豊葦原中津谷のニニギ

食糧自給率の向上を目指して! (2100年の日本へワープ)

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通常国会において、石破総理は、企業・団体献金は必要との考えを示しました。
同時に、献金に政治が左右されてはならないとも言いました。


企業が政党に献金するのは、その政党に、企業に有利な政治をして欲しいからです。
もし、政党が、企業からの献金に左右されない政治を行うなら、企業は、献金するのでしょうか。
仮に、政党の動きに関係なく献金するのなら、献金先は、国庫でも問題ないはずです。

企業・団体献金も、個人献金も、政党ではなく、国庫に納めてもらい、政党助成金として配分するのです。
もちろん、配分は、現行の算出方法を用います。
献金が無いなら、政党助成金も無くすのです。



そもそも、献金の賄賂性は、完全には否定できません。
賄賂性が皆無だと言うのなら、前述のように、国庫に納める仕組みを実施できます。

あるべき姿とすれば、献金は全廃するべきでしょう。
もし、献金の制度を残すのであれば、献金先を国庫に固定し、政党助成金として配分するのが、国民が納得できる制度だろうと思います。


個人的には、献金を政党助成金として配分する仕組みができたなら、きっと面白いことになるだろうと、意地悪に思っています。
現時点では、共産党は政党助成金を受けていませんが、献金を政党助成金として配分するようになった時、共産党も政党助成金を受け取るようになったら、企業が献金を続けるのか、見てみたいところです。

おそらく、企業は献金しなくなるでしょう。
逆に言うと、この方式の政党助成金制度は、共産党がキャスティング・ボートを握ることになります。
特定の党がキャスティング・ボートを握るのは良くないので、政党助成金制度自体を縮小・廃止するのが、最終目標となるのです。




「政治には金が掛かる」と言い、政党から活動費として、資金が流れます。
政党をマネーロンダリングに使って、企業から政治家へ資金を流したと思われる例も、過去にはありました。

小選挙区制導入の目的の一つが、金の掛からない選挙を目指してのものでした。
しかし、現実には、選挙区が小さくなったことで、より高密度に資金を落とすことが可能になっただけです。

小選挙区制であろうと、大選挙区制であろうと、金が掛かるのは同じだと言うことです。
なぜなら、「金掛かる選挙」ではなく、「金掛かる選挙」とのスタンスだからです。


この問題を解決するためには、「金が掛からない選挙制度」を目指すのではなく、「金を掛けられない選挙制度」を目指すのが、早道です。
その一つが、選挙資金を断つことです。

献金は全面的に禁止するのが、最も簡単な対策です。
政党助成金も、段階的に絞っていき、最終的に全廃するべきでしょう。
献金と政党助成金で、対処を変えているのは、献金に賄賂性があるのに対し、政党助成金には賄賂性がないためです。

資金が不足すれば、「金が掛からない選挙制度」を模索するしかなく、議論が進むと思います。




献金や政策活動費の現状を考えると、小選挙区制でなければならない理由にはなりません。
第6回で触れた小選挙区制のメリット/デメリットでも、選挙費用は小選挙区制のメリットとは言えないことを書きました。


献金や政策活動費を続けようとする自民党は、小選挙区制とは矛盾する部分があります。

小選挙区制の改正は、選挙費用を切り離して検討を続けられるということです。


二世議員が多いのは、日本の政治にはマイナスです。
二世議員しか当選できないことは、間接民主主義からの逸脱を意味します。

もちろん、二世議員の全てが問題とは言えません。
優秀な二世議員もいます。
ですが、二世議員の増加は、能力とは関係なく当選できることを示しており、逆から見れば、二世でなければ議員になれないことも、示しています。

なので、二世議員の中の無能な立候補者を振るい落とす仕組みが、求められます。




そこで、無能な二世議員の誕生を制限する方法を考えてみます。
選挙に勝つためには、『じばん(地盤)』、『かんばん(看板)』、『かばん(鞄)』が大事だと言います。
そこから、無能な二世議員の古い落としを考えます。



二世議員の武器は、まず地盤です。
親または親族の地盤を、無傷で引き継ぐことができます。
これが、最大の武器になります。

次なる武器は、看板でしょう。
看板は親のものですが、「○○の子供」で、当然、苗字も同じですから、看板のほとんどを引き継げます。

鞄(カバン持ち:秘書のこと)も、親の秘書が、子供にも付いてくれる場合もあるでしょう。
これも、力になります。




では、どんな対策があるのでしょうか。

立候補自体を制限するのは、明らかに憲法違反です。
違う手段で、制限を掛けなければなりません。




【案1】親と同じ選挙区からの立候補を禁止する。

具体的には、配偶者親族を含む4親等以内の議員と同じ選挙区に、連続して立候補することを禁止します。

二世議員の最大の武器は、地盤です。
親の地盤から引き剥がせば、実力で地盤を作り上げていくしかなくなります。
多少は看板を引き継げるので、実力があれば当選できるはずです。
鞄は、地盤との繋がりが強いので、地盤を離れれば、鞄の力は半減します。

