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カテゴリ:科学的好奇心 > 地震予知研究の手引き

地震予知研究の手引き
  1.はじめに
  2.現状の問題点1
  3.現状の問題点2
  4.現状の問題点3
  5.現状の問題点4
  6.地震予知の目標地点
  7.地震の規模
  8.地震の規模と場所の関係
  9.地震の発生時期
 10.地震の始まり1
 11.地震の始まり2
 12.規模の推定方法1
 13.規模の推定方法2
 14.規模の推定方法3
 15.地震発生時期の推定方法1
 16.地震発生時期の推定方法2
  : コーヒーブレーク1
  : コーヒーブレーク2
 17.研究方法1
 18.研究方法2
 19.研究方法3
 20.研究方法4
 21.研究方法5
 22.検証方法1
 23.検証方法2
 24.アマチュアの目指す方向
  : コーヒーブレーク3


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※「地震予知研究の手引き」は、目次がありませんでした。
 そこで、日付を詐称して、この目次を先頭に差し込む事にしました。
 (2017年1月12日)

度々罵詈雑言を繰り返してきましたが、未だに言い足りない分野が地震予知です。

なぜ言い足りないのか、自問自答してみると、
立派な肩書の大学教授が、専門外とは言え、研究者とは思えないほど出鱈目な地震予知を
繰り返している事に問題を感じているからだと、気付いたのです。
それ以外にも、巨大な発信力を持つメディアが、出鱈目な地震予知を賛美し、有料の情報を
推奨している現状にも、強い危機感を感じています。
「地震予知」で検索すると、地震雲やら体感やら訳の分からない素人による地震予知手法も
乱舞しています。
このような状況では、地震予知研究の裾野は拡がることはあり得ません。

私は、専門外やアマチュアを理由に、その地震予知を否定するわけではありません。
無線や天文分野では、プロとは違う角度からアマチュアが研究に参加しています。
例えば、電離層の発見には、アマチュア無線家が関係しています。
超新星や彗星の発見は、アマチュア天文家が活躍しています。
このように、アマチュアが活躍できる分野もあるのです。
もし、アマチュア研究者が真っ当な地震予知研究を行えば、広い範囲の情報を集約でき、
地震予知研究に貢献できるかもしれないとも考えているのです。

しかし、そのような下地を作るためには、解決しておくべき大きな問題が三つあります。
それは、以下のようなものです。
・経験則、あるいは宏観現象のみに頼っている。
・地震予知の三要素(時期・場所・規模)の全てを一つの手法で予測しようとする。
・地震予知手法の評価・検証を行っていない。
この三点は、「地震を予知できる」と主張する全ての研究者に共通する問題点です。
この問題点を全て解決できなければ、地震予知研究は出鱈目の域を脱する事はできません。

と言うわけで、
どうすれば地震予知に近付く研究ができるのか、その手引きをまとめたいと考えています。
数回に分けて掲載していきますので、よろしくお願い致します。


-地震予知研究の手引き(現状の問題点1)-

地震予知研究者に共通する問題点は三つありますが、
今回は「経験則、あるいは宏観現象に頼っている」点について、解説したいと思います。


巷の地震予知は、何らかの現象と巨大地震との関係を基にして行われています。
巨大地震と関係があるとされる現象は、例外なく偶然によって見つかっています。
日頃とは違う珍しい現象を経験した後に巨大地震が発生すると、私達はついつい
ああ、あれは前兆だったのか!」となるのです。
これが、俗に言う「宏観現象」です。

近年、様々な観測機器が開発され、観測結果もネットで公開されるようになったため、
一見、科学的に見える観測データも、宏観現象となり得るようになってきました。
その一例が、地震解析ラボが地震予知に使用する電離層の擾乱であり、
あるいはJESEAが用いる電子基準点のデータでしょう。

では、経験則、あるいは宏観現象は、何が問題なのでしょうか。
それは、地震との関係があると言い切れないことにあります。
なぜ、地震との関係に疑問があるのでしょうか。
第一に、宏観現象は地震より前に発生し、かつ地震発生前に終息していることにあります。
地震発生前に始まり、地震発生と同時に終息する現象であれば、前兆現象だと考えても
おかしくありません。
ですが、現象が地震発生前に終息するなら、それは地震とは無関係と考える方が自然です。
現象の終息から地震発生までの間を説明できない場合は、宏観現象でしかないのです。

第二に、前兆現象が発生する場所は、震源域の直上か、極めて近い場所であるはずですが、
巷の地震予知の中には、数千キロも離れた場所の現象と巨大地震とを関係付けている例も
あります。
地震は、マグニチュード7クラスでも、震源域の長さは概ね50キロ以下です。
数百キロや数千キロも離れた場所に前兆が現れるはずがありません。
震源域から離れた場所にも現れる現象は、宏観現象に過ぎません。


なぜ、このような疑義が生じる宏観現象を、地震の前兆と思い込んでしまうのでしょうか。
それは、地震と前兆の関係を論理的に思考しない事にあります。

一つは、地震予知の三要素(時期・規模・場所)を区別せず、単純に巨大地震と現象を
結び付けようとするところにあります。
二つには、地震と現象の関係を評価、検証しようとはしない事にあります。
偶然の可能性は無視し、悪魔の証明を逆手に「偶然とは言い切れないから前兆に違いない」
と考えてしまう姿勢に問題があるのです。

このような研究姿勢では、地震予知に成功する可能性は一枚だけ買った宝くじが一等に
当たる確率より遥かに低いでしょう。
だから、研究に向かう姿勢を改めなければならないのです。


