No.からも推測できるように、当ブログでは、過去にも昆虫食を取り上げてきました。
(なんと3年ぶりです)

今回は、昆虫食のネガティブな部分を取り上げてみようと思います。


その前に、昆虫がタンパク質を蓄える仕組みについて、簡単にまとめます。

実は、昆虫の種類は、非常に広いのです。
例えば、性遺伝子を見ても、雄ヘテロ型の昆虫と雌ヘテロ型の昆虫がいます。
人類を含む哺乳類は、雄ヘテロ型です。ですが、鳥類は雌ヘテロ型です。魚類、両生類、爬虫類は、性決定遺伝子は持ちません。
脊椎動物として見ると、性決定様式は様々ですが、昆虫は、脊椎動物にも負けない多様性を持っているのです。


昆虫の多様性は、タンパク質を蓄える仕組みも、多様なのだそうです。

例えば、カイコは、有名なGOGAT(グルタミン酸合成酵素)を利用しています。
シロアリの中には、数10種類の腸内細菌に細胞内共生する数百種類の細菌の力で、様々な代謝能力を持つものがいます。
オオシロアリを用いた研究では、セルロースを分解する中で発生した二酸化炭素を、水素で還元して酢酸を作ることがわかりました。
また、大気中の窒素を固定し、アンモニアを生成します。アンモニアは、アミノ酸やビタミンの生成に用いられます。



さて、本題です。
今回は、昆虫食のネガティブな部分について、確認します。

日本でも、昔からある昆虫食として、イナゴや蜂の子があります。
ですが、未来の昆虫食では、イナゴは避けなければならないかもしれません。
というのも、昆虫食が推奨されるのは、食糧事情が悪化した際に、少ない飼料で大量に生産できる昆虫に着目されているからです。
つまり、肥育に大量の飼料が必要になるなら、たとえ昆虫であっても、利用できません。
イナゴは、食糧からタンパク質を得ます。従って、大量に食べることになります。
イナゴの肥育には、大量の飼料が必要になるので、イナゴと人類の食糧の奪い合いになることはあっても、食糧事情が悪化した時の食肉用にはなり得ないのです。

昆虫食に使う昆虫の選択は、しっかりと考えていかなければなりません。


もう一つのネガティブな問題は、アレルギーです。

昆虫は、甲殻類アレルギーのアレルゲンと同じ「トロポミオシン」が含まれています。
従って、甲殻類アレルギーを持つ方は、昆虫食を避けるべきです。
ですが、食糧事情が悪化すれば、今までの牛肉や豚肉はもちろん、魚介類も価格が高騰する可能性があります。
その時には、我々一般人は、昆虫食が中心になるはずです。甲殻類アレルギーを持っている人も、昆虫食に移行しなければならなくなるかもしれません。

その対策として、ゲノム編集で、「トロポミオシン」の中のアレルゲンを無害化する試みが行われているそうです。
徳島大学の渡辺崇人助教らは、フタホシコオロギを用いて研究を進めているそうです。
ただ、「トロポミオシン」自体が、筋繊維の一部を構成する生存に欠かせない物質なので、「トロポミオシン」を取り除くことはできません。
現在は、アレルギーを引き起こす部分を「トロポミオシン」の中に見つけるための研究が続けられているようです。
それが見つかり、かつ、昆虫の肥育に影響しない部位であることを願っています。



昆虫食を一般化するためには、ハードルもあります。
たとえ、一つ目のハードルを超えても、今度は「遺伝子改変食品は嫌だ」とか、「昆虫なんか食べられない」といったハードルも、出てくるでしょう。

一筋縄では行きませんが、今から研究しておかないと、いざという時に間に合わなくなります。
その典型が、新型コロナで明らかになりました。
新型コロナ・ワクチンは、イギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、中国、ロシア、トルコ等、10カ国くらいで開発に成功していますが、日本では未だに国産ワクチンが承認されていません。
アメリカで臨床試験が始まったのは、一昨年ですから、日本の遅さは呆れるばかりです。
これは、国立大学の法人化をしたり、研究予算を削り続け、ファンドで目先の見返りがある研究しかさせなかったりと、教育・研究・開発を軽視してきたツケです。

昆虫食も、直ぐに商業化できるものではありませんが、キチンと研究を進めていくことが求められます。