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カテゴリ:豊葦原中津谷の世界 > 選挙制度


衆議院の選挙改正案の第2案です。

テーマに反して、今回は、小選挙区制そのものの改良を考えていきたいと思います。



小選挙区制には、いくつも弱点がありました。
その中で、各選挙区の定数が『1』で固定されているため、1票の格差を小さくする方法が、選挙区の区割りの変更しか存在しないことでした。
参議院選挙では、合区を実施していますが、それでも3倍を超える格差を産んでいます。
参議院の改選議席数が衆議院の1/3しかないので、1票の格差を調整しにくいのです。

従って、参議院選挙で小選挙区制を続けることは困難です。


今回は、衆議院選挙に限定して、小選挙区制の改良を検討してみたいと思います。




【衆議院 選挙制度(案2)】

〈概要〉
現行通り、小選挙区は289議席とする。
比例区の176議席を廃止し、同数の復活議席を用意し、惜敗率or得票率の上位から当選とする。

〈選挙区〉
全国を289の小選挙区に分ける。

(立候補の条件)
衆・参両院での在任期間が通算20年を超えている場合、新たに衆議院で立候補できないものとする。(参議院は可とする)



2021年の衆議院選挙では、小選挙区936人、比例区855人が立候補しました。
実際の立候補者は1180人だったので、重複立候補は611人だったことになります。
比例区の71.5%が、重複立候補でした。

ここまで重複立候補が多いのなら、比例区ではなく、復活議席に割り当てる方が、死票を減らす効果が期待できます。




小選挙区制の欠点の一つが、死票が増えることにあります。
例えば、49%の得票率でも、対立候補が51%を得票していたら、落選になります。
この場合、投票の49%は、死票になってしまいます。

比例区で復活当選の可能性は残りますが、本来の比例区選挙は、政党支持率に見合う議席を配分する選挙制度であり、復活当選を目的としていません。
また、復活当選した議席数と同数だけ、比例区の候補者は当選できなくなります。
候補者個人で見れば、『復活』ですが、有権者からすると、小選挙区で投票した票は無駄になっています。

なので、復活当選させるのなら、それのみを目的とした選挙制度を考えるべきです。



さて、復活の方法です。
2案あるので、順番に説明します。


〈復活当選方式(案1)〉

惜敗率の上位から、当選としていきます。
惜敗率は、当選者の得票数を100%とした時、次点以下の候補者の得票数が何%に相当するかを示したものです。

       [当該候補者の得票数]
[惜敗率]=─────────────
        [当選者の得票数]

この惜敗率が、全ての小選挙区の落選者の中で、上位から復活当選させていきます。

具体的な例で見ていきましょう。


仮に、3つの小選挙区があるとします。
α選挙区には、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんが、β選挙区には、Eさん、Fさん、Gさん、Hさんが、γ選挙区は、Jさん、Kさん、Lさん、Mさんの、それぞれ4人が立候補したとします。
これに、復活議席2議席を加えた、合計5議席を改選するとします。

α選挙区の各候補者の得票率は、Aさんが50%、Bさんが40%、CさんとDさんは5%だったとします。
β選挙区では、Eさんが33%、Fさんが30%、Gさんが29%、Hさんが8%だったとします。
γ選挙区は、Jさんが27%、Kさんが26%、Lさんが25%、Mさんが22%だったとします。

小選挙区の当選者は、Aさん、Eさん、Jさんの3人です。
次点以下の惜敗率は、Bさんは80%、CさんとDさんは10%、Fさんは91%、Gさんは88%、Hさんは28%、Kさんは96%、Lさんは93%、Mさんは81%です。
従って、復活当選するのは、KさんとLさんになります。

この時、3選挙区とも投票数が同じなら、投票の54%が、当選者に投じられたことになります。
つまり、死票は46%になります。
(上記の条件下による死票率であって、普遍的な数値ではありません)



