豊葦原中津谷のニニギ

食糧自給率の向上を目指して! (2100年の日本へワープ)

カテゴリ: 食糧自給率

昨日、バイデン大統領が、外国人の受け入れ、すなわち移民に対して、門戸を閉ざしているとして、中国、ロシア、インド等と並んで、日本を批判しました。


まず、当ブログのスタンスは、バイデン大統領の仰る通り、排外主義です。
世界的な食糧不足が発生した時、移民にも食糧が回るようにしなければなりません。
ですが、食糧自給率が低い日本は、食糧の確保自体が困難になっていきます。
その時に、移民が多ければ多いほど、苦しくなります。

バイデン大統領は、「移民が多い国は、経済が好循環になる」としていますが、逆に見るべきです。
「移民がいなければ、経済は回らないのか?」
あるいは、「移民がいなければ、経済が回らない理由は何か?」を考えるべきです。
実際、日本でも、技能実習制度を使って、外国人労働者を取り込もうとしています。
なぜ、この制度が必要なのか、早急に根本原因を考えないと、大変なことになります。

そもそも、食品価格が高く、通貨安の国に、態々移民してきますか?
移民はおろか、技能実習生が来ますか?

移民や技能実習生が必要になる理由が、肝心なのです。
それは、自動化が遅れ、効率が悪い生産システムを抱えているからです。
特に、農業分野で自動化が遅れているのは、地理的に欧米諸国と異なるため、日本独自のシステムの構築が必要なのに、そこへの着目がなく、単純に「農地が自動化に不向きなため」と言うだけなのです。
その一方で、自動化に有利な平地の農地は、次々に都市化を進めています。
言行不一致なのです。

いずれ、山間地の農地でも、自動化は進むでしょう。
ただし、自動化の機械類は日本製ではないだろうと、私は予想しています。



さて、バイデン大統領の「排外主義」ですが、移民の国の支配者らしい発言ですね。
自らを正当化するための発言とするなら、スジが通ります。
大統領選挙のライバルであるトランプ氏に至っては、新たな移民を排除しようとする独裁者的な発想になっている点は、少々狂気を感じます。


バイデン大統領に言いたい。

逆から見て考えないと、反論を食うだけですよ。

政府は、経済安全保障と食糧安全保障を見据えた法改正が、閣議決定されました。


当ブログは、食糧自給率向上を目的として始めました。
また、『2100年の日本のあるべき姿』では、経済安全保障にも関係する内容となっています。
政府が、経済安全保障と食糧安全保障に関心を示したことは、当ブログなら歓迎すべきなのかもしれません。

ですが、政府が示した方針は、力による支配、管理統制の強化でした。

ガッカリです。




食糧安全保障では、『食糧・農業・農村基本法』の改正が行われます。
農業の自動化の推進と、1年毎の検証が、盛り込まれることになっています。
物足りませんが、これ自体は悪くありません。

問題は、追加される法律です。



食糧安全保障のみを目的した『食料供給困難事態対策法案』は、ファシズムを想起させる雰囲気があります。

食糧の供給が不足した際、政府は、農業従事者に増産を要請できます。
更に不足した場合は、農業従事者に対して、生産・出荷計画の提出を求めます。
計画を提出しなかったり、正当な理由なく計画通りに生産・出荷しなかった場合には、罰則まで用意されています。

「出荷を増やせ」と言って、簡単に増えるでしょうか。
「計画通りに生産しなければ、罰金だ!」と脅せば、何でも実現すると思っているなら、政治家を辞めた方が良いでしょう。

生産計画を出させるより、農家、農業法人から増産に必要な支援の要望を出させる方が、まともな発想でしょう。
そして、そういった内容は、平時からやるべきで、緊急時に要求するものではありません。
支援もするとしていますが、緊急時だけ支援しても、意味がありません。
そもそも、簡単に増産できるはずがないのです。

種苗の入手から収穫まで、短くても数週間、果実や蒟蒻芋なら数年もかかります。栽培できる季節も関係します。
栽培の途中で、「収穫量を増やせ」と言われても、増えるはずもありません。
新田開発であれ、休耕田を再開するにしても、年単位の時間が必要です。
計画書には、来年度の予定出荷量、あるいは数年先の出荷量を記入することになるでしょう。