-地震予知研究の手引き(現状の問題点2)-

前回は、宏観現象について説明しました。
ですが、一部には、「早川氏の地震予知手法は、ちゃんとした理論がある」と思っている
方が居られるかもしれません。
まさか、自ら『データさえきちんとしていれば問題ない』旨の発言をされている村井氏を、
「理論がある」と思い込んでいる方はいないと思います。
彼の電子基準点を用いた地震予知手法こそ、典型的な宏観現象なのですから。


早川氏に限らず、肩書の立派な方が公表している地震予知を妄信しておられる場合、
私のような人間が「巷の地震予知は宏観現象にすぎない」と申し上げても、思考停止から
抜け出せないのではないでしょうか。
この「地震予知研究の手引き」は、そのような思考停止状態から脱却して戴くことを本望と
していますので、最後までお付き合い頂けますようお願いいたします。


早川氏は、最終的にパッキと割れる前に小さな割れ目ができる際に生じる電磁気で電離層が
乱れると、説明しています。
これを「科学的」と見る方も多いでしょう。
ですが、かなりデタラメな説明にすぎないのです。
まず、従来から知られている要因で説明しきれない部分は、全て地震の前兆としています。
検証時の条件や制約、他の要因などは、全て無視です!
また、地震の前兆だと考えた際に矛盾しないのか、全く検証していません。
つまり、「電離層の擾乱は地震の前兆」との思い込みがあり、言い訳程度の検証しかして
いないのです。
例えば、電離層の擾乱を起こすために必要なエネルギーはどれくらいなのか、全く考えて
いません。

阪神大震災クラスのM7.0の地震のエネルギは、2×10¹⁵J(約5億5000万kWh)です。
これは、東京電力の1日分の発電量とほぼ同じです。
早川氏が地震予知に成功したとする最小の地震はM4.3ですので、東京電力の7.7秒分
の発電量とほぼ同じです。
早川氏は、7.7秒分の発電量にしか相当しない小さな地震の前に、更に小さく割れる
現象だけで電離層の擾乱が発生すると主張
しているのです。
地下深くのそんな小さなエネルギーで電離層を乱せるのなら、都市部の上空の電離層は、
いつでも乱れていそうなものです。

「早川氏の地震予知は高い成功率を上げている」とおっしゃる方も居られるでしょう。
それについては、彼の地震予知がマグレ当たりである事を、「もう一つの豊葦原中津谷
で、詳細に分析&確認しております。
この中では、私のデタラメな地震予知モドキと早川氏の地震解析ラボを比較しています。
その結果、私の地震予知モドキの予知成功率が80%だったのに対し、地震解析ラボの
成功率は66.7%しかありませんでした。
また、地震予知に成功していれば示すであろう統計的な傾向も、一切見られませんでした。


早川氏の地震予知手法は、エネルギー面から見ても、統計面から見ても、地震を予知できて
いると考える要素は見当たりません。つまり、宏観現象にすぎないのです。
なぜ、このような結果になってしまっているのかは、前回にも述べたように、
地震と前兆の関係を論理的に思考しない点にあるのです。
ただただ「この現象は地震の前兆に違いない」と思い込み、「前兆」と主張できるように
宏観現象から地震発生までの期間を延ばしたり、対象とする地震の規模を小さくしたり、
震源までの距離を広くしたりして、成功率を稼ぐ事にのみ精力を注いでいるのです。


これを読んでいる方には、早川氏や村井氏のように思考停止に陥ってほしくないのです。
是非、真っ当な研究手法を採り、地震予知の実現に近付いて戴きたいと思っています。

なお、次回も、現状の地震予知研究の問題点の指摘を行いますので、御了承ください。


-地震予知研究の手引き(現状の問題点3)-

地震予知研究の問題点について説明てきましたが、
今回は、「地震予知の三要素の全てを一つの手法で予測しようとする」件について、
説明します。


そもそも、巷の地震予知は、宏観現象を頼りにしています。
ですが、宏観現象と言えど、そうそう見つける事が出来るわけではありません。
だから、地震予知の三要素である時期・場所・規模のそれぞれに対応する宏観現象
揃える事は、それなりに難しいのです。
また、理論から導いていないので、宏観現象を見つけた際に三要素のどれと関係するのか、
考えもしないのです。
そのため、宏観現象から導き出す地震予知の三要素も、実にデタラメです。
では、巷の地震予知は、三要素をどのように決定しているか、簡単にまとめてみましょう。

1.時期
   多くは、経験に基づき、前兆とする宏観現象から地震発生までを固定値としている。
   宏観現象からの演算などで時期を決める事は、ほぼない。

2.規模
   宏観現象に比例して、推定する地震の規模を大きくする事が多い。
   ただし、宏観現象と地震の規模の関係は、ほとんどの場合、感覚的に決めている。

3.場所
   宏観現象の発生場所付近を地震の発生場所とする事が多いが、地震雲のように方角を
   特定するだけの場合もある。
   また、地震が発生すると見込まれる範囲と、宏観現象の関係は、明確ではない。


基本的に、宏観現象は地震の規模の予想にのみ使用し、時期や場所は規模に応じて広げる
傾向にあるように思います。
なぜ、このような傾向にあるのでしょうか。


一つには、宏観現象の発見プロセスにあります。
珍しい現象が発生した直後に巨大地震があると、その現象を前兆と思い込んでしまいます。
この前兆と思い込んでしまった現象が宏観現象です。
なので、宏観現象から地震まで間隔は、経験以外に特定する手段を持ちません。
結果、時期は固定的な値となるのです。