どうでしょうか。
ちょっと釈然としないのではないでしょうか。

惜敗率は、混戦となった選挙区ほど、有利になります。
有力候補が居ない場合に混戦になりやすく、結果的に、泡沫候補が棚ぼた当選します。


仮に、この地域が定数5議席の中選挙区で、得票率が変わらないなら、Jさん、Kさん、Lさんは落選し、Aさん、Eさんの他に、Bさん、Fさん、Gさんが当選になります。
この場合、死票は39%まで減ります。

そこで、死票を減らす案を提案します。



〈復活当選方式(案2)〉

得票率の上位から、当選としていきます。
得票率は、有効投票数を100%とした時、候補者の得票数が何%に相当するかを示したものです。

       [当該候補者の得票数]
[得票率]=─────────────
      [当選選挙区の有効投票数]

この得票率が、全ての小選挙区の落選者の中で、上位から復活当選させていきます。

前述の例で見ていきましょう。


小選挙区の当選者は、Aさん、Eさん、Jさんで同じです。
復活当選は、BさんとFさんになります。
この場合、死票は40%になります。
死票を減らす目的では、悪くない結果です。


死票を減らす効果は、得票率の方が良いとしても、惜敗率の方が、有権者の支持を得ているようにも見えます。
果たして、惜敗率の方が有権者の支持を集めているのでしょうか。

仮に、δ選挙区には、有力候補が2人居て、最終的に得票率が51%対49%で決着したとします。
ε選挙区は、4人の候補者が得票率26%、25%、25%、24%で決着したとします。
この場合、δ選挙区の惜敗率は96.08%ですが、ε選挙区の惜敗率は96.15%になるため、半数近い支持を得たはずのδ選挙区の次点の候補者は、復活できません。
ε選挙区の4人の中で、なぜ抜け出ることができなかったのでしょうか。
惜敗率は高いのですが、対抗馬は強敵だったのでしょうか。
強敵に善戦したのなら、惜敗率以上に、得票率が高まるはずです。

どちらかと言えば、私は(案2)を推したいところです。



ですが、小選挙区+復活当選制の選挙制度にも、大きな欠点があります。

小選挙区制は、最大勢力の政党に有利に働きます。
復活当選制は、次点落選者に有利ですから、第二党に有利に働きます。
ですが、第三党以下の政党は、復活当選の可能性は低く、単なる小選挙区制よりも、二大政党制への変化圧力が掛かるはずてす。





正直なところ、この【衆議院 選挙制度(案2)】を書き始めた頃は、「中々の妙案じゃね?!」と思っていました。
ですが、掘り下げていく中で、小選挙区制の改良は難しいと思うようになりました。

まず、復活当選と言いつつ、実質的には小選挙区から二人区に変更するようなものです。
2人目の当選者の選び方が、柔軟になるだけです。

もう一つは、小選挙区制が持つ、実質的な一党独裁や、二大政党制への変化圧力です。
今回の改良案も、二大政党制への変化が起きやすい性質を持っています。
一党独裁や二大政党制は、政策が極端化しやすくなるので、このような状況は避けた方が、国民の利益になります。

そんなことを考えると、やはり小選挙区制は廃止した方が良さそうです。



次回は、また別の選挙制度を提案したいと思います。




国会議員を選ぶ話を始めたばかりですが、国会議員を落とす選挙、すなわち弾劾型の選挙を考えてみたいと思います。


不祥事等を起こしても、地元選挙区への利益誘導していれば、再選されやすくなります。
再選されると、「禊ぎは終わった」と言って、国政の場に戻ってきます。狭い選挙区の信任だけで、不祥事を消し去ってしまうのです。
これは、選挙区が小さく、固定票の比率が大きくなる小選挙区制の欠点の一つです。

国政に悪影響を及ぼすような国会議員が、狭い地域の利益のために再選されるのは、納得できません。
しかも、選挙区外の有権者は、手も足も出せないのです。
何らかの対抗策が必要です。