『お国替え』は、候補者調整のために行われることがあります。
なので、憲法違反に問われることはないでしょう。
ただ、法制化するとなると、微妙かもしれません。
また、小選挙区なら『お国替え』も容易ですが、大選挙区となると、親戚の選挙区を避けきれずに立候補できなくなるかもしれません。

小選挙区限定の対策案となりそうです。




【案2】大選挙区にする。

何とも簡単な対策です。

選挙区が小さいほど、地盤を作りやすくなります。
秘書が、地元の企業を丹念に回り、陳情を聞いて回ることで、地盤を作っていくことができます。
ですが、地域が広くなると、細かく回ることは難しくなります。
結果的に、地盤は弱くなります。

二世議員が増え始めたのは、小選挙区制の開始時期とほぼ一致します。
小選挙区制が二世議員を生みやすいのは、理屈の面でも説明できます。
ならば、小選挙区制を止めるだけでも、二世議員が生まれにくくなるはずです。




【案3】立候補を資格制度とする

無能でも、二世なら議員になることも可能です。
そこで、無能な人間を排除するため、資格制度とするのです。

立候補者を画一化された人材にしないため、資格試験の他に、国家資格合格と実務経験の組合せ(例えば、弁護士や医師、教員、看護師等を5年以上〉といったものを指定します。
実務経験の中には、地方自治体の首長や議員経験を4年(一期満了)以上といったものも、含めます。

この案を適用すると、私の場合、教員資格を持っていましたが、実務経験がないので、立候補資格はありません。
立候補する場合は、資格の試験を受けて合格するか、地方自治体で首長か議員を経験する必要が生じることになります。


ただ、二世議員は、例外なく大卒ですので、そこそこの資格試験なら、合格はするでしょう。




【案4】政策活動費を禁止する

「選挙は金で決まる」と言われるほど、選挙資金は高額になるようです。
そこで、選挙資金を工面するために、政策活動費等の名目で、政党から候補者へ選挙資金を寄付するようです。
政治資金規正法において、政党から政治家個人への寄付を禁じていないことを利用しているそうです。
2024年の政治資金規正法改正でも、ここは実質的にスルーされています。

二世政治家は、政策活動費を受けやすい立場にあると、想像されます。
そうであれば、二世政治家と他の政治家との間に不公平が生じることになります。
残念ながら、政策活動費の透明性は低く、「公平に分配されている」と言われたとしても、素直に納得できる状態にはありません。

政策活動費に問題があるので、個々の政治家間の公平性を担保するために、「政党から政治家への寄付の禁止」も、対策の一つとなるはずです。





4案を提案しました。
実効性と実績から、第2案の選挙制度の改革(小選挙区制の廃止)が、有効と考えます。

第4案は、選挙制度とは切り離し、政党助成金のあり方を含めて、検討していくべき内容だろうと思います。


参議院の選挙改正案の第2案です。

テーマに反して、今回は、小選挙区制そのものの改良を考えていきたいと思います。



小選挙区制には、いくつも弱点がありました。
その中で、各選挙区の定数が『1』で固定されているため、1票の格差を小さくする方法が、選挙区の区割りの変更しか存在しないことでした。
参議院選挙では、合区を実施していますが、それでも3倍を超える格差を産んでいます。
参議院の改選議席数が衆議院の1/3しかないので、1票の格差を調整しにくいのです。

ですが、敢えて小選挙区制を維持しつつ、これの改良を検討してみたいと思います。




【参議院 選挙制度(案3)】

〈概要〉
参議院の定数は、248議席です。
小選挙区は148議席、比例区は100議席です。
小選挙区は、現行のままとします。
比例区は廃止し、復活当選枠とします。


〈選挙区〉
全国を148の小選挙区に分ける。
毎回、74議席の改選となる。
復活当選枠は、50議席となる。

(立候補の条件)
特に設けない。

(復活当選の基準)
得票率が高い順に、復活当選を決定します。
得票率が完全に一致する場合は、惜敗率が高い順に、当選とします。
得票率と惜敗率が一致する場合、総得票数が多い順に、当選とします。


惜敗率は、有権者に支持されたのではなく、混戦になった証でしかありません。
有権者の支持は、得票率で判断すべきでしょう。
有力候補二人による激戦なら、惜敗率も高くなります。



参議院比例区は、重複立候補を認めていませんが、それ故に死票(投票しても当選に生かされない票)が生かされる場がありません。
それを防ぎ、かつ小選挙区制のメリットである選挙区の小ささ(お金が掛からない?)を活かすことができます。





前回は、浮動票を活かすには、小選挙区制は不向きとしていました。
今回の案は、それに反するようなものです。

ただ、良く見ると、二人区に近い性格の選挙制度です。
結局、中選挙区制の変形と取ることができます。
ですので、「小選挙区制」という形を維持しつつ、実態を「中選挙区制」に近付ける提案と言えます。


