豊葦原中津谷のニニギ

食糧自給率の向上を目指して! (2100年の日本へワープ)

カテゴリ:地球温暖化 > 交通機関


「働き方改革によってドライバー不足に陥る」と、社会問題になっています。
バス、トラック、タクシー等の自動車による物流が、この問題を抱えいます。



これに対する政府の対策が、後進国への劣化を促進するような内容なのです。

ライド・シェア、補助金・・etc.

先進国なら、ここで自動車の自動運転を推進するとか、新タイプのカートレインを導入するとか、自動化・省力化の道を探るものでしょう。
その手の方策は、ほとんど見られません。



政府の案の中にもあるようですが、当ブログで言ってきた『モーダル・シフト』は、大きな柱になります。
ですが、政府は、掛け声だけのように思います。
なぜなら、ローカル線の廃線の検討を進めているからです。

なぜ、モーダル・シフトとの組み合わせで、ローカル線の存続と活用を考えないのでしょうか。
廃線にしてしまえば、復活は極めて困難です。現状を維持しつつ、他の機能を追加すべきです。
以前にも提案したように、超小型の宅配トラックを列車に積み、各駅でホーム上から積み下ろしを行う案が考えられます。


仮に廃線にするなら、全線を専用道路として残し、自動運転のBRTやトラックを走らせるのです。
今の技術なら、専用道路での自動運転は、それほど難しくありません。
単線の専用道路なので、区間ごとに一方通行の監視・制御が必要ですが、どうせ自動運転ですから、それほど難しい問題ではないでしょう。
重心の位置とトレッドの関係、及び制動力から、列車より制限速度を緩めることが可能なので、輸送の高速化も可能性があります。
条件が良い区間なら、運送会社とコラボできる可能性もあります。
検討に値すると思います。




食糧事情は、増減を繰り返しながらも、長期的には悪化していくはずです。
食糧事情が本格的に悪化すれば、都市から地方へ、人口が流れ始めます。
また、テレワークが一般化したので、職場に住宅の場所を縛られなくなってきました。
人口が地方へ移り始めると、地方にも公共交通機関が必要になります。
その時に、中核になれるのが、鉄道路線です。

鉄道は、エネルギ効率に優れています。
船舶と同等の効率を誇ります。
タイヤで走行する場合、エネルギ効率は一気に低下します。
トラックと鉄道の差は、5〜10倍にもなります。 (経産省は、6.4倍としている)
地球温暖化対策を考える上で、エネルギ消費を減らすことは、非常に大切です。
エネルギ消費が少なければ、対策しなければならない量も減ります。
鉄道を残すことは、地球温暖化対策の面でも、有利に働きます。

ローカル線の多くは非電化ですが、二次電池の高性能化により、駅部分のみの電化でも、全線を電力のみで走り切ることは可能です。




「二兎追う者は、一兎も得ず」と言いますが、大変革時代の今は、広い視野を持ち、総合的に解決を図っていく事も大切です。
トラック運転手不足、地球温暖化対策、ローカル線の存続、食糧危機の全てを、一度に解決する方法を模索することも、現在なら大いに検討するべきでしょう。




「青函トンネルを、もう一本、掘ろう」との声は、北海道新幹線の工事が始まった頃から、本格的に聞かれるようになりました。

「第二青函トンネルは、道路トンネルにすべき」と言う知識人もいます。
ですが、道路トンネルは、現実的ではないですね。




青函トンネルは、建設開始から完成まで、実に27年もの歳月が掛かりました。
それだけの難工事だったわけです。
ほぼ同規模のユーロトンネル(ドーバー海峡トンネル)は、着工から開通まで8年しか掛かっていないのとは対照的です。

道路トンネルとなると、上りと下りを分離するため、最低でも2本のトンネルを平行に掘る必要があります。
(※青函トンネルは、本坑以外に、小断面の先進導坑と調査坑があるが、基本的に海底部のみに掘られている)
また、換気用のトンネルも必要になるため、本坑以外に1本以上のトンネルが必要になります。特に、電気自動車への移行が完了するまでは、鉄道トンネルとは桁が違う換気量が必要になります。

また、鉄道トンネルより、道路トンネルの方が、1.5倍ほど断面を大きくする必要があります。
ただし、傾斜は制限が緩むため、トンネルの全長は、最大で2割くらい短くできます。