そこで、当該議員の国政選挙の際に、選挙区外で弾劾投票を行い、一定の割合で得票から差し引く選挙制度があってもいいと思います。

選挙区内の有権者は、当該議員とは別の候補者に投票することができるので、弾劾投票は二重投票に相当するので、認めません。
当該議員の選挙区ではない有権者のみ、弾劾投票権を与えます。
有権者側から見ると、他の選挙区から立候補している候補者の中の1人にだけ、弾劾投票することを認めるのです。
例えば、東京1区に住んでいる有権者が、東京2区のA候補は国会に送り出すべきではないと考えたなら、弾劾投票で、A候補の名前を書いて投票するのです。
参議院の小選挙区は74議席あるので、弾劾票を1/100して、得票から引くのです。
衆議院の小選挙区は289議席あるので、弾劾票を1/400して、得票から引きます。



アイデアは良いとしても、弾劾投票は、現実的とは言えません。

まず、集計の煩雑さが増えます。
選挙区内の弾劾票は無効ですから、この判別も面倒です。

また、通常の投票との混同が、心配されます。
現実的に、弾劾投票は実施が難しいでしょう。

でも、類似する最高裁判事の国民審査は、実際に行われています。
ですので、弾劾投票も、実施は不可能ではないでしょう。
投票方法に良いアイデアがあれば、弾劾投票を実現してほしいところです。



国政選挙は、国民の代表を選ぶシステムです。
本テーマでは、原則として、国会議員の選出方法について、考えていきます。

ただ、通常の選挙だけでなく、他の選出方法や、今回のような弾劾方法についても、考えていきたいと思っています。


次回から、選挙制度に戻り、案2を考えていこうと思います。



前回は、参議院選挙の改正案(1)を提案しました。
参議院選挙の改正案を踏まえ、今回は、衆議院選挙の改正案(1)を提案します。



参議院選挙は、中選挙区制を提案しました。
また、立候補者を、議会経験者だけに絞りました。
これをベースに、衆議院選挙を考えたいと思います。



衆議院は、参議院とは異なる選挙制度とすることで、異なる資質を持つ議員になるようにします。
また、参議院が『個人』に重きを置きましたが、衆議院では『政党』を中心とした選挙制度としたいところです。


そこで、衆議院の全議席を比例代表制とします。

ですが、この比例代表制は、奇妙な仕組みがいくつかあり、難解です。

比例代表制の奇妙な仕組みの一つ目は、重複立候補です。
選挙区と比例区の両方に立候補し、選挙区で落選しても、比例で当選できる仕組みです。
選挙区で落選しているのですから、有権者は「ノー」の声を上げたわけです。それを復活当選させるのは、有権者の声を無視し、政党の都合を有権者に押し付ける仕組みです。
更に、重複候補は、比例区の順位をダブらせることもできるのです。選挙区の惜敗率で、同一順位内の最終順位を決めるのです。
ただ、この不思議な制度は、選挙区制と比例代表制の混在によるものです。
全議席を比例代表制にすれば、問題になりません。

比例代表制の奇妙な仕組みの二つ目は、非拘束名簿式比例代表制です。
比例代表制は、得票率に応じて、政党に議席数を配分する選挙制度です。
獲得した議席数を誰に与えるかは、拘束名簿式と非拘束名簿式で異なります。
拘束名簿式比例代表制は、衆議院で行われている制度で、議席の付与は、政党が予め提出した名簿の順番に従います。
非拘束名簿式比例代表制は、参議院で行われている制度で、政党が提出した名簿の中で、個人名の得票が多い順に議席が与えられます。

拘束名簿式は、立候補者個人は、選挙運動が不要になります。
小選挙区制より、選挙費用は掛からないと思われます。
ただ、個々の当選者を決めるのは、名簿順位を決める政党になってしまいます。