具体的に見てみましょう。
早川氏の場合、概ね電離層擾乱から3週間以内に地震が発生するとしています。
この値は、ほぼ固定されています。
村井氏の場合は、宏観現象の典型的な傾向を、時期の変遷から見て取れます。
彼は、当初は「電子基準点の異常から5週間以内に地震が発生する」としていました。
その後、5週間2~3ヶ月になり、半年になり、8ヶ月半になりました。
そして、熊本地震を経て今は2年に延びようとしています。
元々、時期に根拠がありません。だから、安易に伸ばしていけるのです。


二つめです。
三要素の中でも、地震の規模と宏観現象の関係付けは、意外にもデタラメです。
宏観現象は、地震の前に発生する現象ではなく、巨大地震の前に発生する現象なのです。
ですので、宏観現象と地震の規模との関係は、最初から無視されているのです。
つまり、「宏観現象は巨大地震の前にしか起きない」と、決めつけているのです。
ですが、地震の前兆があるのなら、観測の難易度はあるとしても、地震の規模に関係なく
前兆が現れなければ不自然です。
ですが、元々が珍しい現象なので、「有る」、「無い」の二つになる事が多いのです。 
それ故、宏観現象と地震の規模との関係は曖昧になってしまうのです。


総じて言える事は、経験的に見つけた貴重な宏観現象にしがみ付き、「前兆に違いない」
との考えから、無理矢理、地震との関係付けを行おうとしているのです。
その結果、地震予知の三要素は蔑ろにされ、曖昧な地震予知となるのです。


さて、折しもイタリアで大きな地震が発生し、サッカーの本田圭佑氏が地震予知研究への
サポートを申し出ました。
本田氏には頭が下がる思いですが、
残念なことに、地震予知研究の分野は錬金術師が跋扈する世界です。
本田氏のサポートが、有効に使われることを願わずにいられません。
本題目についての記事は、今後も1週間程度は続く予定です。
もし本記事が本田氏の目に触れる事があれば、少しはサポート対象を判断する材料に
なるのではないかと、(傲慢にも)思っています。


-地震予知研究の手引き(現状の問題点4)-

巷の地震予知の全てに共通する問題点の中でも、「評価・検証を行わない」問題は、
完璧に共通しています。
検証すれば、直ぐに地震を予知出来ていないことに気づくはずです。
いやいや、「村井氏は検証結果をネットで公開してるよ」とか、
「早川氏は検証基準まで決めて検証してるぞ」とか、言われるかもしれません。
ですが、科学的ではない基準で評価してみたり、単純な成功率を追い求めているだけで、
地震予知手法の評価に繋がっていないのです。


まず、成功率から見てみましょう。
成功率100%の地震予知は、実は誰にでもできるのです。
一年以内に、日本で、有感地震が発生する
この地震予知は、外れようがありません。
内容的にも、地震予知の三要素を満たしています。
でも、こんな馬鹿馬鹿しい地震予知は、誰も相手にしません。

ならば、これはどうでしょうか。
以半年以内に、関東地方の太平洋岸で、震度5弱以上の地震が発生する
地震予知っぽくなっていますね。
過去半年を振り返ると、この地震予知に相当する地震は、ちゃんと2回発生しています。
更に、東北地方にも、新潟から静岡にかけてのフォッサマグナ帯にも、南海トラフ一帯にも
地震が多い地域に漏れなく地震予知を出しておけば、100%に近い成功率になります。

成功率は、簡単に細工できます。
成功率が高いだけで地震予知ができていると思っている時点で、デタラメなのです。


具体的な例で、見てみましょう。
早川氏については、「もうひとつの豊葦原中津谷」で検証済みなので割愛することにして、
村井氏について、評価・検証ができていないか、見てみましょう。

村井氏の地震予知は、震度5弱以上の地震を予知しています。
対象は、、震度5弱以上になる地域であって、震源を予測する事ではありません。
村井氏自身の検証結果を見ると、2014年と2015年に発生した18件の震度5弱以上
の全ての予測に成功したとしています。これをもって、予知成功率100%としています。
ですが、詳細に見ていくと、正しく評価されていないことが分かります。

まず、予知成功の判定が甘いのです。
「奥羽山脈周辺と日本海側」としていた地震予知では、岩手県沖で地震が発生したので、
予知成功としています。
理由は、奥羽山脈周辺(?)にある北見市で震度5弱を記録したからのようです。
「南関東(駿河湾、相模湾、東京湾に面する地域と伊豆諸島)」としていた地震予知では、
地震速報区域でみると19区域が対象になっていました。
この中で震度5弱は1区域のみで、他の18区域では震度1の区域さえありました。
この地震だけを見れば、成功率は5.3%ですが、単に予知成功として扱われています。
逆に、彼の地震予知から外れていたながら震度5弱を観測した地震速報区域もありました。
村井氏は、2014年と2015年に発生した震度5弱以上の地震を100%予知できたと
言いますが、2014年と2015年で震度5弱以上を観測した40区域の内、34区域の
予知に成功したと言うべきなのです。

もう一つは、予知の三要素が極端に甘いのです。
村井氏の場合、震度5弱以上の地震を対象にしています。
これは、予知対象としては低くないレベルです。
一方、全国の7~8割に地震予知を出し続けています。
期間も、熊本には23ヶ月も出し続けていましたし、東北の太平洋岸は出しっぱなしです。
これでは、地震予知とは言えませんね。


巷の地震予知は、成功率に拘りすぎ、成功率向上の細工を繰り返しているのです。
  地震予知がどうあるべきかを忘れてしまっているのです。

というわけで、次回からいよいよ地震予知研究の手引きに繋がる内容に入ります!


