使われることがあるので、それに耐えられることが条件に追加されます。


2050年のカーボンニュートラルに向けて、どんな方向性が出てくるのか、注目していきます。

ローターセール船を御存知でしょうか?
船に、帆柱のような円筒(ローター)を立て、それを回転させて推進力を得ます。
横から風を受ける時、ローターを時計方向に回転させ、ベンチェリー効果で推進力を得ます。もちろん、右からの風ならば、反時計回りの回転させます。
100年前から存在する古い技術ですが、今年になって、ノルウェーで可倒式ローターを取り付けたRORO船(SC Connector号)がデビューしたとのことなので、取り上げることにしました。


まず、RORO船を解説します。
Roll On・Roll Offの略で、簡単に言えば、貨物専用フェリーです。
フェリーとの決定的な違いは、原則として一般乗客を乗船させません。
(※例外的に12人までの乗客(通常は運転手)が乗船できる)
ROは、Rotorの略ではないので、御注意ください。

ローターセール船が推進力を得られるのは、横からの風です。
帆船と似ていますが、帆のように向きを最適化できないため、真正面だけでなく、真後ろからの風でも、推進力を得られません。
もちろん、角度をつければ推進力を得られるので、ジグザグに航行すれば良いのですが、そんな無駄な航路を航行するメリットがあるのか、気になるところです。

帆装でも、最も推進力を得られるのは、横からの風ですが、真後ろからの風でも推進力を得られます。大型帆船では見たことがありませんが、ヨットではスピネーカーと呼ばれる追風専用の帆もあります。
帆船も、最大の推進力を得られるのは、斜め後ろからの風です。
スピネーカーは別として、帆に働く力は、風の流れによって生み出される揚力です。なので、帆の表面を風が流れていく必要があります。
また、揚力は帆の面に垂直に働くので、帆は横方向に展開している時に、揚力を最大限に利用できます。つまり、ほぼ横風の時、最大の推進力が得られることになります。
ですが・・・

ですが、ですが、航行風ってあるんですね。
船が前へ進めば、当然、前から風が吹きます。実際に船が受ける風は、この航行風と自然風の合成風です。
船の真横から風速10m/sの風を受けている時、船が20ノット(約10m/s)で航行しているなら、合成風は斜め前方(約45度)から風を受けることになります。
これでは、最大の推進力を得られません。
実は、最大の推進力を得られるのは、斜め後方からの風なのです。

さて、航海速力が上がれば上がるほど、前寄りの風に変わります。
では、船は、真正面からの風では進めないのでしょうか?
真正面からの風でも、前へ進むことは可能ですし、模型では製作されたこともあります。
ですが、航行風で前へ進むことはできません。航行風を起こすためのエネルギーが、航行風から得られるエネルギーより大きくなる(損失があるから)ためです。
そもそも、航行風で船が動くなら、第1種永久機関になってしまいます。
合成風を考えると、風力を利用する船は、風速を超える速さで航行することはできないことが、わかります。


ところで、一般的な貨物船は、どれくらいの速さで航行しているのでしょうか。
特殊なものを除くと、15ノット前後です。これを風速に換算すると7.7m/sです。
実際の帆船は、どれくらいの速さで航行できるのでしょうか。
咸臨丸(3檣バーク型)は、37日でざっと10000kmを航行しているので、平均は6ノットくらいです。
世界一周のヨットレース、ヴァンテ・グローブでは、80日ほどでゴールします。
このレースの航路は、24000〜26000海里になると言います。南極周極流を利用できることもあり、平均で約13ノットで航海しています。
逆説的に見ると、スピードだけを追求しても、平均13ノットが限界となりそうです。
貨物船にしても、客船にしても、決められた期日に間に合うように到着したいところです。ですが、速度に特化したレース用のヨットでも、平均速度は13ノットで、貨物船の速度としては下限に近いところです。

「いやいや、帆走だけのヨットと違い、機走が主で、帆走は従の関係だ。速度はエンジンで維持し、帆走はエンジンの負荷を下げる役目だ」
それが上手くいけば良いのですが、航行風を考えると、中々微妙なところです。
貨物船の速度が15ノットなら、約7.7m/sの航行風が吹きます。真後ろから成分だけで、7.7m/s以上の風が吹かないと、推進力を得られません。
そのような気象条件を満たすことは、多くはないと思います。
なので、航海速力を抑える方が、風力を有効に使えるはずです。