やはり、死票を考えるなら、中選挙区制が望ましいようです。



小選挙区制は、第一党に有利に働き、死票も多く、民意を反映しにくい性質があります。
それを改善するための案を、考えています。


党員、時に信者が、支持政党に投票します。
このような有権者は、他の政党に投票することはありません。
なので、時々刻々の国情を反映できない票なのです。
中には、党幹部の方針に反意を唱える者もいるかもしれませんが、党から擁立されれば、反意ほ有無に関係なく党員は投票します。
無党派層は、数百ある選挙区の中で、偶々自分の選挙区でなければ、関係ありません。

国情に対する国民の声を聞くためには、固定票よりも、浮動票を重視すべきなのです。
総選挙を行う目的は、本来は、国情に対する国民の意見を聞くために行われるはずです。
ですが、民主党政権下にあった野田佳彦元総理の解散総選挙を除いて、民意を問う総選挙は行われたことはありません。
与党に都合が良いタイミングでしか、解散総選挙は行われません。政党運営としては、それが正解なのかもしれませんが、民主主義の考えとしては、正しいとは言えません。

衆議院は、解散することで総選挙が行われます。
政権与党は、都合の良いタイミングで解散して、衆議院の議席数を維持できます。
参議院は、3年毎に半数が改善されるため、政権与党の都合とは必ずしも一致しないタイミングで選挙が行われることになります。
ということは、政局となる課題がある場合が含まれます。
ならば、浮動票が活きてくるはずです。

参議院は、衆議院以上に浮動票が活きる選挙制度が望まれます。


固定票が強みを発揮するのは小選挙区制であることは、既に書いています。
少なくとも、現行の小選挙区制では、浮動票を充分には国会に反映できないことになります。




ところで、浮動票のメリットばかり書いてきましたが、固定票を無視しているわけではありません。固定票にも、メリットはあります。

固定票を増やすには、日頃からの政策や議論で、評価される必要があります。
安定した政策論が、固定票を増やしていきます。
つまり、国の基本的な方向性を、固定票が決めるのです。


浮動票は、時々の状況変化を国政に反映する役割を持っていますが、状況が戻れば、固定票によって元の国政運営に戻るのが、あるべき姿だろうと思います。

昨今の日本では、与党が右傾化し、それを固定票が支えている状況です。そして、右傾化を補正するために、浮動票が期待されているのです。
なんとも、歪な感じがします。

そんな状況を作り出してしまう要因の一つが、小選挙区制による第1党の議席寡占にあります。
小選挙区制では、4割の得票率しかない第1党が、議席の6割を獲得できてしまうので、有権者の約半数を占める棄権者(ほとんどが浮動票)が投票し、固定票の影響を減じる必要があるのです。

そんな歪な選挙を改善するためには、選挙制度の見直しが必要です。
そして、浮動票が、時々の情勢を国政に反映されるようにすべきなのです。


小選挙区制は、第一党に有利に働き、死票も多く、民意を反映しにくい性質があります。
それを改善するための案を、考えています。

今回は、改善策ではなく、手法の一つを紹介します。




株主総会で、もの言う株主の強引な意見を封じるために、『マジョリティ オブ マイノリティ』と呼ばれる投票方法が用いられました。

『マジョリティ オブ マイノリティ』は、議事に対して利害関係にある大株主の投票権を剥奪し、利害がない株主だけで投票する手法です。
具体的には、企業側の株主と、議案を提出した『もの言う株主』には投票権を与えず、第三者として判断できる株主にのみ投票権を与える手法です。

力による採決を防ぎ、第三者にだけ投票権を与えることで、利害のバランスを取ります。
一部の大株主だけで採決が決まってしまうより、民主的と言えなくもありません。



この発想を、国政選挙に応用すると、どうなるでしょうか。

簡単に言えば、政党の党員を利害関係者と考え、選挙権を与えないのです。
事実上、浮動票のみで選挙を行うのです。

もちろん、こんな選挙制度は、党員と非党員で選挙権が剥奪と付与とになってしまうので、憲法違反になってしまいます。
また、憲法を改正して、この選挙制度を認めたとしても、実際に制度化するのは、容易ではありません。

まず、誰が党員なのか、明確にしなければなりません。
その際には、マイナンバーが役に立ちそうです。
党員になるためには、マイナンバーの提示を義務付けるのです。
でも、隠れ党員を炙り出す方法を考えないと、意味がありません。
別に、隠れ党員が居ても、重大な問題にはなりませんが、選挙のみを考えると、大きな問題になります。




いずれにせよ、この案は却下です。

憲法15条に反するし、利害関係者の定義も、立候補者だけになる可能性もあり、機能させるのも容易ではありません。

ただ、小選挙区制の問題点は、死票が多く、投票率が下がれば、相対的に利害関係者の投票が結果に影響しやすくなるところです。
なので、『マジョリティ オブ マイノリティ』の考えは、選挙制度見直しの方向性の指針となると思います。


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