-地震予知研究の手引き(地震予知の目標地点)-

前回は、「地震予知はどうあるべきかを忘れてしまっている」と結びました。

地震は、必ず起きます。
だから、デタラメに地震予知をしても、見た目には予知に成功したかのように見える場合も
あります。
でも、そんなレベルの地震予知では、実際の防災・減災には役に立ちません。
例えば、村井氏は次のように言っています。
我々が発行するメルマガでは、首都圏を含む南関東を
   史上初の最高位『レベル5』に引き上げ、特別警戒を呼び掛けています

これを踏まえてどんな防災・減災対策が取れるでしょうか?

 列車を止められるでしょうか?
 道路を閉鎖できるでしょうか?
 學校を休校にできるでしょうか?
 危険地帯は避難できるでしょうか?

どれも、できませんよね。
なぜか?
最大の問題は、期間です。いつまで警戒レベルが続くか、明確ではないのです。
仮に、列車を止めても、再開できる時期が分からないのです。
このデタラメ地震予知の信奉者の言い訳は、次のようなものです。
「地震対策の一環としてあくまで参考に見てる」
でも、個人で地震対策するなら、常に行っておくべきです。
地震予知が出てないから、今は地震対策をしなくてもいい」なんて考えてはいけません。



こう考えてくると、地震予知のあるべき姿が見えてくるのではないでしょうか。
地震予知の三要素は、かくあるべきなのでしょうか。

まず、規模はどうあるべきでしょうか。
被害が起きそうもない小さな地震は無視してよいでしょう。
具体的には、マグニチュード6以上を対象にすれば良いでしょう。
震度は、マグニチュード・震源からの距離・地盤の状態に影響されるので、地震予知の
範疇からはみ出てしまいます。予知の基準にはすべきではないと思います。

時期はどうあるべきでしょうか。
避難を前提に考えれば、避難を継続できるのは、備蓄を考えれば1週間が限度でしょう。
ならば、時期の幅は1週間以内であるべきでしょう。

場所はどうでしょうか。
地震の規模が大きいと被害が及ぶ地域も広くなるので、単純に決める事は難しいでしょう。
この項目は、宿題として残しておく事にします。


取り敢えずは、規模と時期について考えていくことにしましょう。
ちなみに、私の考えが正しいなら、場所の予知は解決できるはずです。


-地震予知研究の手引き(地震の規模)-

巷の地震予知の問題は、科学的ではない手法を用いていながら、
地震予知の三要素を緩めることで成功率を高め、その数値に満足していることです。
スタート地点の誤りに気付こうとせず、非科学的な地震予知を押し通しているだけです。
だから、地震の規模についてもいい加減です。

と言うわけで、地震の規模について、私見を説明していこうと思います。


1.地震の規模は、発生しないと決まらない

巷の地震予知では、当たり前のように地震の規模を予想しますが、実は、宏観現象では
地震の規模は予測できないのです。

地震は、地殻に蓄えられた歪が限界を超えたために、歪が一気に解放される現象です。
場所によって地殻に蓄えられる歪の量は大差ないはずです。
地殻に蓄えられる歪の量が10倍違うとしても、マグニチュードで0.7の差にもなりません。
ですので、地震の規模を決める要素は、地殻に蓄えられる歪の量ではないと分かります。
では、地震の規模を決めるのは何でしょうか。
それは、震源域の広さです。


2.地震の規模は、震源域の大きさで決まる

地殻に蓄えられる歪の量が大差ないなら、大きな歪を蓄えるためには大きな容積に蓄える
しかありません。
実際、地震の規模に比例して、震源域の容積は広くなします。
マグニチュード9.0の東日本大震災では、震源域の長さは450kmでした。
マグニチュード6.9の阪神大震災では、震源域の長さは42kmでした。
両者のエネルギの差は約1400倍ですので、長さの3乗と近い値になる事が分かります。
このことからも、震源域の大きさが地震の規模を決める事が分かるでしょう。


3.宏観現象では、地震の規模は分からない

宏観現象は、地震の前に発生する一時的な現象です。
ですので、継続している状態を示しているはずがありません。
一方で、地震のエネルギー源の歪は、数十年から数千年もかけて蓄積するものです。
ということは、地震の前に突発的に発生する宏観現象は、地殻に溜まった歪の量を示して
いないと分かります。


少し内容が濃くなってきたので、記事をまとめるのに時間が掛かるようになってきました。
次回も、この続きになります。


-地震予知研究の手引き(地震の規模と場所の関係)-

地震予知の三要素で、「場所」については目標値を設定していませんでした。
勘の良い方は、既に答に気付かれているのではないでしょうか。

地震のエネルギーは、地殻に蓄えられた歪です。
また、地殻に蓄えることができる歪の量の限度は、地震の規模にはほとんど影響しない事も
説明済みです。
地震の規模は、震源域の大きさに比例します。
ならば、地震の規模を予知するためには、現時点で地殻に溜まっている歪を計測すれば良い
のです。

では、どれくらいのメッシュで、地殻の歪の状態を調べれば良いのでしょうか。
地震予知研究の手引き(地震予知の目標地点)」で書いたように、マグニチュード6以上を
予知の対象とする予定です。
この大きさの震源域の長径は15km弱、短径はその半分程度になります。
こう考えると、メッシュは5km程度にする必要がありそうです。

ついでに、マグニチュード毎の震源域の長径の概算を列記しておきます。
  マグニチュード6.0   14km
  マグニチュード7.0   45km
  マグニチュード8.0  140km
  マグニチュード9.0  450km


ここまで書けば分かると思いますが、地震の規模を予測するために細かなメッシュで地殻に
蓄えられた歪を測定すれば、結果的に地震が発生する場所も同時に分かってしまうのです。
地震の規模を予測できるなら、地震の発生場所はピンポイントで分かるのです。



ところで、巷の地震予知がデタラメだと言うことが、分かりますね。
巷の地震予知では、地震の発生場所の予測が異常に広いですから、地震の規模が
分かるはずがないのです。