非拘束名簿式は、立候補者が見えるのですが、全員が候補者名を書いた場合、この選挙の結果は、ただの大選挙区制とどう違ってくるのでしょうか。

例えば、定数3人、有効投票数が100票の比例ブロックがあったとします。
この選挙区に、α党、β党、γ党の3政党から3人ずつ立候補したとします。
(重複立候補はなかったとする)
α党は、Aさんが58票、Bさんが3票、Cさんが0票だったとします。
β党は、Dさんが9票、Eさんが6票、Fさんが5票を、γ党は、Gさんが8票、Hさんが7票、Jさんが4票を獲得したとします。
ドント方式の議席配分では、61票を獲得したα党が3議席を独占し、獲得票が20票のβ党と、19票のγ党には、議席は配分されません。
当選者は、α党のAさん、Bさん、Cさんです。
得票順では、Bさんは9人中の8番目ですから、選挙区選挙なら落選です。
Cさんに至っては、得票がゼロでも当選しています。
ちょっと納得できない結果です。

非拘束名簿式比例代表制は、選挙区選挙との差を考えると、候補者名を書く意味が薄くなるので、非拘束名簿式を用いてまで比例代表制に固執する理由はなさそうです。



提案する選挙制度は、拘束名簿式比例代表制です。

【衆議院 選挙制度(案1)】

〈概要〉
全議席を、拘束名簿式比例代表制とします。

〈選挙区〉
全国を1〜11ブロックに分割し、有権者23万人に、1議席を配分する。
(ブロックの詳細は後述)
※人口の約82%が有権者なので、ざっと人口29万人に1議席の割合で配分する。

(立候補の条件)
衆・参両院での在任期間が通算20年を超えている場合、新たに衆議院で立候補できないものとする。(参議院は可とする)



〈選挙区のブロック分けの詳細〉

(案1)※現行の衆議院選挙の比例区のブロック
・北海道ブロック  北海道
・東北ブロック   青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県
・北関東ブロック  群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県
・東京       東京都
・南関東ブロック  神奈川県、千葉県、山梨県
・甲信越ブロック  新潟県、長野県、山梨県
・北陸信越ブロック 新潟県、長野県、富山県、石川県、福井県
・東海ブロック   静岡県、愛知県、岐阜県、三重県
・近畿ブロック   奈良県、和歌山県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県
・中国ブロック   鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
・四国ブロック   徳島県、香川県、愛媛県、高知県
・九州ブロック   福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

各選挙区ブロックの議席数は、以下です。
・北海道ブロック  20議席
・東北ブロック   32議席
・北関東ブロック  52議席
・東京       51議席
・南関東ブロック  60議席
・北陸信越ブロック 27議席
・東海ブロック   54議席
・近畿ブロック   76議席
・中国ブロック   27議席
・四国ブロック   14議席
・九州ブロック   52議席



(案2)全国を1ブロックとする。

・全国ブロック   435議席



非拘束名簿式ではないので、人物名を政党別で分類しなくて良く、開票作業は容易です。
全国を1ブロックとしても、参議院比例区より開票は楽でしょう。
全国を1ブロックとした場合、立候補政党の乱立が心配されますが、今でも参議院選挙の比例区は全国区なので、大きな混乱はないはずです。
議席数が一桁大きいので、議席を獲得する政党も、一つか二つ増えるかもしれません。


今回の提案でも、立候補の条件を付加しました。
参議院が、経験者を優先するのに対して、衆議院は若い政治家が国政に参加しやすくなるように考えています。
選挙区選挙では、地盤を持つ議員が有利になります。
一方、比例代表制は、無名であっても、名簿に名前が入れば当選の可能性があります。
また、在任期間の制限を設けることで、名簿には空席ができやすくなり、新人が名簿に載る可能性を高めます。

衆議院と参議院の役割も、明確になります。
若い政治家が作った法案に問題があれば、参議院から衆議院に差し戻すことで、更に議論を深めるように促します。



参議院と衆議院の選挙制度を別々に書いてきましたが、日本の議会制度として、車の両輪として機能しなければなりません。
地方議会は、全て一院制なのに、国会は二院制となっている意味を、考えるべきです。
選挙制度を両院で変えるだけでなく、立候補条件を付加するのは、より明確に二院制を機能させたいからです。