全長が短くなるとしても、道路トンネルを掘削する場合、工費は、鉄道トンネルより高額になることは確実です。



では、鉄道トンネルは既にあるのに、なぜ、もう一本、鉄道トンネルを掘るべきなのでしょうか。

一つには、本州と北海道の間の貨物輸送が、青函トンネルを利用していることです。
新幹線は、実力通りなら14分で通過できますが、貨物列車は、青森側の新幹線と在来線に分岐点から北海道側の分岐点までの通過に約1時間も掛かります。
貨物列車が通過中は、風圧の関係で、新幹線は減速しなければなりません。
そのため、時間帯を分けて通行させるのですが、その分、深夜の整備もやりにくくなっています。

このような事情から、新幹線と貨物列車の分離が求められています。




さて、自動車トンネルの場合、第二青函トンネルは、不都合なことが少なくありません。

まず、長さが最低でも40km以上になってしまう点です。
高速道路は、傾斜を3%以内にすることが求められています。
これを超える場合は、登坂車線が必要になりますが、トンネル内に登坂車線を設けることは、現実的ではありません。
トンネルの最深部が海面下240mにもなるため、その深さまで下りるのに8km、上るにも8kmが必要になります。また、海底部が24〜25kmにもなるため、最低でも40km以上の長さになります。

この長さになると、速度制限が80km/hのトラックは、通過に30分以上も掛かります。
しかも、途中にパーキングエリアを作れないのです。
パーキングエリアは、15kmおきに設置するのを理想としています。本来であれば、最低でも2か所のパーキングエリアを設けなければならないのです。

満載の大型トラックは、3%の上り勾配では、平地より160kW以上も余分なパワーが必要になります。
大型トラックの出力は、概ね250〜350kWで、80km/h定速走行に必要な出力は、100〜150kWが必要です。
なので、速度を維持するのは容易ではありませんし、一度、減速してしまうと、加速には時間が掛かります。
上り区間は8kmもあるので、慢性的に渋滞する可能性があります。
一方で、上り区間の手前は長い下り坂なので、海底部では、事故が起こりやすくなります。

こういった懸念を払拭するためには、速度制限を厳しくする方法があります。
関門国道トンネルは、勾配は4%ですが、制限速度は60km/hに制限しています。
この場合、上り勾配で余分に必要になるパワーは同じですが、空気抵抗が減るため、速度の維持が容易になります。
平坦部だけ制限速度を高めると、制限速度が低くなる上りに差し掛かる場所では、より渋滞しやすくなります。
全区間の制限速度を厳しくすると、勾配区間は4kmほど短くなりますが、通過時間は長くなってしまいます。

勾配を緩くすると、速度の維持が容易になりますが、勾配区間が長くなるため、トンネルの全長も長くなります。
結局、通過に掛かる時間も、伸びてしまいます。


国内で最長の自動車トンネルは、首都高速の山手トンネルですが、このトンネルは、途中に出口が数多くあり、中抜けが可能です。
国内にある1本の連続するトンネルでは、関越トンネルの11kmが最長です。
80km/hでの通過時間は、8分余りです。

海底という特殊な環境を考えると、第二青函トンネルを道路トンネルとするのは、現実的ではありません。



道路ではなく、鉄道トンネルとするなら、自動車や貨物の輸送は、どうなるのでしょうか。

ユーロトンネルでは、カートレインが採用されています。
これは、乗用車を自走で列車に積み込み、そのまま列車で海峡を渡る方式です。
ヨーロッパでは、ユーロトンネル以外でも採用されています。
第二青函トンネルが完成したなら、現行の青函トンネルで採用することが考えられます。
新幹線と在来線の分岐点付近に、乗用車の乗降場を設けます。

なぜ、現行の青函トンネルになるかと言うと、新幹線だけでは、青函トンネルの輸送力に余力が残るためです。
かと言って、貨物列車を通すと、新幹線の速度制限を外せません。
その点、カートレインは、青函トンネルの専用設計になるので、高速化と風圧対策を実施できます。また、標準軌とすれば、新幹線との共存が容易になります。

トラックに関しては、ビギーパック方式が考えられます。
ビギーパック方式は、中型トラックをそのまま列車に積むカートレインの一種です。
ただし、高さ制限が厳しく、コンテナを搭載したトラックは、ビギーパックにできません。


ちょっと、貨物船の話をします。
貨物船には、大きく分けて、タンカー、ばら積み船、コンテナ船、RoRo船があります。
列車も、ほぼ同じ分類ができますが、日本ではRoRo船に相当する貨物列車がありません。
RoRoとは、RollOn-RollOffの略で、貨物を自走で乗降させる船です。カーフェリーや自動車運搬はRoRo船に相当します。
ビギーパックは、RoRo船相当する貨物列車になります。