-地震予知研究の手引き(地震の発生時期)-

地震の規模と場所は、どこにどれくらいの歪が溜まっているかを調べれば分かりそうです。
では、地震が発生する時期は、どうなんでしょうか。

地震発生の時期の予測を考える前に、前兆現象の規模を考えておきましょう。


前回までの内容から、地震の規模は、震源域の大きさによって決まる事が理解できていると
思います。
このことから、地震のタネは非常に小さなもので、それがどこまで拡大するかは、地震の
タネができた場所の周辺の歪みの状態で決まると考えられます。
地震のタネができた場所が偶々広く歪みが溜まっている領域だったなら、大きな地震になる
のです。
となると、地震の前兆は、この地震のタネよりも小さなエネルギしかないことになります。
では、地震のタネの大きさはどれくらいでしょうか?

気象庁のデータベースを見てみると、観測史上最小の有感地震はマグニチュード0.2です。
地震のタネは、この地震と同等以下の規模だとわかります。
マグニチュード0.2は、約13万ジュールのエネルギに相当します。
これは、時速40キロで走行中の小型乗用車の運動エネルギに相当します。
地下10キロでマグニチュード0.2の地震に相当するエネルギが放出されるとすると、
10キロ離れた場所で、時速40キロの乗用車が崖に激突するのと同等だということです。
もちろん、精密な計測装置を用いれば、これを捉えることは難しくないでしょう。
ですが、この程度のエネルギで、電離層の擾乱や電子基準点の隆起・沈降を起こせるとは、
到底、思えません。


地震の発生時期を前兆現象から捉えようと考えるなら、非常に小さな現象を観測する必要が
あることが分かったと思います。
少なくとも、コロンブスの卵的な前兆現象は、あり得そうにないですね。


-地震予知研究の手引き(地震の始まり1)-

前回は、前兆現象から地震の発生時期を予測するには、非常に小さな現象を捉える必要が
あることを説明しました。
ですが、まだ問題があります。
それは、東京大学のゲラー博士が指摘している内容です。


ゲラー氏は、次のように述べ、地震予知はできないと主張されています。

予知できる地震はない。
 これは鉛筆を曲げ続ければいつかは折れるのと同じことだ。
 それがいつ起きるのか分からない


この考えは、物性が分かっていても、破壊が起きる瞬間を正確に予測することはできない
ことを基にしています。
地下の状態は、均質ではありません。
物性が分かっていても予測できないのに、均質ではなく、地質も状態も分かっていません。
そんな地下で起きる地震を予知することは、不可能!だと言うのです。

ゲラー氏の考えは、至極真っ当なものです。
いつ限界に達して破壊が始まるか、予測は難しいでしょう。
ただ、実際に鉛筆を折ると分かるのですが、「これ以上曲げると折れそうだ」と感じる
ところがあります。
これは、指先の鋭敏な感覚が、前兆を捉えているためかもしれません。
もし、そうであれば、地震にも前兆があっても良さそうです。
気象庁が、「東海地震は予知できる可能性がある」と言うのは、東海地震には前兆滑りと
呼ぶ前兆があると考えているためです。

ところが、この前兆滑りにも問題がありそうなのです。
次回は、私見を交えて、この辺りを深掘りしたいと考えています。 



-地震予知研究の手引き(地震の始まり2)-

地震には、前兆があるかもしれないと、前回は書きました。
同時に、更なる問題があるとも書きました。
何が問題か?
それは、亀裂が広がる速さです。


金属では、クラック(亀裂)の拡がる速さは、クラックの長さの2乗に比例します。
例えば、1mmのクラックが2mmに拡がるのに1秒かかるとします。
この場合、クラックが拡がる平均速度は、1mm/sになります。
クラックが2mmから4mmに拡がる場合は、長さが2倍あるので速度は4倍の4mm/s
になり、所要時間は2mm÷4mm/s=0.5秒になります。

岩盤の破壊も、似た性質を持つと思います。
仮に、岩盤内の亀裂が1μmから2μmに拡がるのに1日掛かるとします。
この場合、一般的な地震の破壊速度である4km/sまで早まった時の亀裂の長さは、
約25mとなります。
亀裂の長さ25mは、マグニチュード0.2の震源域の長さよりやや大きな値です。
亀裂が1μmから2μmに拡がるのに1日掛かるとの仮定は、悪くはないようです。

では、この仮定の基で地震の始まりを捉えるには、どのくらいの亀裂を見つける必要が
あるのでしょうか。

・亀裂の長さ:1m   地震発生の約0.2秒前
・亀裂の長さ:1cm  地震発生の約17秒前
・亀裂の長さ:1mm  地震発生の約3分前
・亀裂の長さ:1μm   地震発生の約2日
・亀裂の長さ:10nm 地震発生の約半年


地下数10キロの1mmの亀裂を捉えられたとしても、地震発生の僅か3分前にしか
ならない計算です。

早川氏は、「地震発生前のピキピキと割れる時に起きる電界で~」なんて言っていますが、
1週間前に発見するには、ピキピキと割れる長さは0.3μmくらいになってしまいます。
これで電離層の擾乱が発生するとは、到底考えられません。

村井氏は、熊本地震の前兆を2年前に捉えていたかのような発言もしていますが、
その時の亀裂の長さは2.5nmくらいしかなかったはずです。
これで、地表が4cm以上も隆起・沈降するとは、笑うしかないですね。

政府は、前兆滑りで東海地震を予知できる可能性があるとしていますが、怪しいですね。


はっきり言える事は、地震の前兆があるとしても、驚くほど小さなものだということ!
もう一つは、地震発生のギリギリまで、その前兆を捉える事は難しいだろうということ!