食糧難の対策は、生産者に命じて生産量を確保する考え方は、非民主的かつ愚かです。
対策は、もっと地味にやっていくべきです。

市場に流れる農産品の品質(形状や大きさ等)を緩めれば、廃棄分が減り、結果的に増産相当になります。
同様に、食糧の13%程度が、フーズロスとして捨てられているので、これをゼロにできれば、13%の増産と同じ価値を持ちます。

マクロで考えてみましょう。
食糧難の要因は、輸入の困難さの変化と、国内の生産量の変化が、考えられます。
輸入の困難さは、生産国の生産量の変化、為替の変化、生産国との関係の変化、海上輸送の困難さの変化等が考えられます。
食糧自給率を向上させれば、輸入の困難さによる影響を減らすことができます。
つまり、食糧難の要因は、国内の生産量のみとなり、食糧難のリスクそのものが減ります。





「食料の安定供給のための農地の確保及びその有効な利用を図るための農業振興地域の整備に関する法律等の一部を改正する法律案」

この法案の詳細は不明ですが、「農地の確保」とあり、緊急時には、政府による接収に可能性を残そうとしているのかもしれません。
そうであれば、民主主義とは対極の政治です。




全体として、力による政治、力による支配を感じさせる法案であるのに対し、食糧自給率の向上のような基本的な対策は、非常に甘いものとなっています。


背景には、TPPがあるのかもしれません。
TPPに抵触しないように、食糧増産は緊急時のみで、それ以外は輸入に頼るつもりかもしれません。
ですが、食糧輸出国が食糧不足になったなら、日本に輸出しなくなりますよ。
そして、一方的にTPPから離脱していくかもしれません。
TPPには、食糧安全保障のリスクを孕んでいるのです。

当ブログは、TPPには反対の立場を貫いてきました。
それは、食糧安全保障の足枷になるとわかっていたからです。


今の政治家は、日本を衰退させるための政策を続けているように見えます。
軍備にお金を費やし、教育や研究・技術開発にはお金を投じません。
まるで日本を売るかの如きTPPを進め、国債を発行しまくり、円安を招いています。
結果、物価は高騰し、食糧不安を生み始めています。


本当に、今世紀末の世界地図には、「日本」は残らないのではないかと、不安です。


 「1993年から2010年まで、2150Gt(2兆1500億t)の地下水を汲み上げたため、地軸が東へ年間4.3cm傾いている」

こんなニュースが、流されていました。

残念なことに、記者は、「地軸がズレる」ことに重きを置いているようですが、研究者の真の意図は、「地下水の汲み上げ量が多すぎる」ことに重きを置いているように思えます。
汲み上げ量の多さを示すために、「地軸がズレるくらい凄い」と言いたかったのでしょう。

本来なら、記者の役目として、社会的な問題に警鐘を鳴らすことがあると思います。
それを忘れて、意外性を重視してしまったようです。


でも、メディアを批判する当ブログでは、記者に代わって、汲み上げた地下水がどこへ行くのかを、考えることにします。

それには、『仮想水』を考える必要があります。


『仮想水』は、食糧を輸入すると、食糧生産に使用された水も、輸入されたことになるとの考えです。

大量に食糧を輸入する日本は、『仮想水』の輸入量も莫大なものになります。
日本は、毎年83億t(8.3Gt)の『仮想水』を輸入していると推定されています。

日本国内では、533億tの農業用水を使用しています。
両者を合計すると、616億tの水で、国民の食糧を生産していることになります。
食糧自給率に比して、国内の農業用水の使用量が多いのは、水を多く使う水稲米の生産が多いからでしょう。


日本では、国民の食糧を生産するために、国内外で616億tの水を使っています。
国民1人の1年分の食糧を作るためには、ざっと500tの水が必要だとわかります。

これを基準に、世界の80億人分の食糧を生産するために使われる水量を計算すると、4兆トン(4000Gt)の水が必要になります。

実際には,農地は乾燥地にも広がっているため、ここまでではありません。
現時点では、世界で約3兆t(3000Gt)の農業用水が、使用されています。
地下水は、18年間で2150Gtとされているので、農業用水の4%くらいが、地下水で賄われている計算です。

地下水の使用率は、意外に低く感じるかもしれません。
ですが、アジアで盛んな水稲米の生産は、使用水量が多い上、水稲米の生育には水に含まれる養分が必要なため、河川の流水を使用せざるを得ません。
水稲米の生産で大量の河川水を使用するため、相対的に地下水の使用量が少なく見えるのでしょう。