閑話休題
ビギーパックは、輸送全体の中では小規模なものになるはずです。
また、輸送効率を考えると、トラックの乗降場を複数の都市に置くのが望ましいので、ビギーパックの貨物列車は、在来線を走行できなければなりません。
なので、ビギーパックは、第二青函トンネルを利用することにします。




もし、反論があるとすれば、輸送力の差でしょう。

道路の場合、連続的に輸送できるので、輸送力が増します。
仮に、大型トラックが80km/hで走行する場合、適正な車間は80mとされます。車体の全長は12mなので、92m間隔で走らせることができます。
計算の都合で、車間を99mとすると、5秒に1台のペースで走らせることができます。
1台に10tの貨物を積載できるとして、1時間に1車線当たり7200tを運ぶことができます。
道路は、片側2車線としても、乗用車やバスのために1車線くらいは必要になるので、実質で7200t/hくらいと考えて良いでしょう。

コンテナ貨物列車は、1編成当たり650tを輸送できます。
青函トンネルでは、最小間隔は10分くらいなので、目一杯でも4000t/hは厳しいでしょう。


当然と言えば当然です。
道路トンネルは、鉄道トンネルより大きな断面を持ち、かつ2本あるのですから、輸送力が倍以上あっても当然です。
ただ、新幹線の開通以前でも、青函トンネルだけで輸送力は足りていたのです。
人口減少と経済の冷え込みを鑑みると、2倍の輸送力が必要なのか、キチンと需要予測をした後に輸送力の差を議論するべきでしょう。

逆に、道路トンネルと同等の輸送力が必要なら、道路トンネルと同じように、複線のトンネルを2本掘れば良いのです。
トンネル掘削自体は、ほぼ同じ金額になります。

輸送に関わる人員で見ると、トラックでは輸送量当たりの必要な人員が増えるため、現実的には厳しくなります。(追従型の自動化等を行っても、列車には及ばない)


一方で、CO2 排出量は、鉄道の方が少なくなります。
仮に、鉄道用の全電力を火力発電で賄ったとしても、転がり抵抗自体が小さいため、エネルギ効率で鉄道輸送はトラック輸送を圧倒します。
その差は6倍以上にもなるので、「技術が進めば〜」と言うような差ではありません。

地球温暖化対策を行う場合、再生可能エネルギへの転換は、対象となる量が少ないほど容易になります。
対象となる量を減らすために、貨物輸送も高効率化が必要なのです。
モーダルシフトの考え方から、鉄道トンネルが求められます。




いつものように、長々と書いてしまいました。

結論として、第二青函トンネルは、道路トンネルとするには長過ぎるため、様々な弊害があり、現実的ではありません。
その点、鉄道トンネルとすれば、様々な利点があります。

道路トンネルを主張される方は、もう少し深く検討するべきだと思います。
知識人であっても、思慮が浅い場合はちょくちょく見掛けます。
「誰それさんが言ってるから間違いない」とは思い込まない方がいいと思います。

もちろん、私が正しいとは限りません。
だから、検討できるように、根拠を書くようにしています。 


それとは別に、今の日本の実力で、第二青函トンネルを掘れるのか、金銭的にも、技術的にも、需要面でも、疑問しかありません。


6年近くも前に、日本はフォーミュラEの大会を開催していないことを指摘していましたが、ついに日本でも開催されることになりました。

先日、開催されたジャパンモビリティショーでは、国内メーカーも、こぞってEV(電気自動車)を発表しました。


フォーミュラEの第一回開催地は、2014年9月13日の中国の北京でした。
日本は、10年も遅れているのですね。
自動車レースで言えば、準備が間に合わず、スターティング・グリッドではなく、ピット・スタートをするようなものです。

それでも、やっと、やっと、やっと、日本もEV市場に参入するようになりました。
(同じ言葉を3回繰り返すのがトレンドのようで・・・)




EVが普及し始めると、問題になるのは、充電スタンドの整備、充電方式や蓄電池開発、発電量(電力消費量の増加)等です。

特に厄介なのが、発電量です。
一気に増やせるわけではないので、EVの普及が加速すれば、電力需要が急増し、何らかの制限が始まるのでしょう。

今の中国が抱えている放置EVの問題も、いずれ日本でも問題になるでしょう。



アジアの先頭を走るのは、日本ではなく、中国や韓国のようです。
日本は、中国や韓国を手本に、あるいは反面教師に、政策を検討すれば良いのです。

もし、それでも後手に回るようなら、日本は、周回遅れか、下手をするとリタイヤになってしまうということです。

なんと、ローター船が復活しそうなのです。
それも、航空機メーカーのエアバスが、アメリカとヨーロッパの間の航空機部品の輸送に、ローター船を使うと言うのです。
新造されるローター船は3隻で、フランスのルイ・ドレフュス・アルマトゥールズ(LDA)が建造から所有、運航までを担うそうです。