地震予知は、中々厳しいようです。


-地震予知研究の手引き(規模の推定方法1)-

地震予知研究の手引きも、いよいよ佳境に入ってまいりました。
今回から、規模の推定方法について、具体的な地震予知手法に入っていきます。


さて、数回前に「地震の規模と場所の関係」というサブタイトルで、地殻に溜まっている
歪を正確に測定できれば、発生場所と地震の規模の両方を推定する事が出来る旨を、
説明しました。
では、地殻に溜まっている歪を調べる方法には、どんなものがあるのでしょうか。
最も現実的な方法は、電子基準点を利用する事でしょう。

念のために申し上げておきますが、同じように電子基準点を利用して偽地震予知を行う
JESEAとは大きく異なる方法を用いるので、同等には考えないようにお願い致します。
JESEAが利用するデータは、ノイズ除去が不十分な速報解の中から誤差が出やすい垂線
方向のデータを抽出しているので、ほぼノイズを見ているだけです。
一方、ここで利用しようと考えているのは、ノイズ除去が行われた最終解を用い、三次元の
変位を用いる方法です。

電子基準点は、日本全国を網羅していること、水平線超え遠方との距離も測定できること、
最終解が出るまでのタイムラグはあるがリアルタイムで変位を知ることができる等の優れた
特徴があります。
また、日本列島下で鬩ぎ合う4枚のプレート上に電子基準点があることから、プレート間の
関係を見ることもできます。
ただ、4枚のプレートの全てに電子基準点はありますが、太平洋プレートは南鳥島にしか
電子基準点がないので、詳細なデータを得ることはできません。
また、数量も不足しており、充分なデータ量があるとは言えません。


電子基準点の必要数を考えてみましょう。
現状は、全国の約1300ヶ所に電子基準点は設置されています。
電子基準点1基当たりのカバー面積は、平均約300km²です。
電子基準点の間隔は約15~20kmであることが、逆算で分かります。
これは、マグニチュード7クラスの地震の震源域の大きさとほぼ同等です。
これでは、全く足りません。

予知したい地震の規模から、具体的な電子基準点の必要数を計算してみましょう。

                (基準点の密度)   (電子基準点数)
  マグニチュード6.0    5kmメッシュ   15200基(概数)
  マグニチュード7.0   15kmメッシュ    1700基(概数)
  マグニチュード8.0   50kmメッシュ     152基(概数)
  マグニチュード9.0  150kmメッシュ      17基(概数)

電子基準点は、平常に便利な計測装置ですが、数量の問題があるようですね。
現状でも1300基もあるので、マグニチュード7クラスなら予知できそうですが、
そうではありません。
地震は、小さなタネから始まり、歪が溜まっている範囲の中で拡がると考えられます。
どこで地震(地殻の破壊)が止まるのかを知るためには、細かなメッシュで状態を
知っておく必要があります。
それが分からないなら、マグニチュード7クラスに成長する前に収まってしまう地震に
惑わされてしまうのです。


実は、電子基準点の問題はこれだけではありません。
次回は、その辺りも説明した上で、手法について説明したいと考えています。


-地震予知研究の手引き(規模の推定方法2)-

電子基準点を用いて地殻の歪を計測するには、数量面の問題があることは示しました。
ですが、それ以前に、もっと大きな問題があります。

それは、電子基準点の計測では、地殻に歪が溜まっていく速さしか分からないことです。
つまり、現時点で溜まっている歪の総量を知ることができないのです。


電子基準点は、地球上の相対的な座標しか分かりません。
歪を計測しているわけではないのです。
「過去一年間で○○の歪が増えました」とは言えても、元々の歪の量がわからないのです。

では、どうすれば歪がどれくらい溜まっているか、分かるのでしょうか。

一つは、大きな地震が発生した直後からの累積で判断する方法です。
大きな地震が発生すると、震源域の中の歪は、ほぼ解消されると考えられます。
ですので、そこからの電子基準点の動きを解析すれば、歪の蓄積が分かります。
この方法の欠点は、地震が発生した地点しか、用いることができないことです。
マグニチュード7クラスでも、リセットされる範囲は1000km²未満です。
しかも、内陸部の発生頻度は、高いところでも数百年に一度しかありません。
なので、この方法を利用できる場所は僅かで、次の地震の発生時期は数百年から数千年も
先になります。

二つめは、日本中でボーリング調査を行うことです。
この調査で歪が分かるのか、専門外の私は存じませんが、問題はそれだけではありません。
まず、ボーリング調査が可能な深さです。
ボーリング調査の世界記録は、12262mです。日本の最高記録は、6310mだとか。
地震が多い数キロから数10キロの深さまで掘ることは、現時点の技術では厳しいようです。
また、充分な数のボーリング調査を行うための費用も、実施を難しくします。
おまけに、掘削で出る土砂の処分も、意外に面倒なものです。


どうやら、これらの手段では、歪の蓄積量の計測は、なかなか難しそうです。


-地震発生時期の推定方法(規模の推定方法3)-

規模の推定は、非常に難しいことを、ここまで書いてきました。
その中で、地震研究の専門家たちは、「場所と規模はある程度までわかるようになった」と
言っているようです。
電子基準点をはじめとして、衛星からの解析や歴史地震の研究等を経て、このようなセリフ
が出るところまで漕ぎ着けたのだと思います。
ただ、熊本地震では、事前の発生確率が低かったことから、歪の蓄積量が正確には分かって
いなかったのだろうと推察されます。