日本は、83億tの『仮想水』を輸入していますが、カロリーベースの食糧輸入率は70%に迫るので、8300万人分の食糧を輸入していると見ることができます。
この場合、1人分の食糧を生産するために必要な水量は、約100tとなります。
この場合、世界で使用される農業用水は、約8000億tと見積もることができます。
その場合、農業用水の15%を、地下水に依存していることになります。

地域によっては、農業用水の大半を地下水に頼っているところもあるでしょう。



日本は、食糧の2/3を海外に依存しています。
であるなら、『仮想水』に対しても、責任ある対応が求められます。

同時に、日本国内での水資源の維持・管理・新規開発を考えていかなければなりません。


「1993年から2010年まで、2150Gtの地下水を汲み上げたため、地軸が東へ年間4.3cm傾いている」

こんな説が、ソウル国立大学の研究チームから出てきました。




まず、「地軸が東へ」となっていますが、この時点で、この説を疑います。

「年間4.3cm」としているので、北極点、もしくは南極点が移動していると、読むことができます。
磁北は、移動していることが知られており、その移動速度は「年間55km」といった表現がされています。
なので、地軸の地表との交点である北極点が「年間4.3cm移動」すると言うなら、理解できます。

ですが、「東へ傾いている」って理解不能です。
地軸が地表を貫通する北極点には、東も西も北もありません。存在するのは、『南』だけです。
同様に、南極点にも、東も西も南もありません。存在するのは、『北』だけです。

ただ、便宜上は、子午線の0度を『南』とする場合もあるようです。
この場合、東経90度が『東』、西経90度が『西』、東経(西経)180度が『北』となります。
(これも、北極点を一歩でも離れると、方角が変わってしまいますね)
この考え方なら、「東経90度の方向に傾いている」との意味になります。
でも、これも、意味不明なんですよね。(後述します)

観察者の位置が極点以外だとしても、意味不明です。
地球上では、『東』も『西』も相対的なもので、観察者がどこに居るのか、明確にする必要があります。
ソウル大学から見て、「東へ移動しているように見える」という意味なのでしょうか。地軸自体が、傾きを変えずに移動しているのでしょうか。
でも、「傾いている」と表現されています。

軸が傾くのはわかりますが,「東へ傾く」とはどう言うことでしょうか。
東半球(東経0〜180度)と西半球(西経0〜180度)はありますが、「傾いている」とあるので、北極点が東半球に傾くのなら、重心の反対側にある南極点は西半球に移動しますよね。
北極点が東半球に傾いているのでしょうか。
南極点が東半球に傾いているのでしょうか。


地軸が東半球に傾く・・・?

ほんと、意味不明です。



たかが、2150Gt程度で、地軸はズレるのでしょうか。

日本の年間降水量は、かなりの幅で変化します。
1993年から2010年まででは、最大と最小で、773mmの差があります。
5年間移動平均でみても、年間降水量は220mmほど違います。
年間雨量の773mmの差は、日本列島に降る雨の重量が、年によって292Gtの差があることを意味します。
220mmの差でも、83Gtもの重量差になります。

18年間に2150Gtを汲み上げたのなら、年間120Gtほどでしかありません。
これは、日本列島に降る雨量の1/5ほどでしかなく、年毎の差と同等か、それ以下でしかありません。
この程度で地軸が変化するのなら、日本が少雨の年と多雨の年でも、地軸に影響しそうです。



この説は、2150Gtを地球上のある地点から差し引き、別のある地点に移動させた上で、地軸がどれくらい移動するかを計算したのかもしれません。

概算で計算してみると、2150Gtの増減では、2mmしかズレませんでした。

計算は概算なので、以下の条件で計算しました。

・地球は均質である。
・赤道上から2150Gtを取り除く。

簡略化していますが、計算間違いがあるかもしれません。
正直なところ、計算結果に自信はありません。
ただ、地球質量、赤道半径との比率を見ると、まずまずの結果に見えます。
逆に、地球の質量の28億分の1の地下水で、赤道半径の800万分の1も自転軸が変わるのか、疑問に感じます。
(私の計算結果は、赤道半径の32億分の1くらい)