ローター船は、100年ほど前に発明された帆船のような船です。
細く高い円筒(ローターセイル)を回転させ、マグナス効果で推進力(揚力)を得ます。
ローターセイルは、帆柱のようにも感じますが、通常の帆柱は後傾しているのに対し、ローターは垂直に立てられています。

エアバスのローター船は、ローターセイルを6本も持ちます。
1920年代に何隻か建造されたようですが、舶用機関が発展し、費用対効果が相対的に下がったため、普及はしませんでした。
それでも、環境問題が議論されるようになった1980年代以降、実証船の性格の船が何隻か建造されました。



私は、ン十年前からローター船を知っていますが、エアバスのローター船のような実用船は、ほとんど記憶にありません。
ちょっと楽しみな船です。
エアバスは、ローター船を3隻も建造し、2026年から運用します。
注目していきたいと思います。


個人的には、ローター船より、硬質帆装船の方が、将来性があると思っています。
それでも、このチャレンジには拍手を送りたいと思います。


アメリカのリージェント社が、地面効果翼機(WIG)の『シーグライダー』の飛行実験に成功しました。

地面効果翼機自体は、ロシアで研究が進んでおり、エクラノプランの総称で呼ばれます。
また、シンガポールでは『AIRFISH 8』が、中国では『翔州1型』等が、開発されています。
今の日本では、当然、研究は止まっています。

日本では聞くことがなくとも、世界的には珍しくない地面効果翼機の『シーグライダー』が話題になったのは、電動だったからです。
もう一つの特徴が、水中翼(水面効果型?)を持っていることでした。


地面効果翼機は、地面効果を利用して低空を飛ぶ航空機です。
翼面積に対して揚力が大きいため、小さな翼で飛行でき、翼が小さいため、抵抗が小さい特徴を持ちます。
概ね、翼長より低い高度を飛びます。
揚抗比に優れ、機体の大型化が容易なので、洋上輸送において、高速化が期待できます。
反面、飛行高度が低いため、一般の飛行場が使えず、飛行艇(または水上機)とならざるを得ず、洋上では船舶との衝突が懸念されます。更には、海象の影響を受けやすい欠点もあります。
日本で研究が停滞しているのは、近海に船舶が多く船舶との衝突が懸念されるため、実用化は難しいと判断されたようです。


『シーグライダー』ですが、1/4スケールの無人実験機です。
最高速度は290km/h、航続距離は290kmだそうです。
2年後を目処に、実寸大(翼長19.8m)の機体を製作し、定員6名の有人飛行を計画しているそうです。

『シーグライダー』を製作するリージェント社のビリー・タルハイマー氏は、「人類の輸送方法の歴史に新たな変化を起こした」と自画自賛です。
飛行艇と水中翼の組み合わせは、過去にも例があったように記憶していますが、地面効果翼機との組み合わせは、記憶にありません。

『シーグライダー』の水中翼は、水面効果型に見えます。(全没型の可能性もある)
水面効果型水中翼は、ロシアで発展した形式で、制御が不要で構造が単純なため、ロシアの河川で使われていました。
ですが、水面に沿って進む性質なので、平水面でしか使えません。
地面効果翼機も、飛行中も波の影響を受けますが、水面効果翼の方が直接的に波浪の影響を受けます。
なので、『シーグライダー』は全没型の可能性もあります。(外観では判別しにくい)
ただ、全没型は、水中翼の水深を維持するための制御機構が複雑になります。また、着水時の衝撃も考えると、収納型の水中翼には不向きです。(個人的には、水面貫通型の方が良いように・・・)



残念なことに、ニュースを伝える側の知識が乏しいようで、水中翼の種類や特徴を踏まえた取材ができていません。
なので、新機軸の良い面は企業側の主張から見当は付いても、どんな課題が残っているのか、どう対処していくのか、さっぱりわかりません。

当ブログでは、過去に『ジェットフォイル』として水中翼船について触れています。
関連ブログの『アイソスタシー』の5話には、地面効果翼機がちょっとだけ出てきます。
個人的には、強い関心を持ってきた技術です。
ですので、今後が気になっています。



前出のタルハイマー氏は、次のように続けています。
「沿岸地域への新たな旅行手段として、シーグライダーは歓迎されるでしょう。
2025年までに商業サービスとしてのシーグライダーの提供を目指します」

期待はしていますが、平水域に限定されるなら、日本での利用は難しいでしょう。


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