立候補条件は、憲法解釈しだいで、違憲の判断がなされる可能性はあります。
それなら、参議院だけでも、党議拘束を禁止すべきです。
党議拘束の禁止は、憲法上の問題はありません。
むしろ、党議拘束によって自由な投票ができない方が、憲法違反に近いと考えます。


二院制の機能の他に、民意が議席数に反映されやすくすることも、今回のテーマです。
間接民主制は、民意を議会に伝えることであり、その基本は選挙にあります。
比例代表制は、得票数を議席数に変換するので、民意が議席数に反映されやすくなります。
参議院に対しての優位性を持つ衆議院こそ、極力、民意が議席数に反映されていなければなりません。
逆に、参議院は、時に民意とは違っていても、議員の信念に基づいた判断を行うことが、国会全体を活性化させるはずです。

例えば、世間は『原発再稼働』に反対の声が大きいようですが、私は『原発再稼働』に賛成しています。
私が参議院議員なら、衆議院から『原発即時廃止』の法案が来た時、反対をします。
参議院で否決され、衆議院に差し戻されれても、3分の2以上で再可決されれば、それで良いのです。
あるいは、衆議院で修正した上で、参議院に送られてくれば、再検討すれば良いのです。
修正案には、賛成できるかもしれません。

このような動きこそが、二院制のメリットのはずです。
それが機能する選挙制度を、考えています。



また、次を提案するつもりです。
色々な考え方を提示し、議論のネタになればと、考えています。



今回は、参議院の選挙制度の見直し案を考えます。
なぜ、参議院から考えるのかというと、参議院の方が定数の制約が強いためです。
参議院は、半数を改選するので、一つの選挙区に2の倍数の議席が必要になるのです。

仮に、選挙区を都道府県毎に分ける場合、最も人口が少ない(有権者数も少ない)鳥取県に2議席を配分すると、ざっと30万人/議席になります。
これをベースにすると、参議院は400議席以上にしなければなりません。
現状の2倍近い議席数です。
人口は減少局面にあり、かつ、累積債務が膨れ上がっている現状において、議席数(定数)は減らすことはあっても、増やすことはできません。
都道府県毎に、参議院の議席を割り当てるのは、選挙制度の改善にはなりません。

このように、参議院は、定数による制約を受けます。
なので、参議院から選挙制度から考え、衆議院は、参議院とは異なる選挙制度を与えるようにしたいところです。



さて、参議院の選挙制度は、どんな方式が良いのでしょうか。

大事なのは、『良識の府』を形作る人材を選ぶ仕組みです。
立候補者の個人の資質が重要になるので、比例代表制は、却下されます。
かと言って、全国区のような大選挙区制では、選択肢(候補者)が多くなり、候補者間の差が分かりにくくなります。これでは、選択肢が多い価値が薄くなります。

これを踏まえて、最初の提案したいと思います。



【参議院 選挙制度(案1)】

〈概要〉
全議席を、1選挙区当たり4〜20議席の中選挙区制に変更する。

〈選挙区〉
全国を11〜18ブロックに分割し、有権者84万人に、改選の1議席を配分する。
(ブロックの詳細は後述)
※人口の約82%が有権者なので、ざっと人口100万人に1議席の割合で配分する。
※参議院は、3年毎に半数を改善するので、実質は、有権者42万人に1議席となる。

(立候補の条件)
地方議会、自治体の長のいずれかを、通算で4年(1期)以上、または衆議院議員を1期以上(解散があるので年数は不問)経験した者とする。
立候補時点(公示日)以降、いずれの政党にも属さない者とする。
(政党の公認・推薦は、不問とする) 