さて、ローターセール船だけでなく、ノルウェーのお隣のスウェーデンでは、ワレニウス・マリン社が大型帆船オーシャンバード号の開発を進めています。
排水量32000t、全長200m、全幅40m、全高105m(短縮時45m)で、5檣スクーナー型に類型の帆船です。帆は、翼断面を持つ硬翼帆となっています。
速力は、10ノットだそうです。
一般的な貨物船より速力がありませんが、その分、風を有効に使えるのでしょう。



最後に、帆船の帆について、個人的なアイデアを紹介します。
帆は、機能的に飛行機の翼と似ています。
空気の流れを受けて、揚力を得ます。ですので、翼で使われる技術は、帆でも応用ができると思われます。
飛行機の離着陸時に、フラップを展開することは、多くの方が御存知でしょう。
民間旅客機は、隙間フラップが一般的ですが、水陸両用機であるUS-2では、吹き出しフラップと呼ばれる特殊なフラップが使われています。
US-2は、海上への離着水を行います。荒波の影響を抑えるため、民間旅客機よりも遥かに遅い50ノット程度の速度で離着水を行います。これを実現するために、吹き出しフラップが採用されました。(PS-1で採用し、改良型であるUS-2に受け継がれた)
吹き出しフラップは、動力を使って翼上面に気流を作り、翼上面から気流が剥がれるのを防ぎます。


これを応用し、帆に吹き出しフラップを付けることを提案します。
吹き出しフラップを付ければ、帆の面積以上の推進力を得られます。もちろん、抗力も大きくなりますが、揚力と抗力の合成が推進力になるので、抗力も推進力に変換できます。
もちろん、通常の帆では無理ですが、硬翼帆ならば、不可能ではありません。
1980年代の新愛徳丸から、散発的に硬翼帆を持つ貨物船が作られてきました。現在では、ウィンドチャレンジャー計画が進められているそうです。


硬翼帆の翼端に吹き出しフラップを設け、揚力を増やせるかもしれません。
また、一般的な吹き出しフラップではなく、オーグメンター翼も面白いかもしれません。

私には、ローター船のローターを回すより、吹き出しフラップの圧搾空気に動力を使う方が、効率が良いように思えます。
まぁ、自然風が相手ですから、フラップが効果を上げるほど、遅い気流が翼面から剥がれるのか、怪しいところはありますが・・・


政府は、2050年のカーボンニュートラルを発表しました。
民間の船舶の多くが、ディーゼルエンジンを動力としています。ディーゼルエンジンは、熱効率が高く、大型船の機関では50%を超えると言います。しかも、重油などの低質油も使えます。
なので、慌ててディーゼルエンジンから燃料電池などの代替動力に切り替えると、トータルではCO2排出量が増えたり、重油だけが余ってしまう可能性があります。
原油は、成分を分離して、それぞれに利用されます。ですので、特定の成分だけを使わないようにすると、原油の使用量は変化せず、使わない成分が廃棄物となります。その廃棄物が焼却処分されるようでは、本末転倒です。

広い視野を持ち、多角的に進めていかなければなりません。
前述の原油の利用削減も、バランス感覚と計画性が大切です。
社会の構造や運営も、同様です。
例えば、帆走が有効に使えるように、貨物船の航海速力を落としても成り立つ社会を考えていく柔軟性が必要ですね。

2050年のカーボンニュートラル実現のため、自動車の電動化が叫ばれています。
東京都では、2030年にガソリンのみで走る車を廃止、2035年には二輪車にも拡大するとしています。

これは、メディア関係出身者の考えそうなことです。
一見、良さそうに見えるかもしれませんが、考えが浅いですね。
仮に、全て電気自動車に変更しても、CO2排出量はほとんど変化しないはずです。なぜなら、電力の8割が火力発電だからです。
近年の自動車は、燃費が良くなっています。熱効率では、コンバインドサイクル火力発電には及びませんが、天然ガスしか使えないコンバインドサイクル発電に全てを切り替えることもできませんし、送電や充放電の損失も考えれば、電気自動車とガソリン車でトータルの効率は大差ないと思います。