ちなみに、東北地方太平洋沖地震では、地軸が17cmも動いたそうです。
東日本全体がメートル単位で動いているので、そんなこともあるかもしれません。




研究内容とは別に、記者がまとめた時思われる記事の書き方にも、疑問を感じます。


この説の翻訳では、「地球は、時速約1609kmの速度で回転している」と書いています。
「1609km/h」と聞くと、100mph(マイル/時)と考えたくなります。
周速と考えると、緯度が15.5度付近の周速と一致します。
緯度の15.5度は中途半端な数字なので、原文では「(赤道付近の周速は)およそ時速100マイル」と表現していたのでしょう。

正確には、時速103.8マイルくらいなので、問題にするほどではありませんが、「1609km」と4桁の数値で書いているのに、3桁目に大きな差(正しくは約1670km/h)があるのは、工学を学んだ私には、納得がいきません。
「100マイル」なら、有効桁数は2桁目(1桁目が『1』だから・・)までとなるはずなので、3桁目の誤差は無視できます。



翻訳の影響なのか、記者の影響なのか、全体的にレベルの低い内容です。

記者は、「地軸がズレる」ことに重きを置いているようですが、研究者の意図は、「地下水の汲み上げ量が多すぎる」ことに重きを置いているように思えます。
汲み上げ量の多さを示すために、「地軸がズレるくらい凄い」と言いたかったのでしょう。

本来なら、記者の役目として、社会的な問題に警鐘を鳴らすことがあると思います。
それを忘れて、意外性を重視してしまったようです。



でも、メディアを批判する当ブログでは、記者に代わって、汲み上げた地下水がどこへ行くのかを、考えることにします。

それには、『仮想水』を考える必要があります。



でもでも、この件は、次回に回すことにします。

(と言いつつ、本編の続きは1週間後の予定なんですよねぇ)


コオロギ食で、世間は盛り上がっていますね。

今なら、「食べたい人だけが食べればいい」と言えますが、十数年後には、そうはいかなくなっている可能性があります。
その時には、「埼玉県人には、そこら辺のコオロギでも喰わせておけ!」でも済まないかもしれません。



日本の食糧自給率は、30%程度です。
8000万人分を超える食糧を、海外から輸入しています。

日本は、特殊な例を除けば、餓死する人はいません。
それどころか、2020年には、522万トンのフードロスが発生しています。
2021年は、3163万トンの食糧を輸入しているので、輸入量の16.5%は無駄にしているのです。

日本より食糧自給率が高くても、飢餓に苦しむ国は、数多くあります。
例えば、北朝鮮は、100%に近い自給率ですが、餓死者が出ていると言われています。
マダガスカルも、自給率は80%程度ですが、国民の栄養状態は悪いとされています。


なぜ、食糧自給率が低い日本が、大量のフードロスが発生しても、餓死の不安がないのでしょうか。

理由は簡単です。

日本は、国際紛争に深入りせず、高い経済力を背景とした強い『円』で必要量を簡単に輸入できるからです。

食糧事情の悪い国は、政情不安や弱い経済力から充分に食糧を輸入できず、食糧事情の悪化を招いています。
となると、日本が気を付けなくてはならないことも、注力すべきことも、見えてきます。



今の日本は、防衛予算を倍増させようとしています。
表向きは、自衛となっていますが、相手の領土への攻撃能力ですから、使ってしまえは、泥沼になります。
食糧の安定輸入の条件の一つである『政情』が、これによって悪化します。

防衛予算を倍増させると、国民の負担が増えるため、経済成長にはマイナスに働きます。
また、経済対策がほとんどなく、生活救済の予算にチカラが入っています。
更には、赤字国債の積み増しがあるため、円は、長期的に下落方向に動くと思われます。
食糧の安定輸入の残る条件の『円の強さ』は、失われていく方向です。

このように、食糧輸入を支えてきた日本の強みが失われる方向にあるので、徐々に国内の食糧事情は悪化していくと思われます。



日本人には、そこら辺のコオロギでも喰わせておけ!

コオロギでも食べられれば、マシな状況になるかもしれません。
それが嫌なら、フードロスを減らし、食糧自給率を高めるように、農村への応援や、政治家への働きかけをしていかなければなりません。



昔、こんな話が聞かれました。
「手術は成功しました。ですが、患者は亡くなりました」

今の日本は、こんな方向に進んでいます。
「戦争には勝ちました。ですが、国民はみんな餓死しました」

これが冗談で終わることを、私は願っています。


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