〈選挙区のブロック分けの詳細〉

(案1)※衆議院選挙の比例区のブロック
・北海道ブロック  北海道
・東北ブロック   青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県
・北関東ブロック  群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県
・東京       東京都
・南関東ブロック  神奈川県、千葉県、山梨県
・甲信越ブロック  新潟県、長野県、山梨県
・北陸信越ブロック 新潟県、長野県、富山県、石川県、福井県
・東海ブロック   静岡県、愛知県、岐阜県、三重県
・近畿ブロック   奈良県、和歌山県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県
・中国ブロック   鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
・四国ブロック   徳島県、香川県、愛媛県、高知県
・九州ブロック   福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

各選挙区ブロックの議席数は、以下です。
・北海道ブロック   5議席
・東北ブロック    9議席
・北関東ブロック  14議席
・東京       14議席
・南関東ブロック  16議席
・北陸信越ブロック  7議席
・東海ブロック   14議席
・近畿ブロック   20議席
・中国ブロック    7議席
・四国ブロック    4議席
・九州ブロック   14議席



(案2)人口が500万人以上は、道府県単位のブロックとする。東京都は.、二分する。

・北海道ブロック  北海道
・東北ブロック   青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県
・北関東ブロック  茨城県、栃木県、群馬県
・埼玉県ブロック  埼玉県
・千葉県ブロック  千葉県
・東京区部ブロック 東京23区
・東京市部ブロック 23区以外の東京都
・神奈川県ブロック 神奈川県
・甲信越ブロック  新潟県、長野県、山梨県
・中部北陸ブロック 静岡県、岐阜県、富山県、石川県、福井県
・愛知県ブロック  愛知県
・近畿ブロック   三重県、奈良県、和歌山県、滋賀県、京都府
・大阪府ブロック  大阪府
・兵庫県ブロック  兵庫県
・中国ブロック   鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
・四国ブロック   徳島県、香川県、愛媛県、高知県
・福岡県ブロック  福岡県
・九州沖縄ブロック 佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

議席数は、以下です。
・北海道ブロック  5議席
・東北ブロック   9議席
・北関東ブロック  7議席
・埼玉県ブロック  7議席
・千葉県ブロック  6議席
・東京区部ブロック 9議席
・東京市部ブロック 4議席
・神奈川県ブロック 9議席
・甲信越ブロック  5議席
・中部北陸ブロック 9議席
・愛知県ブロック  7議席
・近畿ブロック   8議席
・大阪府ブロック  9議席
・兵庫県ブロック  5議席
・中国ブロック   7議席
・四国ブロック   4議席
・福岡県ブロック  5議席
・九州沖縄ブロック 9議席



案1では、区切りが大きく、近畿ブロックは20議席にもなります。これでは、立候補者数が30人を超える可能性があり、全候補者の公約を把握することが厳しくなります。

案2は、有権者数が400万人以上の都道府県は、単独でブロック分けしています。
該当するのは、北海道、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県です。
東京都もこれに該当しますが、東京都だけで有権者数が1000万人を超えるため、23区とそれ以外に分けます。
この案では、定数が最も多い選挙区でも、定数は9人以内になります。



それほど目新しい選挙制度ではありません。
以前に行われていた中選挙区制と、ほぼ同じです。
だからこそ、一般にも、素直に受け入れてもらえるのではないかと、思います。

小選挙区制に対する中選挙区制の弱点は、選挙区が大きくなるため、立候補者の支出が増えること、同一政党の同士討ちが発生することです。
この内、立候補者の支出を抑える方策は、選挙区の小型化以外にも、色々あります。
支出の内訳を確認して、選挙区の広さに関係する部分と、関係しない部分に分かて検討すべきです。そして、選挙区の広さに関係する項目については、選挙活動の禁止項目にし、代替手段を用意することも、考えるべきです。
今までのような選挙活動はできなくなるでしょうが、新しい時代の選挙活動として取り組む方が、建設的と言えます。