ならば、我々アマチュア研究者にも、多少の出番が残っているはずです。


皆さんは、歪の量を示す可能性が観測値をお持ちではないでしょうか?
毎年、一定のペースで変化し、地震が発生すると値が反対方向に大きく跳ぶ観測値は
ないですか?
地域毎に、観測値にかなり大きな差があるものはありませんか?
もし、そのような観測値があるなら、地殻の歪の量を示している可能性があります。

歪みの蓄積量を示す現象は、小さいとは限りません。
ただ、変化は非常にゆっくりだと思われます。
宮城県沖のように、30年ほどの周期で大地震が発生するところでも、歪の量の変化は年に
3%しかありません。
熊本のように数100年周期なら、1年後でも0.1%単位の変化しかありません。


取り敢えずは、なぜ観測値に影響するのかといった理論は、後回しにしましょう。
考えるべきは、地殻の歪を示しているならば当然現れるであろう特徴を、その観測値が
備えているかどうかです。
具体的には、以下のようなものです。

・地震発生時に大きく値が変化するか?
・地震発生時以外はほとんど値が変化しないか、または、一定のペースで変化しているか?
・地域毎に異なる値になるか?


この特徴を持っているなら、地殻の歪を表している可能性があります。
もし、このような特徴を持つ観測値が見つかったなら、電子基準点の変化量と相関関係に
あるか、確認してみましょう。
相関があるならば、いよいよ地殻の歪を表している可能性が高まります。

ここから先は、後でまとめます。


-地震予知研究の手引き(地震発生時期の推定方法1)-

地殻の歪の測定方法が確立したら、いよいよ地震の発生時期を推定する方法です。


過去の地震予知では、歪が限界に達した時に地震が発生するとして、歪の量の観測に力を注いできたようです。
ですが、この方法では、僅か1%の誤差でさえ、最短でも数ヶ月、どうかすると数100年の誤差になります。
ある程度の周期性を持つタイプの地震でさえ、発生周期はかなりの幅を持って変化することから、地下の状態には大きな差があると推測されます。
逆に言えば、小さな誤差で歪の量(限界までの量)を予測することは、不可能に近いと言えます。
そうであれば、正確な地震予知は不可能です。
これこそ、ゲラー氏が言っていることです。

ならば、どこに地震予知の隙間があるでしょうか?

大きく分けると、以下の三点だと思います。
一つめは、亀裂が始まる最も初期段階を捉えることです。
ですが、非常に微小な現象を捉える必要がある上、そこから地震発生までの時間は短いので、緊急地震速報と同類の役割に止まります。
二つめは、地震が始まる前の前兆を捉えることだと思います。
前兆が見つかれば、地震予知は一気に進むでしょう。
ですが、前兆があるという保証はどこにもありません。
三つめは、地震を引き起こす引き金を探すことだと思います。
地球は、色々な外乱が入っています。
その中の何かが、地震を引き起こしている可能性があります。
ただ、外乱が地震を引き起こしている保障もありません。

次回以降に、詳細を書いていく予定です。


-地震予知研究の手引き(地震発生時期の推定方法2)-

1.亀裂が始まる最も初期段階を捉える

これは、現象が存在する事がほぼ間違いないので、技術的な問題が残っているだけです。
技術の進歩と共に、確実に進歩するはずです。
それだけに、アマチュアの出る幕はなさそうです。
また、多少の進歩では、秒単位の成果しか得られません。
これも、アマチュアには旨味はありません。
一方、技術屋目線では、費用と時間さえ与えられるなら、面白そうな挑戦に見えます。
技術面の実力が確実に結果に繋がるので、技術屋の端くれの私には興味の湧くところです。


2.地震が始まる前の前兆を捉える

アマチュア研究者の典型的なアプローチが、この手法でしょう。
ですが、前兆があるとの保証はなく、あるとしても非常に微小な現象だろうと思われます。
また、理論的に前兆現象を見つけ出すことも、至難の技と思われます。
それゆえ、前兆が見つからないリスクが問題にならないアマチュア研究者こそ活躍できる場
なのかなと思います。
ただ、何度も繰り返しますが、自動車のエンジン程度でも再現できるような小さな現象で
あることは間違いないでしょう。


3.地震を引き起こす引き金を探す

これは、例えば月の潮汐力が地震を引き起こす引き金になっているとの考え方です。
有名なところでは、月や太陽、惑星の潮汐力、低気圧や大気重力波等の気象現象、地磁気や
太陽フレア、人工的な振動、周辺の地震等、色々あります。
この手法の問題は、地震との関係を見つける難しさと、地震の予知方法に結びつける難しさ
があります。
ですが、この手法も、アマチュア研究者に都合が良いところがあります。
前兆と同じで、地震を引き起こす事象があるとの証拠はありません。
また、理論的に導くより、統計的に見つける方が適している点でも、アマチュア研究者の
研究テーマに適しています。


次回は、更に突っ込んだ内容になる予定です。
 

-地震予知研究の手引き(コーヒーブレイク1)-

いよいよ次回から、地震予知研究の手引きも最終段階に入ります。
その前に、少し息抜きをさせてください。


ここまで読んで下さった方は既にお感じの事と思いますが、アマチュア地震研究と言っても
誰でも地震予知研究ができるわけではありません。
何がしかの研究者か、特殊な測定機材を日頃から使用されているエンジニアでなければ、
地震予知研究は難しいと思います。
理由の一つは、対象となる現象を測定する手段を、一般人は持ち合わせていないからです。


「いやいや。動物は鋭敏な感覚を持っているから、動物の観察で予知も不可能ではない」
そう考える方もおられるかもしれません。
ですが、鋭敏な感覚を持っているのは、人類も同じなのです。
例えば、人類の目の能力は、動物の中ではかなり優れている方です。
哺乳類の中では、人類の視力は最も良い方に分類されます。
暗がりでの視力も、動物の中では優れている方です。
見える波長も広く、特に波長が長い光に対する視力が優れています。
動物園に行くと、夜行性の動物の観察室は、赤色灯が点いています。
赤色灯は、動物にとって赤外線に相当し、彼らには見えませんが、人類には見えるのです。