単純な熱効率で始めましたが、自動車の効率は、本来なら輸送力に対する消費エネルギーで判定されるべきです。
人の輸送なら、1人を1km運ぶ際に必要なエネルギで比較するべきです。
基本的には、燃費での比較となります。
大型のハイブリッド車より軽自動車の方が燃費が良いことを考えると、ハイブリッド車に切り替えることでCO2排出量が増えることも考えられます。
軽自動車の燃費が良いのは、軽量だからです。
1人を運ぶために、どれほど余分な重量を減らすかで、燃費は変わります。だから、多人数乗車は効率が上がるのですが、自家用での平均乗車人数は2人程度なので、自動車自体の軽量化が燃費に直結します。

東京都の2030年までの電動化は、拙速なく印象を受けます。
政府の『2050年カーボンニュートラル』の向こうを張って、「こっちの方が凄いだろう」と喚いている印象です。だから、目標に至る過程は見えてきませんし、何が目的なのかも、曖昧になっています。
もちろん、東京都の宣言そのものが、カーボンニュートラルまでの道標の一つになり得ますが、目標だけでは精神論(政治家は大好きですよね、精神論)で終わってしまいます。
何らかの具体的なアクションが必要です。それがないなら、ただ注目を集めたい目立ちたがりです。


ところで、自動車の電動化は、可能なのでしょうか。
東京都は、ハイブリッド車もOKとしています。実際、電気自動車とハイブリッド車(マイルドハイブリッドは除く)で、CO2排出量は大差ないはずですから、この考えは間違ってはいません。
ですが、世界的なトレンドとしては、ハイブリッド車は『無策』として扱われます。
ならば、電気自動車にできるのか、と問われれば、日本の現状を踏まえると、不可能に近いと思われます。

今年1月の寒波では、全国的に電力不足に陥りました。
国内では、停止中の原発が多いことに加え、再生可能エネルギー発電が増えたことが、電力不足の原因となっています。
再生可能エネルギーの代表は、太陽光発電ですが、積雪や悪天候で発電力が低下することは知られています。風力発電も、無風では発電できないのはもちろん、台風のような強風でも発電できません。
再生可能エネルギーは、需要に合わせた発電量を得られないため、このような事態に陥り易い弱点があります。
この対策は、今回は書きませんが、自動車のEV化を進める際には、これを踏まえた議論が必要になることは、忘れてはなりません。

世間では、EV化に必要な電力は再生可能エネルギーで賄えるとする主張が多いようですが、簡単ではありません。
例えば、自動車が必要となる時間帯は、主に日中です。太陽光発電が利用できるのも、日中です。と言うことは、走行中の自動車に電力を送らなければなりません。
もし、自動車が夜間に使用されるのなら、日中に太陽光発電したものを直接的に自動車に充電できますが、自動車を使用する時間帯こそ、太陽光発電のピークになります。
案はありますが、効率や構造、インフラなどを考えると、中々難しいところです。
再生可能エネルギーで自動車を動かすことには賛成ですが、理念だけでは実現しません。
そこは、重要です。



ところで、東京都が打ち出した自動車の電動化は、ハイブリッド車を許容するようです。
ハイブリッド車には、ストロングタイプとマイルドタイプがありますが、軽自動車ではマイルドタイプがスズキから出ているくらいで、ストロングタイプは無かったと記憶しています。
東京都で軽自動車を販売するためには、各社とも、少なくともハイブリッド車を用意しなければなりません。
国内の各メーカーは、小型車や中型車に使えるハイブリッド技術や生産設備を有していますが、軽自動車用のストロングハイブリッド車は生産していません。
現状のハイブリッドシステムを軽自動車用に転用するためには、電池を搭載するために車体から再設計し直さなければなりません。
これをクリアしても、ハイブリッドシステム自体を再設計しなければなりません。
これらを考えると、最も対応が容易なのは、日産のe-Powerかもしれません。
e-Powerは、エンジンは発電にしか使わないので、現行のe-Powerのエンジンのみを軽自動車規格のエンジンに交換すれば、何とかなりそうです。モータや駆動系は、日産の系列である三菱i-MiEV用を流用できるかも。
まあ、仕様が合わないなど、そんなに簡単にはいかないのでしょう。
それでも、各社が、どんな東京都仕様の軽自動車を発売するのか、ちょっと楽しみです。

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