同一政党の候補者が同士討ちするということは、その政党の支持者が少ないからです。
同士討ちを減らすのは、民意を蔑ろにしているとも言えます。
例えば、定数5人の選挙区に同一政党から4人が立候補したとします。
その政党の支持率が60%なら、1人は落選します。これを同士討ちと言うのなら、候補者を1人減らすだけで解決します。
一方、小選挙区5区に分けた場合、各選挙区の支持率が60%もあるなら、5人とも当選するでしょう。
これでは、支持率と議席獲得率が、大きく乖離してしまいます。
同士討ちは、政党内の問題であって、国民目線ではありません。

このように、積極的に中選挙区制を否定、かつ小選挙区制を推す理由は、見当たりません。



さて、この提案で、今までにない点は、立候補の条件の方でしょう。
議論があるとすれば、この部分になると思います。

条件の中で、離党を求める点は、党議拘束を禁止することで代用しても良いと思います。
保守系や革新系といった基本的な政治思想は、否定しません。
『良識』とは、党の方針ではなく、議員の信念に基づくべきです。
だから、『良識の府』たる参議院では、離党か党議拘束の禁止をすべきと、思うのです。
なお、会派を組むのは制限しないため、各委員会は自民党系や立民党系といった会派で、これまで通りに活動すれば良いのです。
最終的な投票で、個人の判断を優先するのです。

目新しいのは、議会経験を求めている点でしょう。
衆議院や地方議会の立候補制限年齢は、25歳です。
これに対して、参議院は30歳です。
4年間の議員経験を課しても、憲法違反にはならないはずです。
また、公民権停止の法律が合憲となっているので、立候補の条件を課しても、問題はないと思います。
この条件のメリットは、議員の質を高めることと考えています。
議会の仕組みを経験した人なら、『良識』を持って議会に臨むことができると考えます。
間口を拡げるため、村議会も認めることにします。


参議院の改正案1は、これくらいにします。

私は合憲と考えている条件も、法律の専門家は意見が異なるかもしれません。
今後、私の知見が広まれば、案の内容を修正することもあろうかと思います。

なので、今回はこれくらいにして、次回は衆議院選挙の改正案を提案します。


日本は、二院制を採用しています。

衆議院と参議院では、憲法上の違いはありますが、両院の各議員の判断基準に、明確な違いを感じません。
その要因の一つは、党議拘束でしょう。
もう一つは、両院の選挙制度が、基本的に同種であるためではないかと考えています。


政党政治を基本とする日本国憲法下においては、党議拘束を全否定するべきではないでしょう。
ただ、『良識の府』であるべき参議院においては、党議拘束は良識も拘束しかねません。
参議院議員への党議拘束を禁ずるなら、政党単位の投票で議席を決める比例代表制は、参議院議員の選挙制度としては、問題があるように思います。

『代議士』という言葉があります。
これは、『国民の代表』との意味があります。
ただ、旧憲法下では貴族院だった参議院議員に対しては、代議士とは呼びません。
衆議院議員だけが、代議士と呼ばれます。
衆議院が国民の代表であるなら、衆議院こそ支持率に近い議席配分になるべきです。


まとめると、次のようになります。
二院制の機能を阻害する要因は、次の2点でした。

1)両院とも、党議拘束を掛けている。
2)両院とも、同じ選挙制度で議員を選出している。

これに対して、次のような対策が考えられます。

A)参議院への立候補者は、離党する。
  政党が候補者を推薦してもよいが、離党しているので、党議拘束は意味を持たない。

B)参議院は、全議席を小選挙区制とする。
  主として、個人の能力で選出されるようにする。

C)衆議院は、全議席を比例代表制とする。
  支持率に見合った議席数となり、国民の声の大小が国会に反映されるようになる。
  党議拘束は、自由である。


予算や立法、首班指名で、衆議院は参議院より優位性を持つので、参議院で小選挙区制を採用することによるデメリットは、衆議院である程度はカバーできます。

ただ、この案は問題があり、新しい選挙制度としては、当ブログの提案にはなりません。
それでも、このように考えていくことで、新しい選挙制度をどうすれば良いのか、議論の糸口は見えてくると思います。


次回から、具体的な提案を書いていきます。

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