また、人類は、犬や猫よりも低い周波数の音に敏感です。
地震動の周波数は低いので、犬や猫より人類の方が感じやすいと思われます。


人類には感じない現象でも動物には感じられると妄信する事は、研究者としては失格です。
論理的に考え、結果と推論との関係が妥当なのかを考えていくことが、大切だと思います。

地震予知研究の一助になるよう、アマチュア研究者の方々の活躍を期待しております。



-地震予知研究の手引き(コーヒーブレイク2)-

「地震予知はできている」と言う人々の多くに共通する前兆に関わる主張は、
大きな地震は強い前兆が現れる」というものです。

何も考えなければ真っ当な主張に聞こえますが、よくよく考えてみると不思議な主張です。


地震の規模は、震源域の広さで決まります。
大きな地震は、広い震源域が必要です。
ですが、震源域は、地震による岩盤の破壊が進んだ範囲であり、地震が収まるまで震源域は
確定しません。
前兆現象は、震源域が確定する前に起きる現象ですから、地震の規模が決まる前に地震の
規模を示すかのように前兆現象が起きるのです。
大きさが決まる前に大きさを伝えてくるとは、酷い矛盾です。


震源域は歪が溜まっている場所だから、歪が大きな場所で前兆が起きるなら矛盾しない
こんな主張もあるでしょう。
ですが、果たしてそうなのでしょうか。

単純に、歪が大きな場所で前兆現象が起きると仮定した場合、歪は数十年から数百年かけて
溜まるので、前兆現象も何十年もかけて徐々に強くなっていくはずです。
地震発生の直前に、突如として前兆現象が出るはずがありません。
また、歪がある臨界点を超えた時に前兆現象が起きると仮定しても、広い震源域で均質に
歪が溜まるはずがないので、臨界点を超えた地点だけが前兆現象を起こすことになります。
これでは、前兆現象は地震の規模に比例することはありません。


大きな地震の前には、広い震源域全体で同時に前兆現象が起きる
そんな風に考え始めると、科学ではなく、ちょっとしたオカルトの世界です。
広い震源域で同時に前兆現象を起こすには、何らかの信号で、震源域全体がタイミングを
計る必要があります。
しかも、信号を受け止めて前兆現象を起こすのは、震源域内に留まらなければなりません。
これって、御都合主義の考えです。

例えば、東日本大震災では、震央から震源域の端まで250km程度あります。
もし、東日本大震災で、その規模に相応する前兆現象があったとするなら、何らかの信号は
250km先まで届いたことになります。
そうなると、熊本地震の前兆は、熊本を中心に半径250kmの範囲に届いたことになり、
九州地方全域、四国地方の大半、中国地方の西半分がその範囲内に収まります。
ということは、この領域内で歪が溜まっている場所は全て前兆現象を起こしてしまうので、
前兆現象の規模は、実際に起きる地震の規模よりはるかに大きくなってしまいます。


大きな地震の前には強い前兆現象が起きると思い込むことは、前兆現象を探す上で障害に
なってしまいます。
地震予知研究を行う上で、時期を示す前兆現象は地震の規模に比例しないと理解しなければ
なりません。

「前兆現象の強さと地震の規模は比例する」と信じて疑わない偽地震予知研究者を、
私達は笑ってあげましょう。


-地震予知研究の手引き(研究手法1)-

ここからは、具体的な手法を書いていきます。
まずは、歪を知る手掛かりを得るための研究です。


これまでは、地震の前兆現象は非常に微小だと言い続けてきました。
ですが、歪によって引き起こされる現象は、小さなものとは限りません。
ただ、日々の変化量は、非常に微小な変化となります。

では、どうすれば、歪の量を教えてくれる現象を見つける事ができるのでしょうか?
論理的に探すのは、簡単ではありません。
なのて、論理的に探すのは専門家に任せましょう。
我々アマチュア研究者は、手当たり次第に調べるしかありません。
大事なのは、本当に歪の量を示しているのか、キチンと調べる事にあります。

本当に歪の量を示しているのか、どうすれば分かるでしょうか。
次の三点を満たしていれば、歪を表していると考えてよいと思います。


1.地震発生時に大きく変動していること

ほぼ一定の状態から、地震発生と同時に一方向に数値が跳ねる。
跳ねた後、その値を維持する。
近隣の基準点と同じ動きをしている。


2.平常時はゆっくりと一方向に変動すること

日々の変化は、観測不可能なほど小さい。一年程度でようやく観測可能となる。
変化の方向は、地震発生時とは逆方向で変化しない。
電子基準点のデータから推測される歪の変化と近似している。


3.観測値の場所における解像度がある

震源が浅い地震が発生した場合、震源域と震源域の外側で明らかに異なる観測値になる。
少なくとも、5kmより細かく観測できること。
 

どれか一つだけでは、偶然だと考えるべきです。
また、一度の地震で判断するのは、絶対にダメです。
二度目は、一度目より高い精度で一致していなければ、三度目まで待つべきです。
三度目が二度目より成績が下がったなら、ホンモノではないと断定して良いでしょう。
気に入らないなら、四度目まで待っても構いませんが、良い結果は得られないでしょう。
仮に、良い結果だったとしても、4回の内の2回しか真っ当ではなかったことになるので、
更にもう一度待つべきです。


次回は、具体的な例を示して説明したいと思います。


-地震予知研究の手引き(研究手法2)-

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